日本の文学賞

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バーバーの肖像

小説すばる新人賞

バーバーの肖像

早乙女朋子

父の不在を抱えた主人公が、幼い日の記憶に現れる「バーバー」の姿をたどりながら、家族のかたちを見つめ直す作品。

家族記憶アイデンティティ

作品情報

遠い日の愛と癒やしをたどる、いびつで純粋な家族の物語。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
1995-12-01
ページ数
153ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784087741773
ISBN-10
408774177X
価格
2251 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

第8回(1995年) 小説すばる新人賞受賞

レビュー

  • 何度でも読み返したい物語

    細かいディティールにも目を向けて読みたい作品。 独特な体験をもとに描かれているのかと思います。 読み返す度に新しい発見がありますね☺

  • スポーツ新聞のコラム欄や月刊雑誌などで活躍されている滝川杏奴先生の処女作。

    フィクションなのかノンフィクションなのか分からないままに独特の不思議な世界に引き込まれていきます。 官能作家としてのみならず、日活ロマンポルノ全盛期の広報担当者としてのキャリアなどから様々な分野で活躍されている滝川先生の源泉がここにあるようにも思えます。

  • 家族の陰と陽に翻弄されながらも生きる主人公に圧倒されました

    家族の闇を幼い頃から現実逃避しつつも蛇が脱皮するが如く徐々に成長するにつれ、冷静に時には混乱しながらも現実を受け入れていく主人公と母親(超個性的な)と逞しい姉を渦潮の様にかきみだす父親の存在に複雑な思いを感じました。主人公のバーバーへの想いとバーバーが主人公に語りかける言葉の深さに私は涙が止まりませんでした。作者が主人公の強い感受性を見事までに素晴らしく表現されている事に鳥肌が立ちました。

  • この世にふたつとない自分の人生を描いた傑作!

    作者の半自伝(むろん脚色はあるにせよ)というが、幼少期の話が子供目線で綴られていく。能天気な母親、律儀な姉、そして二人の父親の存在。対照的な二人の父親(その片方がバーバーと呼ばれる主人公とは血の繋がりのない父親)の狭間で揺れる主人公に思わず、応援の声をかけたくなる。その日常生活が、まるで映像を観るかのように展開していく、映画のような小説だ。 作者は、もともと映画会社の宣伝部に勤務していた。そこで志していたひとつにシナリオ創作があったという。それが退職後に、こうして小説として結実した。映画の礎(いしずえ)となるシナリオに関して、かつて新藤兼人監督は「誰でも1本は傑作が書ける。それは自分のことを書くことだ」と言っている。そう、これこそ、作者の正直な「自分の話」であるがゆえにの「傑作」といえる。そして、これは決して作者だけの他人事でなく、だれもが持つ親子の関係にもつながっていくテーマとして請けいれられることだろう。 バーバーが小説内で言うように「この世に二つとない、味や香りのものを大切にしなさい」との言葉に従い、香りの高い紅茶に甘いスィーツでも添えて、至福の読書体験に浸るのもいいかもしれない。

  • ちょっとした衝撃を受けた作品

    十八年も前の作品とは思えないほど瑞々しい作品。 往々にして女流作家は凝った文体であることが多く、男性読者としては辟易させられることもしばしば。しかしながらこの作家さんはその一歩も二歩も手前で踏みとどまり、読者を不快にさせたり困惑させることがない。 バーバーとは何者か? というのが主人公の長年の疑問であり、この小説のテーマでもある。読者はその 結末を心待ちにしつつ読み進める。個人的にはもっと優しい、そして有り勝ちな結末に落ち着くのかと思い きや、意外な結末に驚かされる。 前半から中盤までの、一種幻想的なタッチからは想像もつかない、リアルな結末(つまりバーバーの正体) は、この作品に大きな力を与えていると思う。このタッチの差が作品の持つ力なのだろう。 この作家さん、今は活躍してないみたいですね。いわゆる一発屋で終わっちゃったのかな。せっかく才能 あるのにもったいない。まだまだお若いのだし、是非復活して頂きたい作家さんです。

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