作品情報
奇妙な町の日常が、家族の幸福を照らし返す。
第36回すばる文学賞受賞作。2013年に集英社から単行本刊行。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 2013-02-05
- ページ数
- 168ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784087714951
- ISBN-10
- 4087714950
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
不思議なことが起こる町での、平凡な日常 お寺の閻魔様が動きまわり、池の蓮の花からお釈迦様が現れ、質屋で手に入れたオパールの指輪が喋りだす…。でも、町の人々は驚きもしない。不思議な町へ引越してきた青菜夫婦の日常もまた──。第36回すばる文学賞受賞作
レビュー
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偶然の偶然、そのまた偶然?笑
表題にも書いた通りよくもまぁこれだけ偶然が重なるもんだ(笑)28年前の交通事故の加害者と被害者、そしてその目撃者、そして今回の交通事故の加害者と被害者、また立て篭もり事件?に居合わせた人達、みんな繋がってるって、、、(笑)天文学的確率ですね、これは。韓国は人が10人くらいしか居ないんですかね、てくらい、なんせ全ての偶発的、突発的な事柄に関係者が絡んできます。漫画でもないぞ?これは(笑)まぁ漫画か。 あと、刑事が鈍感すぎてイライラします。あそこまで鈍感なのに刑事がよく務まるなぁと。 まぁ途中で見る気は無くしたんだけどとりあえず早送りしながら要点だけ見てますがどうなる事やら、、、(笑)
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星は2.5
本作はひさびさに純文学新人賞が読みたくなって掲載誌『すばる』で読んだ次第だ。 まずはじめの結論から書いてしまうと、同時受賞の 狭小邸宅 同様に純文学ではなく、中間小説=エンターテイメントの範囲に入る作品だとおもう。 さて肝心の本作なのだが、決して読みずらくない程度に平仮名が多用された文体がほんわかしていて心地よく、主人公のキャラクターもなかなか可愛らしく描けている。しかし著者が掲載誌インタビューで『プロットは特に作らない』と答えていらっしゃったが、そのためか後半の完成度が低く、残念ながら無条件に面白い小説にはなっていなかった。 蛇足・それにしても『すばる』はいつからエンターテイメントの新人賞になったのだろうか、なにやら不思議だ。
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ダークファンタジーって言ったらだめかな。
この小説を読んだときに、ちょっと不思議な気分になった。始めはよくあるほのぼの系の、日常の細々した事象から、人の心を掘り下げていくみたいな話だと思っていたら、だんだんあれ?あれ?っていう気分になってきた。やはり『アーちゃん』そして、かつて『アーちゃん』だったのかもしれないと思う男性の存在がそう思わせたのだと思う。 この町が不思議なことが起こりつつも、平和で調和が取れているのは、実は、本来あるべき『悪いもの』を全て引き受けてくれる存在があるからなのだろうと思う。全ての『悪いもの』を集めてしまった存在が、『アーちゃん』であり、それは見ようによっては純真無垢な子供だけれども、見ようによっては、全ての人から、存在しても存在していないように認知されない存在。そうやって認知しないことによって、町のみんなは、均整が取れて、幸せでいられる。 不思議な町という設定だけれども、これはある意味、現実の世界そのものであるように思えてならない。本当はみんな自分の中に善なるものと悪なるものを秘めていて、それをもてあましながら何とか折り合いをつけて生きていく。悪なるものは特に扱いが難しくて、時として暴走しそうになるのを必死で押さえつけるけれども、これが出たときは仕方ないと思って肝を据えてしまえば、意外と滑稽だったり、純真だったりもする。でも実際の日常で、それをやったらきっと取り返しがつかない。だからこの町の人達は、その全部を『アーちゃん』に預けてしまう。そして『アーちゃん』に代わりに閻魔様に投げ飛ばされてもらう。 天の邪鬼という存在は、確かに始めからそういう存在だったのかもしれない。踏みつけられてしまうような存在だが、ちょっと気を許すと、片端から悪さをして止まらない存在。当然宗教的には、天の邪鬼はそうした人間の心の化身であって、それを踏みつけることで押さえるという宗教的な教えなのだけれども、それをこの物語では、そこに人の悪を全部預けるという形で生きていく、人間の姿が描かれる。 すると、ちょっとかなり皮肉な側面が見えてくる。 一番かわいそうなのは『アーちゃん』ではないのか。そして一番意地悪で悪いのは、町の人全員ではないのか。(主人公含めて)彼らは、自分が罰せられるべき原罪から逃れてしまっている。『アーちゃん』を身代わりにして。 物語の中にかつて『アーちゃん』だったんだろうという人が出てくる。その存在に気づくと、この物語が、実はファンタジーなどではなく、全く現実的な話だと気づく。『アーちゃん』みたいな存在はどこにでも存在し、そしてそれは鼻つまみと思われ、無視されながら、実は周りの原罪を背負っている。そしてあるとき、皆の罪を背負って消えてしまう。その子がその役目を終えて大人になったとき、それでもその人の人生は幸せだったのだろうか? 人の原罪を背負って、代わりに死んだ人いましたよね。磔にされた人。人間の営みというのは、そういう存在をあえて作ることで、自分の罪から目をつぶる歴史だったんじゃないかなって、思ったりしました。 おもしろい小説でしたよ。
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忙しい日々の生活をホっと和ませてくれる不思議な作品
主人公を取り巻く日常とファンタジーが微妙な所で結びついている、不思議な作品でした。主人公の青菜は子供を待望する主婦、そして毎日職探しに忙しい、現実の多くの女性が持つ同じ悩みを持ちながら毎日を送っています。そんな青菜と世話焼きな夫の那津夫が不思議な町、黄金町に引っ越して来た事から物語が始まります。 人々は礼儀正しく、泥棒も居ない黄金町。屋根のしゃちほこは蛇を食べ、祀られたえんま様のお仕置きは厳しく、池の蓮の花からは毎日お釈迦様が生まれて来ます。黄金町はまるで日常が「まんが日本昔話」のようで、とても魅力的。時間も他の町よりものんびりと流れているようです。 ところが現実には色々な人間模様が展開しています。義理実家からのやんわりとした孫催促と失業への焦りを抱える青菜の周りに、個性豊かなキャラクターが登場します。ライフコーディネーターを名乗る、男前な風来坊的な千ちゃん。千ちゃんに惚れて、振り回されるダイアさん。神通力を持つ町の質屋の親父。そんな登場人物達の真ん中に居るのが、不思議な怒れる男の子のアーちゃん。町自体が単体の生き物のような黄金町で、怒れるアーちゃんはまさに体に出来た「腫れ物」のような負の存在です。でも町の住人はどれだけアーちゃんが悪さをしても叱ったりしません。最初はそんな町の住人達とアーちゃんに怒りを覚える青菜ですが、町の過去や伝説を知るにつけ、アーちゃんの存在を受け入れて行きます。青菜のアーちゃんに対する気持ちの変化が実に丁寧に描かれています。 質屋で手に入れた「おしゃべりオパール」との掛け合い漫才のようなコミカルな一面もありますが、青菜の心の揺れがとても繊細に描かれています。文体自体が面白く、物事が淡々と語られるので危うくその繊細さを見落としそうになります。そこがこの作品の大きな魅力でした。 1度目はファンタジーさが目を引く作品ですが、2度目、3度目に読めばもっと主人公や町の面々の顔が見えてくる、噛めば噛む程に味の出る作品でした。日常に追われて逃げ出したくなる時、「また黄金町に行ってみたい」と思わせる良い作品でした。第36回「すばる文学賞」受賞作です。文学界にこのような新しい感覚の小説が登場し、嬉しい限りです。
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ヒロインは、青奈です。「青菜」ではありません。
黄金町に引っ越してきた青奈と那津男。 小さな町だけに、みなが知り合いで、一たび外に出れば 挨拶で頭を下げること数知れず、面倒なところもあるが 昭和の香りもする、何とも平和な町だ。 青奈は思っていた仕事がうまくゆかず、失業状態だったが、 露天商の千ちゃんに拾われて、何とか仕事にありついた。 千ちゃんの紹介で広がる人間関係が、青奈に町のことを 包み隠さず教えてくれる。 何かあると一晩で町中に知れ渡ってしまう、プライバシーの なさに辟易しつつも、愛すべき人びとの中にいる自分に 気が付く青奈なのであった。 多情な千ちゃん、悪戯好きで不思議な少年「アーちゃん」、 剣を振り回すパフォーマーの不動さん、ダイヤさん、マサエさん…。 そんなに大勢出て来ないが、どうも平板でメリハリがない。 意外性のあるクスグリは、あまり面白くない。 心理描写は良いのだが、背景が今一つというところだろうか。 次回作に期待。 ところで上欄の商品説明に「青菜」とあるが、正しくは「青奈」ですね。
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ふかみのあるファンタジー
序盤、黄金町に引っ越してきた主人公夫婦の日常が緩やかに描かれていきます。やがてそこにファンタジー要素が加わって、思いもかけない世界に読者を引き込んでいきます。 タイプとしては、よしもとばななや藤野千夜らに通じるものがありますが、主人公が目の前に現れる課題やテーマを思案しながら乗り越えている様は、読者に深い問いかけを投げかけていて、筆者独自の視点を強く感じました。 「大人のファンタジー」と発行者の紹介にもあるように、夢のあるファンタジーに人間の根源的な問題をさらりと乗せた作品です。 軽快で伸びやかで、それでいてとても深さのある小説だと思います。
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もしかしたら黄金の庭とは‥
つらつらと長い文章の区切りに初めはとまどうカモしれないけれど 後半そんなことも忘れて一気読みイケマス。 この話で一番魅力的だったのは“アーちゃん”の存在かもしれない。 もしかしたらそれが大テーマといったっていいくらい 私にはこの話の核に思えた。 “アーちゃん”はすべてのひとの中に住む。 なのに、見ないことにされたアーちゃんは 誰かが替わりに背負ってこの現実世界を掻き回す。 “アーちゃん”に対するOK感、 温かいまなざしとでもいうようなものが全編の底に流れ それはこの大変な現実世界への愛情にも感じられ この物語を魅力的な世界に築き上げた原動力のようにも思えた。 ならば“アーちゃん”はジツは希望の化身なのかもしれない。 もしもそれに気づけたら、それは現実に今ここで生きる小さくて大きなヒント。 住み難さ、生きにくさに小さな風穴を開ける 春の芽吹きの最初のひと芽ともなれるかもしれない。 いいヒントをくれるのはいい物語。 最後に。 いろんなひとがいろんなところをピックアップしてくれるだろうから 私は何気なくて実は至極いいところを‥ 『珈琲のいい香りが部屋にみちる。庭からはいってくる日差しは飴色でその光をあびながらクロワッサンなど食べていると、失業中だとか不妊だとか、そういうことはどうでもいいや、というような気になってくるから不思議で、まあなるようにしかならないさ、と鷹揚な気分にもなり、けっきょくこの小さな世界で手にすることができることなんかほんのわずかで、その手にすることができることっていうのは、もしかしたら、雑草だらけの庭をながめながら珈琲を飲んで、昨日のことも明日のことも考えないこんな瞬間だけなのかもしれないな、なんてことを思っていた。』 ひとってこういうことの実感と大望の、両輪がバランスいいんじゃ。 大望だけじゃ何かを置き忘れる。 肩に力を入れ過ぎてガチガチに突き進むと破綻が訪れる?カモ。 共感。 あ?これが黄金の庭か?なーんて。
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