日本の文学賞

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大陸の細道 (P+D BOOKS)

芸術選奨文部科学大臣賞

大陸の細道 (P+D BOOKS)

木山捷平

『大陸の細道』は、木山捷平が中国大陸での見聞と記憶をもとに、旅の時間と人間の姿を淡々と描いた紀行文学。派手な事件ではなく、土地の空気、移動の感覚、異郷で出会う人々の印象を積み重ねることで、戦前・戦中期の記憶を静かに浮かび上がらせる。

紀行文学中国大陸戦争の記憶私小説的観察

作品情報

大陸を歩く旅の細い道に、時代の記憶と人の気配が重なる。

木山捷平の代表的な紀行文学。第13回芸術選奨文部大臣賞の対象作として記録され、のちに講談社文芸文庫や小学館 P+D BOOKS で刊行された。小学館 P+D BOOKS 版の ISBN 9784093524070 を確認し、ISBN-10 は 4093524076、紙書籍の ASIN も同値として補完した。

書籍情報

出版社
小学館
発売日
2021-01-14
ページ数
266ページ
言語
日本語
サイズ
12.8 x 1.7 x 18.2 cm
ISBN-13
9784093524070
ISBN-10
4093524076
価格
740 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

ソ連軍侵攻直前の満州を、ユーモラスに描く 昭和19年、いわゆる“三文文士”の木川正介は、永く喘息と神経痛とを患っており、招集も受けずにくすぶっていた。そこへ、某開発公社の嘱託の話が舞い込んできて、厳寒の満州に赴くことに。物資不足などで環境は厳しいものの、内地にいるより自由がきく日々をそれなりに楽しんでいた正介だが、突然、召集令状が舞い込んできて――。 戦争に対しても、上官に対してもシニカルに見る姿勢を保ちつつ、現地の人々との交流など満州での日常を、生々しくユーモラスに描いた傑作長編小説。第13回芸術選奨文部大臣賞受賞作。

レビュー

  • ユーモラスでは片付かない

    〇40歳にもなろうとする年に、しかも1944年に満州に渡るというのは、どんな気分だったのだろうか。その後の歴史を知る者としては、どこか身を捨てるような道行に思えてならない。 〇ふるさとの岡山でなくても、もっと気候のいい、身の置き所が他にあったのではないのか? なぜこんなどこか思い詰めた、無惨な方へ傾いていくような歩き方で進んでいったのか? 〇軽みとか、飄逸とか言うが、読んでいる間は、寒寒として、何もないような、殺伐とした気分にずっと取り憑かれていた気がする。簡単に人が死ぬわけでもないのに、軽々と命が砂埃と一緒に掃き寄せられているみたいだ。 〇だから木山捷平は、人生の甘さも苦さも噛み締めたような、通りのよい人間讃歌の人ではなく、どこか、おかしなところのある人だ、それがなんなのか、今はまだよくわからない。 〇ペーソスでお茶を濁したりしない、いや、多少はするかもしれないが、それだけでは、どうもないのだ。 〇このP+D BOOKSというのは、軽くて、字が大きくて、表紙の色が変わっていて、あとがきも、解説もなく、ぷつんと一つ作品を切り離してきたみたいでとても清々しい。でも、ぼくは、どうしても講談社文芸文庫版を読んでみたかった、吉本隆明が解説を書いている。 〇読んでみると、確かにそうだ、と思わせられる記述に出会う。この「大陸の細道」から滴り落ちたような作品として吉本は短篇「苦いお茶」を挙げている。「引揚者精神」というべき巨きな影への嫌悪と否定、と書いていたかと思うが、ぼくは、そうは思っていなかったのだ、肯定かと思っていたのだ。ぼくは、木山捷平が戦争末期に渡満する前から持っていた、そして帰還してからもあった、影について知りたいと思う。

  • 地元に面白い作家あり。

    作家の生家が近いので、作品をダブらせて呼んだ。なかなか手に入らない物をありがとう。

  • 満州生活についての私小説‼

    木山捷平氏は、日々の生活で起こったことを平易な文章で書いています。いわゆる私小説家ですが、K氏などと違って、なんとなくおもしろく書いているところが良い点です。 本作は、M農地開発公社嘱託として満州で生活した時の内容となっています。敗戦が濃厚なのに、なぜ渡満したかというと、実は満州にはお酒がたくさん残っていたからでした。寒さと病気で、たいへんな苦労をしましたが、少しも暗さを感じさせません。ちょっと艶っぽいお話もあります。芸術選奨受賞作。 なお没後、多くの作品が講談社文芸文庫におさめられました。奥さんの功績が大きかったようです。

  • 敗戦の満洲

    敗戦時に満洲にいた経験を描いた長編のようだが、1947年1月「海の細道」『素直』 1949年12月「雪の原」『文藝公論』 1950年4月「白兎」『文學界』(48年春『作品』「どろ柳」の改稿) 1957年12月「花枕」『小説新潮』 と発表されたものを1962年にこの題で刊行し芸術選奨を受賞したもの。そのため最後の章は敗戦より前の満洲でのことを描いている。 木山はむしろ日常を描いた私小説のほうがいい。

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