日本の文学賞

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白の咆哮

すばる文学賞

白の咆哮

朝倉祐弥

北陸の「土踊り」と九州山間部の「入植者」という二つの集団の興亡を、圧倒的なスケールで描く。第28回すばる文学賞受賞作。

共同体熱狂土地対立若者

作品情報

熱狂が生む共同体のかたちを、鋭く描き切る。

第28回すばる文学賞受賞作。2005年に集英社から単行本刊行。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2005-01-05
ページ数
160ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784087747447
ISBN-10
4087747441
価格
385 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

現代に生起した二つの熱狂の興亡を描く! 〈土踊り〉と呼ばれるカルト的な舞踊と、コミューン的な「入植生活」。入植者の主人公は、日本全土を手中にした〈土踊り〉に入植地が制圧されるのを眼前にし、ある運命を受け入れようとする。第28回すばる文学賞受賞作。

レビュー

  • 重厚なるデビュー作

    精神的に廃頽した日本が舞台。鬱屈した状況から抜け出したいという趣旨は同一ながらもマジョリティとマイノリティへと変遷していく土踊りと入植者たちの攻防が描かれる。(過大評価とはわかった上で)ガルシア=マルケスや大江健三郎を髣髴とさせる濃厚な寓意小説。一文一文に重みがあり惹きつけられ、多少硬さの目立つ文体ながら、最近の暴力や歪んだ性などを描くだけの新人賞受賞作とは一線を画しているように思われる。次回作も今作のクオリティを下らないことを期待する。

  • 人間が求めるもの

    日本は灰色の毒に犯されていた。停滞し、沈鬱な状況にある日本で、北陸地方から「土踊り」なる現象が巻き起こる。少年達があみだした、その踊りは、やがて全国を席巻し、蹂躙し、単一のある宗教のようなものとして定着していく。「土踊り」が目指したものは、踊りによる意識の共有と、それによって沈滞した社会を活性化することだった。それに呼応するが如く、九州の山間に、「入植者」と呼ばれる、自給自足をモットーとする小さな自営集団が表れる。小さなコミュニティの中で、人としての関わりを濃密化し、生の意義を高めようとする「入植者」と、大きな波の中で全ての意識を共有化しようとする「土踊り」の対立は不可避なものである。 「入植者」の中で、「交渉者」という役割を割り振られた主人公は、元ジャーナリストという視点から、「土踊り」の今後をも見据えながらも、その巨大な力になす術もなく翻弄されていく。方法論は違えこそすれ、目指すものは同じであった筈の二つの運動。果たして、我々が選びうる最良の社会などないのであろうか? 若干27歳とは思えぬ筆の冴え。圧倒的な迫力で最後まで読み通してしまいました。久しぶりの純文学の本格派デビューという感じです。これが芥川賞の最終候補に残らなかったのが不思議なくらいです。

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