愛犬王 平岩米吉伝
犬科動物を深く愛し、研究と飼育に生涯を注いだ平岩米吉の情熱を追う評伝。自由が丘で多くの犬や狼と暮らした人物像を通じて、昭和の動物文化の一断面を描く。
作品情報
犬と狼を見つめ続けた男の生涯から、昭和の動物観が立ち上がる。
受賞時題名『昭和犬奇人 平岩米吉伝』を単行本化した作品。犬科動物への愛情と観察、雑誌『動物文学』をめぐる活動をたどるノンフィクション。
レビュー要約
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題材への踏み込みと構成の明快さが評価される一方、専門性の高さや作風の癖を読み手がどう受け止めるかで印象が分かれる。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2006-04-01
- ページ数
- 338ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784093897037
- ISBN-10
- 4093897034
- 価格
- 2949 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
愛する犬の研究に生涯を捧げた男の本格評伝 昭和のはじめ東京の自由が丘の自宅で、犬数十匹に加え、朝鮮狼、ジャッカル、狸、狐、ハイエナ、ジャコウネコなど、犬科の動物とともに生活し、その生態を研究した男がいた。気に入りの犬と寝食を共にし、狼を飼い慣らして銀座を散歩させた。どこの学会にも所属せず、独りで続けた研究生活。その姿は、風刺漫画家・近藤日出造の「昭和奇人伝」に“植物の牧野富太郎”と並んで“動物の平岩米吉”と紹介された。大正から昭和初期、大戦中、戦後の混乱期、高度成長期時代、そして現代へ—。激しい変化を遂げた時代のなかで、犬を愛し、その研究に没頭した男の本格評伝。第12回小学館ノンフィクション大賞受賞作。
レビュー
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犬、狼大好き
何年も前に借りて読んだ本です。 大変おもしろく、手元においておきたく購入しました。 動物好きにはお薦めです。
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動物好きにおすすめ
時代から鑑みるとかなり生活にゆとりのある人物の話。しかし自伝でない所がいい。他人が描く他人像でこれほどうまく描写できている 作品もめずらしい。
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評伝は仮説ありき
作者は「あとがき」で平岩米吉の著書との出会いについて語っている。そのくだりで既存の類書に感じていた不満が以下のように述べられている。 「それまで犬に関する本は何冊も読んでいたが、どれも消化不良にも似た読後感に陥ることが多かった。どんなに評判の良い本であっても、「本当に知りたいのは、もっとほかのことなのに」という思いが残ってしまうのだ」 この言葉は、私が本書「愛犬王 平岩米吉伝」に感じた思いをも代弁している。“消化不良”と言うよりは“食い足りなさ”だろうか。平岩米吉は風評通りの「犬好きの奇人研究者」だったのか否か?生い立ち、履歴を辿っただけでは、その人物像は見えてこない。作者の中に、「平岩米吉とはこういう人物だったのではないだろうか」という仮説が欠けている気がする。少なくとも読者には提示されていない。仮説とは、その人物に対する好奇心や、作者の想像力を示すものでもあるはずだ。丹念な取材の記録的価値は評価したいが、やはり仮説ありき、取材とは仮説の検証なのだと思う。 米吉の乳母の姓「廣瀬」が一部「広瀬」になっていたり、「過言ではない」という表現が5、6箇所出てきたり、「その後すぐに、ほかの著作もすぐに取り寄せて読んだ」といった表現の重なりがあったり、こうした校正の甘さは編集の問題だろう。揚げ足取りではない。せっかく平岩米吉という面白い素材を掘り起こしたのだから、丁寧な仕上げで世に送り出してもらいたかったという読者の思いである。
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怒鳴るのは暴力
平岩米吉がどんなにか犬を愛したか。しかし、この著者は平岩米吉が飼い犬に与えた影響については全く書いていない。 家長である平岩が突然キレて家族を怒鳴るという話は何度も出て来て、後半には知人からも怖い人間であると認識されていた描写がある。性格は苛烈で行動力もある。 そんな男が犬を飼えば犬も性格が苛烈になるであろうし、平岩ひとりだけに懐いたり、強い方から弱い方まで順位が付くであろうことは簡単に想像がつく。理解しがたい方は職場でのパワハラを思い浮かべればいい。権力者の男が突然怒鳴ったりイライラをまき散らしていたらどうだろうかと。 犬を愛したことが資料や証言からわかるのは著者には犬への愛情があるからでろうし、家父長制に無批判で平岩が行った精神的な暴力を暴力であると描かないことはその視点が欠落しているからであろう。時代背景があるにしろ、まったくの無批判なのはどういうことだろうか? 小学館ノンフィクション大賞受賞ということであるが、賞を授けた側にもその視点の欠落があったのではないか。 現在では研究が進み、犬の群れの中の明確な序列は否定されているが、この本はその否定の直前に出版されているので2024年春に出た文庫版では注釈など入っていることを願う。 愛犬をハイヤーに一緒に乗せて銀座まで買い物に行く描写はほほえましい。そういう金持ちの風俗を知ることや、昭和時代の戦争と犬、フィラリアの研究、日本の都市部での犬飼育の一部を知ることは出来る。
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まさに愛犬王!
愛犬王という迫力のあるタイトルに惹かれて犬好きな私は伝記だという事も知らず読みはじめました。 第一章から平岩米吉氏がどんなに魅力的な人で、どれほど動物を愛していたか(特に犬科)が様々なエピソードと共に紹介されています まるでドキュメンタリーの映像を見ているかの様に文章中のエピソードが想像できます。 読みながら思わず声を出してつっこんでしまったり号泣してしまったり・・ 犬を飼った事がある人、動物好きの人、また伝記が嫌いだった人、ただの読書好きな人、様々な人に納得して読破していただけると思います
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犬がすべて
愛犬をフィラリアで亡くしフィラリア撲滅のために尽力したり、 動物虐待防止会を設立したり、戦争中でもとにかく犬! 自分は犬好きと思っている方はぜひ読まれたらいかがでしょう。 こんなに犬が好きな人に飼われた犬達はたとえ短い命だったとしても幸せだと思いました。
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犬と友情
一生を犬という道楽に逃避した金持ちの伝記。ただし本書の主人公、平岩米吉の場合、人生をひたすらひねくれて過ごしたわけではなく、犬への友情に満ちた数多くの文章、そして短歌をも残した。たやすく最低野郎に転落しかねない境遇にあって、彼は幸運なことに犬によって救われたのだ。