日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」
水谷竹秀によるノンフィクション。フィリピンで困窮し、帰国も生活再建も難しくなった日本人男性たちを取材し、個人の失敗だけでは語れない社会的孤立を描く。
作品情報
フィリピンで帰る場所を失った日本人男性たちの現実を、現地取材から描き出す。
『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』は集英社刊。現地の邦人社会と支援の隙間に置かれた人々を追い、第9回開高健ノンフィクション賞を受賞した。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 2011-11-25
- ページ数
- 296ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784087814859
- ISBN-10
- 4087814858
- 価格
- 980 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
フィリピンクラブとの出合いが、フィリピンへの逃避行、無一文への転落と5人の男の運命を変えた。今や社会問題となりつつある「困窮邦人」の実態を徹底的にあぶり出す渾身のノンフィクション。第9回開高健ノンフィクション賞受賞作!
レビュー
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ほとんど知らない世界でした。
フィリピンパブには行ったことがないけど、そんなに楽しいところなんだろうか。 浮かばれない生活をしていて、急に沼る感じなのかもしれない。 そういえば、15年くらい前に、フィリピンへ移住予定という方がいた。 気候も良いし人も良い、家族も優しいと言っていたのを思い出した。 ちょうど作中の年代とも重なるので、彼の姿を重ねて読んだ。 彼もたしか糖尿病を患っていたが…
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期待通りの商品でした。
期待通りの商品でした。
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冷静な目でフィリピンに生きる「困窮邦人」をルポルタージュした書籍です。
冷静に書いてはいますが、読む者にっては「もう沢山」と思えるような事例が出てきます。 見えない影の部分を明らかにした書籍としてはおすすめできます。 しかし、記述の内容で共鳴や共感する部分は、私の場合ありませんでした。 自戒の書とします。
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戦後日本国が発展の影での忘れられた人間愛
悲しくなった作品。
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個々のエピソードは面白い
フィリピンで困窮状態にある日本人についてのエピソード、そしてそういった日本人を生み出す日本社会について書かれている本である。 困窮状態に陥るパターンとして、 ・フィリピンクラブで知り合った女性に日本人男性が熱中し、女性を追いかけてフィリピンに滞在 ・日本に戻っても孤独でつまらなかったり、借金や犯罪で楽しい生活がない ・日本に帰らずビザの期限切れ、不法滞在 ・罰金等も払えずそのまま こんな感じ。 この本を通して筆者は、困窮邦人がでてきてしまう背景には日本社会の閉塞感とか社会に異常があるのではないか、と言いたいようである。 そんな気もするが、違和感もある、というか説得力に欠ける。日本だけを問題にしているので違和感がある。視野が少し狭い。 確かに、安定した仕事に就けず面白みのない生活だったり、養子として結婚し肩身の狭い環境で息が詰まっていたり、家族とは疎遠の状態で孤独であったり、現代社会でよく言われるような問題はあると思う。 ただ、これが日本だけの問題なのか、先進国の中ではどうなのか、というところまで考えないと、日本だけが問題あるように思えてくる。 本当に日本だけの問題なら対策をうつべきであるし、先進国でも同じような事例があるなら、それまでふまえたほうが良いと思う。 フィリピン人は家族のようにふるまってくれて優しい、確かにそうかもしれないが、それはもう金をもっていない日本人だからであると思う。 金を持っている日本人からはしっかりと搾取している。フィリピン人だから優しいわけでもなく、人それぞれだと思う。 興味深いエピソードは多く、読む価値は十分にある。ただ主張や見解に対しては「はい、そうですか」とは思わない。
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フィリピンの路上で暮らす日本人のリアル
人間はこうしてあっけなく壊れるんだ、とため息が出た。 本書に登場する困窮邦人のひとり、星野氏は 33年間、仕事一筋で女遊びはしたことがなく、酒もほどほど。 気晴らしはたまのゴルフと居酒屋。 妻はしっかり家を守り、子どもは2人とも大学へ。 絵に描いたような、優等生サラリーマンだった。 ところが単身赴任先の、同僚と入ったフィリピンクラブで 若い子にキャンディを口移しされた瞬間、ネジがふっ飛ぶ。 週5回ペースで閉店まで飲み、土、日は気に入った子を連れて外出。 2年で1千万円つぎこみ、25歳年下のフィリピン女性との結婚を心に決める。 フィリピンの女の子は底抜けに明るく、やさしく、肉感的で お金が続く間は、年の差なんて 全く気にせず、ニコニコして尽くしてくれる。 くたびれた女房をポイ捨てしたくなる気持ちもわかる。 星野氏は、希望退職に応じて手にした4900万円を、 妻には一銭もわたさず全額持って フィリピンに移住する。土地を買って家を建て、新妻の兄弟のために ジープを何台も買い、詐欺同然の養鶏場ビジネスに1千万円投資…と 金がみるみる目減りしたところで、銀行口座をあずかる 妻と険悪になって自分の方が家を追い出されて実質、無一文に。 年金生活が始まるまでの約束で アパートの家賃、光熱費代、米を、妻に恵んでもらっている。 著者は「フィリピンへ渡った経緯を星野から聞くと、 それまでの彼の仕事人生は何だったのかと思わされる。 ロボットのネジが1本はずれ、頭のてっぺんから足のつま先まで、 各パーツがばらばらに地面に落下する。まるで雪崩のように 崩れ落ちる映像が星野の人生とダブって見える」と書いている。 著者自身、タイで現地女性にハマって、 文無しになる寸前で帰国した経験があるという。 本書には、派遣労働者や新聞配達員、借金地獄など、将来の展望のない中年独身男性も登場する。 陽気で若いフィリピン女性を追いかけて日本を出るが、結婚詐欺だったり、所持金を使い果たして捨てられ、 教会や路上やビルの屋上で寝泊まり。 驚いたのは、日本人ホームレスに食事を分けたり、寝たきりになると数人で世話をする フィリピン人も数多くいるということ。キリスト教徒が8割以上で「困った人を当たり前に助ける」国民性があり、 とことん困窮した人に優しい。教会も24時間、門戸を開けているところがある。 女性に目がくらんで行き当たりばったりでフィリピンに渡り、 家族や親戚からは見放され、 甘えさせてくれる現地人に迷惑をかけ放題で、 ホームレスのまま10年も20年も生き続ける。 それは、日本で生活保護を受けて アパートにぽつねんと暮らして孤独死するよりは ぬくもりのある人生なのかもしれない。 著者の、周辺取材も含め きめこまかく人間味にあふれた 取材の積み重ねに敬服した。
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普通の星しかつけられなかった。
自らフィリピンに逃げた人(目的があっても)に対して 嫌な気持ちも良い気持ちも持てなかった。 人間誰しもどこかで迷う時にどちらかの道を歩んだとしても、それを誰も否定出来ない。 なんて考え深くなってしまう東京の一人暮らし。 良書。
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日本は本当にいい国なのだろうか?
「困窮邦人」 自分の意志で海外に出かけ、そのまま文無しになり、帰国ができなくなっている日本人の事を指すそうです。 そんな言葉があることをこれまで知りませんでした。 この本を読むまで自分は、海外へ渡航し、帰国しない(できない)人は、日本国内で、犯罪とか、借金とか、いろいろ訳ありで、自身の意志で逃亡出国、犯罪人引渡し条約を締結していない向こうの国で、そこそこ楽しくやっているんだろうなぁ、程度の認識しかありませんでした。(何故か日本との間で犯罪人引渡し条約を締結しているのは,アメリカと韓国の2カ国のみとのこと。これは他国と比べると極端に少ないそうです・・・。ちなみに米英は110カ国とのこと・・・。) 本作によると、2010年に在外公館に駆け込んで援護を求めて来た困窮邦人の総数は768人。フィリピンが332人と最も多く、2位のタイ92人を3倍以上引き離しているそうです。フィリピンは2001年から10年連続で最多、数字だけ見るとフィリピンだけで全体の43%を占めているとのこと。 著者は、何故フィリピンに困窮邦人が多いのか?どうして、このような状況になっているのかを、実際に多くの困窮邦人に取材することで、鋭く抉って行きます。 そして、最終的に「彼らが捨てられたのではなく、実は日本が捨てられたのかもしれない?」という疑問に行き着きます・・・。 物質的には比類のないくらい裕福になった日本。そのトレードオフで何を失ってしまったのでしょうか? 自分は本作を「明日は我が身」と、所々暗い気持ちになりながら読んでしまいましたが、これから読む方には、敢えて本作を、その部分ではなく、どんな人達でも受け入れてくれる、フィリピンのもしくはフィリピン人の素晴らしさを紹介した本と捉えてくれればと思っています。 しかしながら、そんな素晴らしい国フィリピンも、徐々にお金という毒に汚染され、遅かれ早かれ日本のような国になってしまうのでしょうね・・・。なんだか、無性にむなしいです。