書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 2023-12-05
- ページ数
- 344ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.4 x 2.6 x 19.4 cm
- ISBN-13
- 9784087718560
- ISBN-10
- 4087718565
- 価格
- 1900 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第60回谷崎潤一郎賞受賞 第74回芸術選奨文部科学大臣賞受賞 あれから何年経っただろう。あれからって、いつから? どのできごとから? 日本を襲った二つの大震災。未知の病原体の出現。誰にも同じように流れたはずの、あの月日──。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、叙事的長編小説。 始まりの前の続き、続きの後の始まりを見下ろし、あの中のどこかにわたしもいる、と思った。(一穂ミチ・作家) 【著者略歴】 柴崎友香(しばさき・ともか) 1973年、大阪府生まれ、東京都在住。大阪府立大学卒業。1999年「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」が文藝別冊に掲載されデビュー。2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞を受賞。2010年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞。その他に『パノララ』『千の扉』『待ち遠しい』『百年と一日』ほか、エッセイに『よう知らんけど日記』など、著書多数。
レビュー
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すべての出来事が切ない
震災やコロナや戦争、いろんな出来事がそれぞれの人生に深くからまる。いつそれが始まりいつ終わるのか、どんな影響を残していくのか。ていねいに描かれていて、誰もが、ああ、これは私だと思うページに出会う。
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自分には書けないと思っていてもなにか少しでも書くべきだったと思ったんです
新型コロナウイルス全盛期、対処法が確立されていない中、人々はその脅威に対してどのように向き合い、それと共に暮らしてきたか、ということを物語にした本です。 物語の時期は、2020年3月から2022年2月まで。 物語は、パンデミック(世界的大流行)~ワクチン接種開始~東京オリンピック、と進んでいきます。 「突然マスク屋ができてる」という情報があれば、遠くてもそこまで通って一箱2500円で購入したり、 緊急事態宣言が発令された時は、通勤をやめてリモートワークにしたり、 客数が少なくなっても補助金を申請して普段よりも儲かるようになった店があったり、 それとは逆に客数が少なくなった影響で閉店する店があらわれたり、 などなど、当時の状況があれやこれや記載されています。 正直な話、この本を読んでいる時はかなり退屈でした。 なぜかというと、書いてあることのほとんどが知っていることだったからです。 私はこの本を、2026年3月に読んだのですが、6年前に経験したことがそのまま書かれているだけなんですよね。 そういえばそんなこともあったなあと、忘れていたことを思い出すことはありましたが、思い出したところで懐かしさを覚えることはなかったですし、何か新しい発見があるわけでもなかったので、ただただ退屈でした。 でもそれは新型コロナウイルスを経験している人間だからこそそう思うだけで、経験していない人にとっては、こういう世の中があった、という事実を知ることができる良書になると思います。 第12章に、この小説を書くきっかけになったと思われることが、登場人物(作家)の声を使って語られています。 「昨年三年ぶりに刊行した長編小説は、忘れていた過去が今の自分や周りの人間関係にどう影響しているかをテーマにした話だ、と説明されていた。これを書こうと思ったのは、コロナ禍で一人で今までのことを見つめ直す時間ができたのもあるし、東日本大震災から十年が経つこともありました。実は、震災の一年後に津波で大きな被害を受けた場所を訪れたのですが、そのとき見たことについてはいまだになにも書けないんです。一行も。なにか書くつもりで行ったわけではないのですが。私は大学生の時に阪神・淡路大震災を経験していて、でもうちの周りは被害がたいしたことなかったから、そんな自分には書けないと思っていたんですね。でも二〇一一年に東京で震災を体験したとき、自分には書けないと思っていてもなにか少しでも書くべきだったと思ったんです。直接大きな被害を受けたわけではなくても、なにか少しでも伝えられることがあったんじゃないかって。 それなのに、また書けないんですよね。十年経っても、なにをどう言葉にしたらいいのかわからなくて。その思いが、今回の小説につながっていると思います」 物語の中には、東日本大震災(2011年)や、阪神大震災(1995年)の話が何度も出てきます。 震災や新型感染症の流行は、それぞれ単発の出来事で、他と連動するものではないのですが、本書のタイトルにもあるように、それらは続いているものであり、新たな災厄の始まりでしかないのかもしれません。 新型コロナウイルスの時系列は以下の通り。 2020年1月:日本国内で初めて感染者が確認される 2020年3月:世界保健機関(WHO)がパンデミック(世界的大流行)を表明 2020年4月:緊急事態宣言が初めて発令される(日本) 2020年12月:ワクチン接種開始(世界) 2021年2月:ワクチン接種開始(日本) 2021年3月:変異種拡大(アルファ種) 2021年7月:東京オリンピック 2021年12月:変異種発見(オミクロン株) 2022年1月:オミクロン株拡大
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メッセージ性が強い
柴崎さんの作品、全部読みやすくて、小説が苦手な私でも読めます。
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この傑作が英訳されることを全力で祈ります。
何度読んでも、このような小説が存在することが信じられません。かりに著者の数多くの作品からたった1冊だけ、この作品「続きと始まり」ほんの1冊だけを取り出して著者の評価(エラそうにすみません!)を決めたところで、その評価が著者にとって不当なものになることはまずあり得ない。そのような途方も無い作品だと感じます。その一方で、第三者からの評価を受け付けない作品であるとも思います。小説に限らず、絵画にしろ音楽にしろ真の芸術とはそういうものだと思います。存在そのものに価値が宿り、称賛も評価も不要、、、、。作品のみならず柴崎さんも、もしかするとそのような書き手なのかも知れません。日本に生まれて良かったと心底思います(さしあたりこの作品は日本語でのみ読むことが出来るので)。