作品情報
アメリカひじき、火垂るの墓は、敗戦直後の記憶を異なる角度から描いた二作を軸にする短編集。
アメリカひじき、火垂るの墓は野坂昭如による短編集。敗戦直後の記憶を異なる角度から描いた二作を軸にする短編集。占領期の食と屈辱、空襲後の兄妹の生存を通じて、戦争が日常に残した傷を凝視する。 受賞対象としての中心は、題材を支える表現の確かさと、同時代の文学・芸術のなかで示した独自性にある。
レビュー要約
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作品の評価は、受賞歴と後年の言及を通じて、題材の強さと表現の持続力に向けられている。読み手には時代背景を踏まえて味わう作品として受け止められている。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 1972-02-01
- ページ数
- 288ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.5 x 1 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784101112039
- ISBN-10
- 4101112037
- 価格
- 693 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
自らの戦争体験をもとに、親を亡くした4歳の少女と中学3年生の兄が、 戦火の下、懸命に生きる姿を描いた感動作『火垂るの墓』。 “焼跡闇市派"作家としての原点を示す、全6編。 アニメ映画『火垂るの墓』 1988年4月公開。監督・脚本:高畑勲、制作:スタジオジブリ、配給:東宝 昭和20年9月21日、神戸・三宮駅構内で浮浪児の清太が死んだ。蚤だらけの腹巻きの中にあったドロップの缶。その缶を駅員が暗がりに投げると、栄養失調で死んだ4歳の妹、節子の白い骨がころげ、蛍があわただしくとびかった――。 浮浪児兄妹の餓死までを独自の文体で印象深く描いた『火垂るの墓』、そして『アメリカひじき』の直木賞受賞の2作をはじめ、著者の作家的原点を示す6編。 目次 火垂るの墓 アメリカひじき 焼土層 死児を育てる ラ・クンパルシータ プアボーイ 解説尾崎秀樹 本書「解説」より 彼は小説を書くことによって、焼跡闇市への回帰をくり返してきた。死んだ肉親や過ぎ去った過去を悼むというよりも、内発的な声にしたがってそれをまとめたというところに、彼の文学の独自性があるのだろう。事柄を概念化したり、図式化したりするには、あまりにも大きな体験だった。したがって書くことだけが唯一の方法だといった彼のありかたが、語り口の個々の言いまわしのなかにまでしみとおっている。 ――尾崎秀樹(文芸評論家) 野坂昭如 (1930-2015) 神奈川県鎌倉生れ。早大中退。様々な職を経て、コラムニストとして活躍。1963(昭和38)年の処女小説『エロ事師たち』で、性的主題を辛辣かつユーモラスに追求、俄然注目される。1967年には、占領下の世相に取材した「アメリカひじき」、戦争・空襲・焼跡の体験を描いた「火垂るの墓」を発表。翌年、この両作で直木賞受賞。1997(平成9)年『同心円』で吉川英治文学賞を、2002年『文壇』およびそれに至る文業で泉鏡花文学賞を受賞する。他の代表作に『骨餓身峠死人葛』『一九四五・夏・神戸』等。
レビュー
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野坂さんの名前で買いました
野坂さんの名前で買いました。
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日本の名作
この作品は、日本人なら一度は読んでほしい。
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品質
満足しました
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希望のない悲劇は辛い
兄と妹の幼い子供たちが、世間の荒波に揉まれて、心中のような死はやるせなく、出口のない悲しみを感じます。
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有難うございました。
良かったです。
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平和への思い
終戦の日に向けて、読むことができ、よかったです。せいたとせつこの 心理描写に いろいろ考えさせられました。
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戦争の悲惨を市井から抉る
「火垂るの墓」はあまりに有名ですが、「焼土層」にも抉れれました。 戦火が引き裂いた育ての母、老婆となり孤独死。 野坂の実体験の投影か。 「・・思い切って白布をめくると、ねずみというより黒に近い、きぬの死顔があらわれ、ふっと異臭が立ちのぼり、眼は閉じられていたが、唇は半ばあき、歯ぐきに残る五本の歯のみ白く光る。」
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反戦
かなり前TVのバラエティー番組でのことだが,いつもは豪快でがさつな女お笑い芸人さんが突然「ヒー!...ギャー!...」と大泣きになって番組が中断してしまった.“火垂るの墓”の話になった時であった.“焼け跡,闇市派”と称する作者の自伝,経験をもとにした終戦時の幼い戦争孤児兄妹のものがたりである.心かきみだされズタズタになり,いたたまれない.アニメにもなっている.すでに多数の立派な評,解説がある.私には文学の素養はなく,まして反戦や社会正義への見識も乏しい.いまさら私がなにか付け加えるようなことは不謹慎. 「ホタルとんだ..ホタルとまった...」は餓死衰弱死寸前の妹のうわごとである.楽しかったお兄ちゃんとのおもいでを見ているのだ.“火垂るの墓”が暗示されている. 原作には“ドロップ”とあるだけだが,昔“サクマドロップ”という菓子があった.小さい缶に入った素朴な飴である.ゆするとカラカラと飴の音がする.子供のお宝であった.アニメでは “サクマドロップ”にまつわる原作にはない可愛い妹の心つぶれる場面がある.なんと,その場面のためアニメが放送禁止になったそうだ.商標権?バカな! お兄ちゃんは気丈にも自力で妹を荼毘に付した.しかし自分も駅の通路で衰弱していく.すでに立つ力もなく止まらない下痢に黄色く汚れたズボンに砂をかけて隠した.通行人は飛び跳ねて避けていく. やがて他の野垂れ死孤児とともにまとめて無縁仏にされる.駅員が服をはぎ取った時ドロップの缶が落ちた.それは駅前の焼け跡に投げ捨てられた.ふたが外れ,白い粉と骨のかけらが3つこぼれた.妹だ. 最後に原作では,捨てられた缶と遺骨にホタルが舞う記述があり,“火垂るの墓”が完結するそうだ.しかし,あまりにも悲しいので出版では削除されたそうな. 正確には本書は小説であり事実ではない.しかし80年前の日本の実態であろう.兄妹の母は包帯にまかれて亡くなる空襲の犠牲者である.ウクライナやガザでは現在の現実なんだろう.現実のものがたりなんだ. 本書には引き続いて数編の短編が続く.同様に悲しい話もあるが,怒り,居ても立っても居られない焦燥感,ある種の挫折感がつのる話もある.「アメリカひじき」とは何のことかわからなかった.読んでみてわかった.戦前の根拠のない狂信的特権選民意識,気位,外国蔑視から,突如真反対の後進国の認識,屈辱,卑下,いじけの状態になった日本である.過去,現在,保守タカ派の皆さんは今何と思っているのだろう.自分のことではないのかな.
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