破獄 (新潮文庫)
吉村昭『破獄』は、昭和期に複数の脱獄を重ねた無期刑囚をモデルに、刑務所の制度、看守との攻防、戦中戦後の社会の揺らぎを克明に描く記録文学的な長編である。脱獄の技巧だけでなく、人間を閉じ込める制度とそれを破ろうとする執念のぶつかり合いが中心に置かれている。
作品情報
脱獄犯と看守たちの攻防を、戦中戦後の混乱に重ねて追う長編である。
実在の脱獄事件を素材に、吉村昭らしい綿密な取材と抑制された筆致で、閉鎖空間の緊張と人間の異様な意志を描いた作品。読者は犯罪譚としての推進力と、制度の内側を見つめる重い視線の両方を味わうことになる。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 1986-12-23
- ページ数
- 448ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-13
- 9784101117218
- ISBN-10
- 4101117217
- 価格
- 935 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和22年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の四度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。
レビュー
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吉村昭、ベスト
吉村昭のフアンですがこの本が一番面白かったです。実話というのも驚きます。
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戦中・戦後の刑務所内でのドラマと、社会情勢が描かれていて面白かった。星4.3。
「熊嵐」「高熱隧道」に続き、吉村昭はこれが3冊目。吉村昭の作品は何より文章がとても読みやすく、描写が丁寧なので、自分の知らない世界を覗き見るような楽しさがあるが、本書でも、1人の脱獄囚を中心として、戦中・戦後の刑務所の、主に管理者側の様子と、それを取り巻く社会情勢が描写されていて、面白かった。実在の脱獄囚をモデルにしたということだが、その本人の内面はブラックボックスだったものの、外から見た表情の動きや言動などが丁寧に書かれ、それを見守る管理者たちの心情や、思考の経緯などが丁寧に書かれていて、楽しめた。特に、脱獄囚が仕掛けてくる心理戦による、関係者の心情の変化が、読んでいて面白かった。吉村昭の小説は、とにかく人間を多面的に描いてくれるのがとても良いと思う。また、一つ、肝心な脱獄方法の核心が書かれていないことをずっと不満に思いながら読み進めていたが、最後にその種明かしをしてくれ、作者が意図したことだったのだと分かって良かった。本書は結構長い作品だが、飽きずに一定のペースで読むことができた。
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驚異の脱獄法
これだけの知能、体力をもつ脱獄囚がいたことに驚いた。脱獄以外のことに集中したら一角の人物になっていたことは間違いない。当時の時代背景(終戦後の食糧難)も重要な要素だが、その辺も詳細に記述されていた。
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Did it happened truly?
Each page fills with Japanese and world history and mind blowing human mental movement.
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冗長
高熱隧道や羆嵐を読んで面白かったので、これも購入したが期待外れ ノンフィクションだから仕方ない部分もあるだろうが、全体的に話の盛り上がりに欠けて後半は読んでいて退屈だった、オチも特に予想を裏切らないものだった
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吉村昭作品はいつも素晴らしい。
よかった。
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裏表紙の紹介文は読んではいけない
想像を超えた面白さ、読みごたえでした。 最後の解説で評論家の方も述べられていたが、ノンフィクションとしてでなく、小説として書かれた事に敬意を表したいですね。 戦中戦後の社会情勢と一囚人、無関係のようですが、物語に微妙に影響を及ぼしているのと、「一体次はいつ脱獄するんだ〜!?」というワクワク感で楽しんで読めました。 なお、裏表紙の紹介文はネタバレなので読んだら面白さが半減しますね。読まないで良かった。
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とても良かったです
白鳥由栄に興味があったので読んでみました。 とても読みごたえがあり、戦前の貧しい東北に生まれた彼の境遇そしてその後の人生、色々考えさせられました。吉村昭の小説は初めて読みましたがとても面白く、歴史の勉強にもなりました。戦後米軍が日本の刑務所や司法制度にどのように介入してきたのかも描かれていて興味深かったです。読後、この小説から作られたドラマも見ましたが、緒方拳主演のものが映像、音響共に素晴らしかったです。 いつか北海道を旅して網走刑務所を訪れてみたいと思います。 同じ北海道が舞台とあって、早速同じ著者の小説、熊嵐も購入しました。読むのが楽しみです。