家族写真: 3.11原発事故と忘れられた津波
福島県南相馬市で津波と原発事故に直面した一家を追い、震災後も続く喪失と捜索、記憶の継承を記録したノンフィクション。報道では見えにくかった被災地の時間を、家族写真という私的な記憶の手がかりからたどる。
作品情報
一枚の写真から、原発事故の陰で忘れられかけた津波被害の記憶が立ち上がる。
南相馬で家族を失った上野敬幸さん一家を中心に、津波と原発事故が重なった土地で何が見えにくくなったのかを追う。著者自身の取材の積み重ねを通じて、捜し続ける人、語り続ける人、写真に残された人の姿を結び直す一冊である。
レビュー要約
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被災した家族の歩みを長く見つめる姿勢が評価されている。原発事故の大きな影の下で、津波による死者と遺族の時間を丁寧に記録した点が重く受け止められている。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2020-06-10
- ページ数
- 370ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.8 x 2.6 x 19.4 cm
- ISBN-13
- 9784093887670
- ISBN-10
- 4093887675
- 価格
- 1760 JPY
- カテゴリ
- 本/社会・政治/福祉/社会保障
「ずーっとおいてきぼりだ、ここは」 第26回小学館ノンフィクション大賞受賞作の単行本化。著者は元テレビディレクターで現在はドキュメンタリー監督として活躍中。 福島県南相馬市で生きる、上野敬幸さん一家を襲った東日本大震災。 上野さんは、両親と幼い2人の子どもの家族4人が津波にのまれました。しかし、その後に起きた原発事故により、自宅のあった地区は避難指示区域に指定されます。そして、行方不明者がまだいるにも関わらず、警察も自衛隊も捜索に入らなくなってしまったのです。 本書は、そのような中で避難を拒み、仲間とともに行方不明の家族を自力で捜す上野さんの姿を、著者が7年にわたり丹念に取材した記録です。震災から年月が経つにつれ一般には報道されにくくなってしまった、被災地での現実が明らかにされる労作です。 「復興」という大きな言葉からはこぼれ落ちる心のこまやかな変遷を、著者は丁寧な筆致で描出します。 「見つからない」のではなく「捜しにきてもらえない」場所にいる行方不明の家族を今も捜索し続ける上野さんや、福島の現在を、ぜひお読みください。
レビュー
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ぜひ読んでください
この本を読むまで、福島で津波被害で亡くなった方がいることについて知りませんでした。 本や映画という形で私たちに伝えてくださり、本当にありがとうございます。 ぜひ周りの人にも勧めて、教訓を活かして生きていきたいです。
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文章の良さが魅力
書かれている事実の重さもさることながら、 文章のうまさがこの本の魅力だと思った。 ひとつひとつの言葉の選び方がとてもていねいで、 描写は簡潔明瞭。文全体に品を感じる。 ノンフィクションの本では最近、ほとんど みられない文章の質の高さだと思う。 きっと筆者は頭が良く、誠実な人柄なのだろう。 手間と時間をかけ、大切に、大切に書かれた本だとわかる。 「可能性はゼロじゃない」。わずかな望みにかける主人公の 男性が、ほかの被災男性や東電幹部の男性と関わり、 ついに「奇跡」と出会う、というストーリーも唯一無二。 うなりながら読んだ。
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風化させないための本
改めて風化してはいけない出来事だと痛感しました。 のめりこんで読みました。
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笑顔の重み
震災以降、福島県に通い続けている体験。 450時間、いや580時間を超える映像とそのプロセスが、文章に絶対的な厚みをもたらすと共に、著者のジャーナリストとしての使命と矜持を感じながら(大粒の涙と共に)読みました。 こうして、福島県の上野さんや木村さんの身に起きた出来事を知ることができてよかったです。 知らないで過ごす人生もあったのかもしれませんが、同じ時代を生きる人間として、知ることができたのはこの本のおかげです。 日常に翻弄されて、「人間」を忘れてしまっていたことに気づきました。 笑顔の重みを感じます。
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読み終わるのがもったいない
読み終わってしまうのがもったいないーー。 そう思いながら一言一言、ていねいに読み進めた。ここに書かれていることはあまりにも重くて、悲しく、理不尽だ。でも、僕の心はいま、なんともいえず清々しい。本を読んでこんな気持になるのはいつ以来だろう。 あらためて、これは小説の中の出来事ではないんですよね。これだけのエピソード、そしてまさかの結末、これらがすべて事実。「ノンフィクションがつまらない」「しかも売れない」などといわれて久しい気がするが、真面目にやればこんなにもすごい可能性がある。7年間も繰り返された「日常」の中から、これだけの物語を紡ぎ出した筆者の女性に心から敬意を表したい。 そして「上野さん」が、本当に魅力的な主人公でした。 子どものころNHKのテレビで楽しみに観ていた「大草原の小さな家」のような、たくましくて暖かい家族の物語でもある。子どもたちに読ませたい。中高生くらいになれば十分に読めるはずだ。
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これぞ本物!
現役の新聞記者です。 震災の半年後から数年ほど、社会部の応援記者の1人として断続的に福島に 入りました。「放射能は怖い。でも今こそいかなければいけない」。 当時、私も含め多くの記者やジャーナリストがさまざまな葛藤を 抱えながら福島の被災現場を目指していったのだと思います。 震災から数年で福島の沿岸部も大きく様変わりしましたが、 まだ先のみえない当時の現場を歩いたことは、私のような平凡な記者にとっても 大きな体験だったと思います。 著者の笠井さんも初めは社の業務として被災地に入った1人だったのでしょう。 でも、被災者の方々に全身全霊をかけて向き合うため、そしてさらに一歩先の現場に入るため、 彼女はあまたの記者たちとは違う行動をとったのですね。 そして8年間、変わらぬペースで取材を続け、この奇跡のような一冊に まとめ上げられました。 現場に行く。そして、その一つひとつの出来事や場面に必ず立ち会う。 その地道な繰り返しがあったからこそ、笠井さんにはこれだけの出会いがあり、 被災者の方々のリアルな「言葉」を引き出すことができたのでしょう。 もっともっと注目、評価されるべき貴重な仕事だと思いますし、 これこそが本物の取材であると教えられる思いです。 できる限りその場に立ち会い「目撃」すること、人や事実にとことん正直であること・・・。 きっとその先にしかジャーナリズムの未来はないのかもしれないと思いました。 2017年公開の映画も、動画配信で拝見しました。 ある場面で私は思わず全身が固まりました。それくらいの強い感動がありました。 これを観る限り、笠井さんはかなりの量の被ばくもしたのではないでしょうか。 どうかお体を大切に、貴重なお仕事を続けていただきたいと思います。
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福島の知られざる現実、この本は重く心に響きます。日本人がしっかり受け止める現実とも感じさせてくれます。
読了後、穏やかな感動の気分は、不思議な感覚でした。映画では、感じとることができなかった、気持ちの揺れが、丁寧に言葉にされ、また、著書のこころから、皆さんに寄り添う大切な気持ちが、文脈から溢れるごとく、感じとることができました。当初は取材さえ、想像をこえるご苦労をされたことと思います。南相馬市に頻回にかよわれ、映画を完成され、いまも、訪れてみえる笠井さんだから完成させ得た本だと思います。私自身、2011.3.11のあと直ちに、福島原発近くの避難所回りを行ったこと、ふと思い出しながら、福島ゆえの辛い想いに、目頭があつくなりました。書籍というかたちで、出版されたことは、素晴らしく意味を持つことと考えますし、また、より、多くの人に知っていただけるのではないでしょうか。3.11からの復興は、まだまだかかることでしょうし、ご家族をなくされた方々の、こころの痛みは、永遠につづいていることを感じご冥福をお祈りいたします。本を拝読して、また、新たな気付きが、多々ありました。ありがとうございました。
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圧倒的な時間と対話の積み重ね
東日本大震災から7年間、ある時は毎週のように、そして毎月、毎年と南相馬を訪れた笠井さん。 大切な人を亡くされた上野さんとそのご家族とともに過ごした圧倒的な時間と対話の積み重ねが ページの端々から溢れてくる。 本には、上野さんらの葛藤や苦悩が綴られているのはもちろん、笠井さん自身が上野さん一家と 過ごす中での心の変化やその背景なども本当に丁寧に書かれている。読み進むにつれ、時に胸を 締め付けられ、考えさせられ、そして時に元気づけられます。 東北や福島に行ったことがある人はもちろん、行ったことのない人、これまで震災のことに触れる 機会のなかった人、できるだけ多くの方に知ってもらいたいことが書いてある。そんな本です。 そして、 本の中にでてくる、あの家族7人の「家族写真」はすごくいい。