小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの
小倉昌男 祈りと経営は、森健による受賞作。刊行情報と賞データを照合して整理した作品で、人物の選択や時代・場所の空気を通じて、読後に残る問いを描く。
作品情報
小倉昌男 祈りと経営は、受賞歴と書誌確認をあわせて読むことで輪郭が見えてくる作品である。
小倉昌男 祈りと経営は、森健の作風と受賞時の評価が交差する作品として位置づけられる。書籍として確認できるものはISBNを記録し、独立刊行が確認できないものは掲載媒体の識別子を流用せず、作品情報のみを整理した。
レビュー要約
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読者からは、題材への向き合い方と物語を支える筆致が評価されている。一方で、静かな展開や重い主題をじっくり受け止める作品として読まれている。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2016-01-25
- ページ数
- 270ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.8 x 2.4 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784093798792
- ISBN-10
- 4093798796
- 価格
- 2128 JPY
- カテゴリ
- 本/ノンフィクション/自伝・伝記
ヤマト「宅急便の父」が胸に秘めていた思い 2005年6月に亡くなったヤマト運輸元社長・小倉昌男。 「宅急便」の生みの親であり、ビジネス界不朽のロングセラー『小倉昌男 経営学』の著者として知られる名経営者は、現役引退後、私財46億円を投じて「ヤマト福祉財団」を創設、障害者福祉に晩年を捧げた。しかし、なぜ多額の私財を投じたのか、その理由は何も語られていなかった。取材を進めると、小倉は現役時代から「ある問題」で葛藤を抱え、それが福祉事業に乗り出した背景にあったことがわかってきた――。 著者は丹念な取材で、これまで全く描かれてこなかった伝説の経営者の人物像に迫った。驚きのラストまで、息をつかせない展開。第22回小学館ノンフィクション大賞で、賞の歴史上初めて選考委員全員が満点をつけた大賞受賞作。
レビュー
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知っておきたい内容の書籍です!
感動の実話、国民は、ぜひ知っておきたい内容です。
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素晴らしい小倉昌男評伝
第22回小学館ノンフィクション大賞受賞作品 素晴らしい小倉昌男評伝だと思いました。 ただ、筆者の森氏は「ブラザーサンシスタームーン」をご存じないのかもしれない。 小倉氏の洗礼名の「フランシスコ・アシジ」の理由はしっかり描かれていたが、、、 仕事と家庭そして苦悩。本書で綴られる小倉氏(1924-2005)がいかに利他として生きたかが丁寧な取材により示されている。そして行政と戦う姿よりは家族、会社の同僚や部下、社員との関係性を重視してその生き様を読者に見せてくれます。 備忘録メモ サービスが先にあり収益(利益)はそのあと 結核療養 恋人との別れ 信仰 ヤマト福祉財団へ財産寄付 ヤマト運輸本体と社員からの寄付も 東京高等学校(東高)での青春時代 自由な校風 同窓会で仕事の話をしたことはない 動物戦争 ペリカン便 カンガルー便 パンサー便 ライオン便等々 三越、松下との取引撤退(不公平な取引) 宅急便事業 開始後5年で損益分岐点を超えた 仕事では筋を通すが、長女のことには許してしまう 長女と黒人との交際、結婚の妻へのストレス 妻の葬儀での謝罪 2011年宅急便1個あたり10円の寄付 総額142億円 ヤマト福祉財団 障害者の自立と社会参加 あまりに低い障害者賃金 共同作業所を「経営」する概念導入 最初の挑戦は運輸省、次は郵政省、そして厚労省 スワンベーカリー(障害者によるパン屋)の展開 現在29店舗 笹川陽平氏も協力(日本財団) 小倉氏は日本財団の評議員(運輸省からの妨害を退け) イタリアでの聖フランチェスコ聖堂訪問(アッシジ) ある女性との出会い 旅行 長女家族(孫も)渡米後の小倉氏の面倒をみる 長女の「境界性パーソナリティ障害」からの回復 妻と長女の精神状態の病との対峙
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希代の経営者を一人の親として描く
クロネコヤマトの宅急便を生み出したヤマト運輸の経営者・小倉昌男の評伝。 国の規制と戦い事業を成功に導いても、家庭は不安定で娘のわがままに手を焼く状態。功成り名を遂げた晩年の小倉が福祉の活動に傾倒したのは、障がい者を支えると同時に、現役時代に家庭を安定させることができず悩み続けた自分自身の救済という意味合いがありました。最終章では娘が病から回復し父親と和解したことが記され、余命幾ばくもない小倉が人生の最期を娘の暮らすアメリカで過ごそうとした冒頭のシーンの意味とつながりが明らかになります。 希代の経営者を一人の親として描ききり、理想の人生とは何かを考えさせてくれる一冊です。
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まさに傑作。これまで読んだ小倉昌男本と全然違う
宅急便をゼロからつくりあげた小倉昌男という経営者はすごい人だと思っていて、ご本人の著書や評伝、ヤマトをモデルにした小説などもいろいろと読んできた。 これまでに読んだ本は、霞が関の役人とガチンコでケンカしたり、「サービスが先、利益が後」という精神を貫いたり、というエピソードが展開され、面白いんだけど、どれも話が似通っていた。 たぶん、ご本人が書いたものの後追い、便乗の類の本がたくさんあるからなのだろう。 それが、本書は全く違った。 小倉昌男は、経営者として前人未到の事業創設に挑みながら、「家庭」でもうひとつ大変な闘いに挑んでいたことが明かされる。 他のレビュアーの方も同じように感じているみたいだが、さながらミステリーのような凝った構成の本書に対して、ここでどんな中身が書いてあるかをすべて明かしてしまうのは野暮だ。 そう思うくらい、本書の内容は衝撃的である。 こんなふうに書くと、名経営者のスキャンダル的な内容かと思われるかもしれないが、そうでもない。 著者が小倉昌男の極めて私的なところに踏み込んでいるにもかかわらず、読後感は非常にいい。 むしろ、読んだ後、小倉昌男への尊敬の念は深くなる。 著者の誠実さが文章から伝わってくる力作であり、傑作だと思った。 少なくとも、最近読んだノンフィクションの中では、突出して面白い。 小倉昌男は現代の偉人であると同時に、普通の家庭人でもあった。 そして夫としても、父としても尊敬できる人間だった。 そうした人間的な大きさや深みが、氏の成し遂げた前人未到の業績の背景にもあったのだと納得させられる作品だった。 小倉昌男に興味がある人は必読である。 おそらくしばらくしたら、「本書を読まずして小倉昌男を語るな」という評価が定着すると思う。 そして、難しそうな本だ、経営者の評伝に興味はない、と思った人も読んで損はないと思う。 本書で描かれているのは「仕事と家庭」という、驚くほど普遍的なテーマだからだ。 まさに、文句なしの星5つ。
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経営者もひとりの人間である
宅急便の生みの親がどのような心の苦労をしてきたか、家族の話、かなりプライベートの深い部分が描かれており、これだけの内容がよく外に開示されたということに驚きを感じます。 しかしながら、名経営者の個人としての人生がどのようなものであったか、それがわかることは読者にとっては非常に意味があると思う。特に奥様の死にかんするあたりは、小倉さんの気持ちを察してしまい、その苦悩を想像しながら読み進めた。経営者もそのまえに一個人であり、そのバランスの中で生きている。
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自分もかくありたい、と思うお手本の人生を生きた人
第22回(2015年)小学館ノンフィクション大賞受賞作。史上初、選考委員が全員満点をつけて受賞したそうです。 書籍化にあたり「長いあとがき」が加筆されています。あとがきと言うよりは、終章と言う趣です。取材の焦点であった、小倉昌男の仕事や活動をともに支えた人々への取材結果の報告時の様子、小倉昌男の子息、息女のその後の劇的な変化などを盛り込んでいます。 取材対象の小倉昌男は、企業人として成功を収めた人です。 僕は先ず小倉昌男がどのように仕事で成功したのかを知りたいと、本書への期待をもって読み始めました。 次に、成功した結果を(凡庸に生きた僕などができない)何に生かしたのかを知りたいと思いました。 本書は、単に小倉昌男の人生を時系列に記すのではなく、よく練られた構成になっています。 序章「名経営者の「謎」」で晩年の小倉が渡米したいと言い出し、周囲が奔走した様子から筆を起こします。ここで、著者が取材を始めた動機となった「謎」が提示されます。 第1章「私財すべてを投じて」で、ヤマト運輸から退いた後の主な活動(福祉事業)への取り組みの様子を語り、序章の謎に対し、一応の答えを提示します。 第2章「経営と信仰」からは転じて小倉昌男の学生時代からを時系列で紹介していきます。 第8章「最後の日々」で、ほぼすべての謎が解けて本書は終わります。冒頭に記したように、第9章と言っても良い「長いあとがき」で後日談が語られ、謎が解けた結果を読んだ僕は、幸福感を味わいました。 全体を通しての感想は 「小倉昌男の人生は、人生の成功者と言うべき、間違いの無い、誰もが手本とすべき人生だ。」 でした。 苦労と努力の結果として築き上げた財産を有効に使い、周囲の協力も得て、死後も脈々と受け継がれる事業として残したことが窺われます。読者である僕は、たいした努力もせず、成功も収めていませんが、できる範囲で見倣いたいと思いました。 さらに、読み終えた後、しばらく咀嚼していると、小倉昌男が注いだ愛情のありかたにも、見倣うべき点が多々あると思い直しました。ちょうど 坂の上の雲〈2〉 (文春文庫) を平行して読んでいたところだったので、司馬遼太郎が描く正岡子規がその弟子に注ぐ愛情のありかたに共通のもの(執着)が描かれていることが発見できました。 弟子であれ、肉親であれ「執着は、迷惑だ。」が僕の信念でした。 つまり、本書を読んで、自分の人生観を否定された具合です。 ただし、自分の人生観を否定されて、素直に受け入れることができました。自分のことを頑固だと思っていましたが、本で読んだことを素直に受け入れる自分が新鮮でした。 おそらくこれが、著者の筆力というものなのでしょう。 執着を持って愛情を注ぐ対象がいる人生は素晴らしい。と羨望する自分も新鮮でした。 本書の主題は(僕が読んで感じたことですが)以上のような、愛情に溢れる人生のお手本と言うべきものです。 加えて、肉親以外の人との(強い執着を伴わない)信頼関係に基づく充実した日々も描かれていることが慧眼だと思いました。 特に第6章「土曜日の女性」で描かれる、小倉昌男の最大の理解者と思われる人への取材結果に目を見張りました。 なぜ小倉昌男が、やっかいな官僚たちと闘いながら「宅急便」と言う事業を構築できたのか。推測としてこの女性が語る内容に「あ、この人は本当に小倉昌男を理解しているのだな。」と納得しました。 強い絆でつながった肉親とは別に、深く理解してくれる人が周囲にいたことが解ります。 今、この感想を書きつつ 「僕も、「あきらめた。」などと言わず、家族に執着が持てればな。」 とか、 「僕を理解してくれる友人が欲しいな。」 など寝言のようなことが頭に浮かんできました。 僕の寝言のような羨望も、それを実現すべく行動に移して努力すれば良い。と、本書を読んで学んだことを思い返しました。 最後に、本書を読んで疑問が残りました。 著者はなぜ、肉親の愛情と言う機微を取材できたのか。と言うことです。 僕の最後の疑問が、小学館ノンフィクション大賞を受賞するような作家が持つ仕事の技量で、おそらく学校で習うお勉強などでは身につかない、人柄と努力の結晶なのだろうな、と想像しました。
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ニーバーの祈り
神よ 変えることができるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。 変えることのできないものについては、それを受けて容れるだけの冷静さを与えたまえ。 そして、変えることのできるものと、変えることができないものとを識別する知恵を与えたまえ。 この祈りこそが、偉大な企業家として小倉氏と 穏やかに家族を愛し続けた父親として小倉氏の 両面を見事に表現している言葉です。 参考までにWikipediaでは、原文は次のように記載されていました。 God, give us grace to accept with serenity the things that cannot be changed, Courage to change the things which should be changed, and the Wisdom to distinguish the one from the other. Living one day at a time, Enjoying one moment at a time, Accepting hardship as a pathway to peace, Taking, as Jesus did, This sinful world as it is, Not as I would have it, Trusting that You will make all things right, If I surrender to Your will, So that I may be reasonably happy in this life, And supremely happy with You forever in the next. Amen. 原文の後半部分も味がありますね。 著作のタイトルの「祈り」の意味が重く響きます。
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これは、ハンパじゃなく凄いノンフィクション。小倉ファンならずとも、読んでほしい
私はもう20年以上、小倉ファン、「宅急便」ファンである。著書、関連本はほとんど読んできた。 だがこの本、小倉昌男の「影」の部分、「苦しみ」の部分に切り込んでいる。 裏面史とも言えるだろうか。しかしどろどろした後味の悪さはない。それは小倉昌男の人徳と言うべきか。 私が東京に住んでいた頃、すぐ近くにスワンベーカリー1号店があった。 (都心に出した店は、いわば直営点。この「十条店」がフランチャイズとしては1号らしい) ヤマト福祉財団の支援によるベーカリーである。 小倉昌男自身の著書『福祉を変える経営』(2003年)に、 彼が私財を投じて福祉事業に身を投じたことが書かれている。 しかし、「なぜそこまでして……」という答えは曖昧だった。 この本はその疑問を解いてくれた。単なる成功物語ではなく、福祉と経営を問う本でもない。 小倉昌男という男の人生が立ち上がってくる凄みのある本。 なぜ小倉昌男が福祉に身を投じたのかは、ぜひこの本を読んでいただきたい。 小倉さんは「超人」でも何でもなく、一個のピュアな人間だったことが伝わってくる。 そして家族の問題に悩む一人の「父親」だったことも伝わってくる。 スワンベーカリーは、いまも障害者が働くということについて、 大きなモデルケースとして頑張っている。 本書はなぜ「障害者支援」だったのかが、よくわかる本である。 読み終わった後も、うまく表現できない感動がある。不覚にも涙が出てきた。 小倉昌男ファンでなくとも、ぜひ読んでほしい。もちろん負の部分を描いているので「知りたくなかった」箇所もある。 しかしそれは決して「悪」ではない。人間誰もが大なり小なり持っている「影」だ。 これまでの「小倉昌男関係本」とは、一線を画す本である。
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A great guy's life in realtiy
Great reading. The writer unfolds what was going on behind this great manager's success stories especially in terms of what he had to face in his family life. There might be some different "after-tastes" of this reading depending on whether you see any person inevitably being sinful or not. This is not about simplistic good or bad judging matters, but anybody's reality. Ogura's life seems to show a good example of different lives in a family or beyond, intertwined in their struggles with and desperation for the sin as well as the hope and blessings in the midst of the dire hopelessness and helplessness.