日本の文学賞

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泡の子

すばる文学賞

泡の子

樋口六華

新宿歌舞伎町のトー横を舞台に、居場所のない若者たちの感情の揺れと、壊れた街で生き延びようとする切迫感を描いた作品です。断片的な場面をつないで、依存や暴力、喪失のなかにある関係のかたちを浮かび上がらせます。

トー横歌舞伎町十代の孤独依存生存

作品情報

壊れた街で、それでも彼女の隣にいたいと思った。

第48回すばる文学賞受賞作として、集英社から2025年2月に単行本化された作品です。新宿歌舞伎町の通称トー横で生きる若者たちを、断片の積み重ねから立ち上げる構成で描き、選考委員の田中慎弥はその描写の危うさと切実さに強い評価を示しています。刊行後の対談でも、街の空気と登場人物の感情を丹念に追う作風が語られました。

レビュー要約

  • 舞台の空気を徹底して描き、断片をつないで物語にまとめ上げる構成力が評価されている。題材の危うさはあるが、描写の切実さが強く残る作品として読まれている。

  • 読者の反応はかなり割れる。文章力や描写の鋭さを推す声がある一方、断片的な構成や題材の過激さに戸惑う感想もある。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2025-02-05
ページ数
126ページ
言語
日本語
サイズ
12.1 x 1.4 x 19.4 cm
ISBN-13
9784087718935
ISBN-10
408771893X
価格
1760 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

【21世紀生まれ初受賞/第48回すばる文学賞受賞作】 危険な小説だった。それでも、ここにある描写が好きだ。――田中慎弥氏(選評より) 新宿駅東口。退廃的で無秩序。 私はこの現実で、彼女のために何ができる? 歌舞伎町の『王』が捕まった時、七瀬は「あ」と言った。 私は、その幽かな叫び声を隣で聞いた。 ここはつまらない奴らばっかりがいる場所だけど、七瀬だけは違う。 だから、彼女の隣にいても息苦しさは感じなかった。 薬で強制的に引きずり込まれた夢の中にも、七瀬は現れる。 私は、彼女とこの場所に、まだしがみついているのかもしれない――。 これは、2007年生まれの若き著者が贈る、 終わってる世界で生きる「私たち」の物語。 【著者略歴】 樋口六華 (ひぐち・りっか) 2007年生まれ。茨城県在住。 2024年「泡の子」で第48回すばる文学賞を受賞しデビュー。

レビュー

  • 後世畏るべし

    歌舞伎町トー横で若さを消費しながら生きる少女達。パパ活、OD、性暴力と死‥ 私達の傍観とバイアスを蹴散らす、血を吐くような描写がリアル。あら削りではあるが、主人公の視点の鋭さに思わずうなる。若者を追い詰める大人社会の無力さが露呈され、正直情けない。 作者はまだ18歳?凄まじいですね‥数年後には芥川賞をとってそう。(ご本人が望むかどうかは別として)後世畏るべし。

  • 端正な文章

    題材はトー横キッズと最近のはやりだが、文章が端正でいいと思った。むしろあれとかあれが三島賞や芥川賞の候補になっていて、なんでこれがならないんだと怪訝の念を抱いた。インタビューを読んでもこの年齢でかなりの文学読書量があり、以後注目すべき作家だと思う。

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