廃疾かかえて (新潮文庫)
『ディア・ドクター』は、西川美和による映画脚本・小説。人物の選択、関係の揺れ、場面ごとの緊張を通じて、読者を作品世界へ導く。
作品情報
『ディア・ドクター』は、映画脚本・小説としての輪郭と受賞作らしい焦点を備えた一作。
『ディア・ドクター』は、西川美和による映画脚本・小説。受賞対象となった中心的な題材を軸に、登場人物の行動や状況の変化を追う構成で読ませる。
レビュー要約
-
設定や人物配置の印象を評価する声があり、題材の強さと読み味の個性が注目されている。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2011-04-26
- ページ数
- 177ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784101312828
- ISBN-10
- 4101312826
- 価格
- 704 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
怪し気な女ともだちに多額の金を貸していた同棲相手の秋恵。その人の好さに暴力的な衝動をつのらせていく、身勝手な男・北町貫多を描く表題作。大正期の無頼派作家・藤澤清造の歿後弟子を任ずる金欠の貫多が稀覯雑誌を求め、同行を渋る女と地方へ買い出しに行く「瘡瘢旅行」他、敗残意識と狂的な自己愛に翻弄される男の歪んだ殉情を描く、全く新しい私小説。『瘡瘢旅行』改題。
レビュー
-
同棲相手とのいわゆる痴話げんかに終始する話
同棲相手とのいわゆる痴話げんかに終始する話。最初に出た単行本では第2話の「瘡瘢旅行」が本のタイトルだったが、この文庫本では第1話のタイトル「廃疾かかえて」に変更している。第2話は著者がこだわる大正期の無頼派作家・藤澤清造が話の題材になっているので、最初はこちらのタイトルを選んだかもしれないが、作品の出来自体は第1話のほうがいい。ただ、話の内容は一番ボリュウムのある第3話「膿汁の流れ」が一番面白い。 しかしこんなほとんど人格破綻者といっていい主人公貫多の話になぜこんなに惹かれるのだろう? その心情、行動は許しがたいものだが、自分の心にもどこか思い当たるものがあるからだろう。ただ、実際に言ったり行動しないだけだ。
-
きれいな本でした
きれいな本でした。ありがとうございます。
-
ハマチ、つまめよ
収録作品は 1 廃疾かかえて 2 瘡瘢旅行 3 膿汁の流れ いずれも秋恵(28歳)と『暗渠の宿』で苦労の末見つけたアパートで同棲を初めて半年後、作品の時系列で言うと『どうで死ぬ身の一踊り』の後、『小銭をかぞえる』の頃かなと思われます。 西村賢太は様々な時代を舞台とした作品を時系列バラバラに発表していますので、この話はあの作品の出来事の数か月前かな、とか考えながら読む面白さもあり、自身で時系列表を作ったりする楽しさもないではありませんが、できれば、どこかの出版社から時系列順に並べなおした作品集を出してくれないかなと期待したりもしています。 10数年ぶりにできた恋人秋恵は、北町貫多にとって「愛しいことは何よりも愛しいし、彼女を失うような事態に陥ったならば、少なくとも精神的には二度の立ち直りを計れぬ予感がするほどに、自分にとってどこまでも大切な、かけがいのない存在」でありながら、「生来の根がひどく穢悪でひどくだらしなくもできている」ことから、彼女と親密度が増していくにつれ、徐々に甘ったれ男の地金を覗かせる塩梅となり、ちょっとしたことで、彼女に荒い言葉をたたきつけるのが日常茶飯事となっています。 秋恵が登場する作品は数多くありますが、いずれも案の定争いが絶えず、口論の果て、感情の赴くまま、嗜虐の快感を自覚しながら暴力を振るうはめになってしまいます。 そんな西村賢太の作品には、秋恵への直接的な暴力には及ばず、ぬいぐるみに当たり散らす『焼却炉行き赤ん坊』あたりは大いに笑えるのできるのですが、『どうで死ぬ身の一踊り』におけるような女性に怪我をさせてしまうレベルの暴力にはさすがに引いてしまいます。 その点、本作収録の3作品には身体的な暴力は描かれておらず、いくらか安心して読めます。もちろん言葉の暴力はガンガンにありますが秋恵も負けていません。秋恵負けるな!と彼女を応援したくなります 特に、3作品のうち最も頁数が割かれる『膿汁の流れ』における秋恵が良いです。 しかし、西村賢太の作品、読みだすと止まらなくなり、一冊読むと、また続けて次の一冊を読まずにおれない、この魔力のような読者をひきつけて離さない吸引力は何なんでしょう。
-
私小説でかかえた、
薄いからは商品である。 疾走ですばらしいではないか。 藤澤ということであるが不明でもいい 改版ということである。かかえた笑いである、
-
秋恵シリーズ
面白いです。秋恵さんからしたら洒落になりませんが… 僕は好きです。
-
貫多、秋恵に微妙な距離感!ダメになるのでしょうね!
「人もいない春」、「二度はゆけぬ町の地図」に続いて、今回、この作品を読んだ。 相変わらず、自分流の理論と短気による暴力で攻める貫多だが、今回、 秋恵との微妙な距離感、やっぱりこの男から、女神も去るのか?という 雰囲気です。 去られて、当然ではありますが、、、、、。 今後の展開、秋恵との別離の出来事、その時の貫多の怒り、落ち込みを 是非、読みたいです。 もうひとつ、貫多が惚れ込んだ私小説家「藤澤清造」の作品も読んで みたいですね。
-
北町貫多に乾杯!
我れの人生も北町貫多と似たり寄ったり。 二匹目のドジョウを狙ってみようかしら。
-
この作家に出会えてよかった
廃疾、という言葉の意味が分からず、のっけから広辞苑を開いてその意味を探すと(不治の疾病)とある。 「貫多の持病は、所詮、一生治る見込みの望めぬ廃疾のようなものであるらしい。」(『廃疾かかえて』より) 単行本「瘡瘢旅行」から文庫版発売時に「廃疾かかえて」と改題したものらしいが、そこに何か西村氏の意図というか、決意めいたものを感じる。 収録されている3編とも、滝野川で同棲していた「貫多と秋恵」もしくは「私と女」の物語だが、話の内容はどれも凄惨であるのに、非常に面白い。なぜに面白いのかと考えてみれば、この本がより真実をえぐったものだからだろうし、そこからにじみ出るカタルシスがあるからかもしれない。この作家に出会えてよかったと思う。