作品情報
誰にも居場所を見いだせない感覚が、言葉の熱として立ち上がる。
すばる文学賞佳作として読まれ続ける初期作で、強い感情の手触りが印象に残る。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 1992-02-05
- ページ数
- 208ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784087728354
- ISBN-10
- 4087728358
- 価格
- 241 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
三島は女で、あたしも女。三島は女が好きだけれど、あたしは女が好きでもないのに、三島に抱かれることばかり考えている。女子高生と女教師・三島の妖しい愛の行方。第15回すばる文学賞佳作。
レビュー
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良問題作
やさぐれた狼少女が非常勤講師にどんどんと絆されていく様子がかわいい。すっとこどっこいで陽気だけど影のありそうな教師の女性のキャラクターも狼少女との対比でとても綺麗に収まっています。 所々同性愛者への古い価値観、差別発言などは時代もあってさほど気になりませんでしたが、苦手な方は注意した方が良いかもしれません。 この作者の文体、個人的になかなか好きなのですが新作を書かれることはもう無いのでしょうか。
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ハッピーエンドがいい
狼少女が、だんだんと気持ちが変わってゆく様がなんかいい感じです。
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孤独からの恋愛
恋愛について語るのはレビュアー少し照れますが, つまるところ孤独を感づいてくれる人との出会いが 結婚へ向かう条件闘争を抜かした恋愛となるのではないかと感じています。 その意味でこの小説は中心ど真ん中の恋愛小説です。 レズビアンであると公言している高校教師 三島に 父親がホモセクシュアルであるためにいわれなき虐げをうけてきた狼少女がほしいと感情を募らせます。 孤独は幸せに埋め合わされるのでしょうか。 回り道ばかりの恋愛道にゴールはあるのでしょうか。 というとても優しい(しかし暴力的な)小説です。
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狼である必然
そうか、彼女は“狼”なのだ。読了後しばらくしてから思い出した。燻る腑に落ちなさを飲み込んでしまおう。彼女にはシンパシーも同情すらも必要ないのだ。狼だから。 例えば、冒頭で描き出される誰も居ない生徒会室。揺らぐ煙草の煙。あるいは居場所のない家と男しか居ない部屋。あたかも十代の頃に夢想した不安と不毛を呼び覚ますような筆致は読者をどぎまぎさせるに十分足る。剥き出しの壁を背に蹲る少女の肩に手を置いて、ああ、お前も狼であったか、と。だが我々はそこに通り過ぎた日の甘美な寝床の匂いを嗅いではならないことをやがて直感するに違いない。かの少女は真性の“狼”なのだから。狼は純粋かつ孤高でなければならない。所詮饐えた過去を余すだけの“自称“狼であった我々では到底その清亮めく血の宣託を窺い知る由もないのだ。だからこそ、なんの前触れもなく明かされるオヤジや、親子の秘密に、自称狼たちは狼狽えたり失望したりしてはならない。天性の狼である彼女には、我々が嘗て心に抱いたような「理由の無さ」も「行き場の無さ」も、ましてや構造も精神分析も要らない。むしろ判り易過ぎるようなトラウマや安直な心の傷こそ賦与されて然るべきなのだ。繰り返される自暴と更生というスティグマは明快な分だけ純潔であり、同時に我々を白けさせる。教師三島が抱きしめる以上に痛々しい傷跡がそこに開く。 しかも狼の喘ぎは死絶の歌でさえある。彼女を取巻く筈の人獣相克の物語は最早御伽噺である。親父の身勝手は単なる勝手としか描き得ない。彼らを縛り、解き放った時代のドラマはその骸を晒すばかりなのだから。狼たちはただ茫洋たる世界で微熱によってよろめき、読者はそれをどこまでも傍観する。現代の紙面に狼を降ろす難しさ、彼女の痛々しさはそれを暗示して余りある。
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狼少女
この物語について、ひとことで言ってしまえば 同性愛の女性同士の恋愛物です。 ただ、いわゆる百合小説というジャンルを好むひとには、あまり受けないのではないかと思います。 なにせ主人公が、狼少女ですから(笑) もちろん本当の狼少女ではないですが、スレてて、弱くて、攻撃的で、男には暴力を振るわれつつも離れられないそんな少女だからです。 同性愛者の義理の父親、暴力的な彼氏、非常勤の同性愛者の教師。 彼女の周りのすべてのモノが、彼女を苛立たせて、翻弄します。 そんな中から、彼女は自分にとって大切なものを自覚します。 そして、彼女は一度死にます。(比喩) そして羽化する蝶のように、本当にのびやかに愛する人と結ばれます。 そのあたりのくだりが、本当にいいです。 設定が暗くてドロドロしてるからこそ、後半の心の表現が美しく鮮烈でした。 ぜひ、一度読んでみてください。
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先生と生徒
父親はホモで自分は養女、 彼氏は少年院上がりの暴力男、 そして何かとかまってくる社会科非常勤講師三島(女)は… 同性愛への反発とそれでも どうしようもなく 彼女に惹かれていく少女の戸惑いを描いた物語。 飄々としていてセクハラ親父すれすれの 三島先生がとても魅力的!
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