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悪党芭蕉 (新潮文庫)

泉鏡花文学賞

悪党芭蕉 (新潮文庫)

嵐山光三郎

松尾芭蕉を聖人化された俳聖ではなく、欲望と策略を持つ生身の人物として読み直す評論。俳諧の革新性を、俗や危うさと切り離さずに描く。

松尾芭蕉俳諧評論近世

作品情報

芭蕉像を大胆に揺さぶり、俳諧の凄みを俗の側から照らす。

芥川龍之介が評した芭蕉の「大山師」的な側面に光を当て、神格化された姿の背後にある社交、金銭、旅、名声への欲望を追う。俳聖を人間へ引き戻す芭蕉論。

レビュー要約

  • 通説とは違う芭蕉像を提示する切り口が魅力とされる。俳句に詳しくない読者にも、人物評伝として読ませる勢いがある。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2008-09-30
ページ数
350ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784101419091
ISBN-10
4101419094
価格
168 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

ならず者と遊び人が集った蕉門、美男弟子との衆道関係、あの句にこめられた危険な秘密……いつしか神格化され「求道の人」のアイドルとなった松尾芭蕉。しかしその素顔は、芥川龍之介に「日本の生んだ三百年前の大山師」と言わしめるほど、凄腕の不良(ワル)だった! 「俳聖」を敢えて俗人と同じレベルで再考し、犯罪すれすれのところに成立した俳諧の真の凄味に迫る、画期的芭蕉論!

レビュー

  • 面白いです。

    芭蕉をテーマにしたフィクションですがとても面白かったです。

  • 人間とは本当に面白い思わせて呉れました

    「俳聖も人の子」と妙にホットするやら、流石芭蕉と唸らされるやら面白く読ませていただきました。読後には何か芭蕉が可哀想に思ったりで、題名からどんな凄い悪党かを期待して読むのでしたら若干期待が裏切られる結果の方もいるでしょう。でも俳諧とは?、芭蕉とは?、時代背景は?等々に応えてくれる面白い内容でした。以前に作者(嵐山光三郎)の講演を聴く機会があった時に感じたイメージとは大分違う(良い方の)面をみせて頂いたと感じてます。 友人に話したら同じ著者の「芭蕉紀行」も勧められ寝枕にて読んでるところです。

  • すいません

    すいません これは友人から頼まれて買った者ですので なんともいえません

  • 悪党芭蕉

    表紙がありませんてせんでしたが、内容は問題なく読めましたので、特に問題点はありません

  • 「俳諧宗匠」という激職

    「片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず」芭蕉は旅にでる。 北上川の支流衣川。ここで義経主従も藤原氏三代の栄華も、夏の短夜のはかない夢のように消えた。そこで、「夏草や兵どもが夢の跡」 奥州を横断、最上川に至る。「五月雨をあつめて早し最上川」 恥ずかしながら、本書を読むまで芭蕉とは旅をすみかとしその折々にこのような傑作を詠んだ俳人、としか考えていなかった。が、彼は孤独に句作をする俳人ではなく、才能あふれた門弟に取り巻かれそれを率いた俳諧(俳句に非ず)の宗匠だったのですね。洒脱ではっと胸を突く発句(このあと当日興業の亭主が二番目の句「脇」を付け以下第三句、第四句と所定のルールに則って参加者が句をつなげてゆき、36句一巻の歌仙を得る)を執拗に連衆に求め、自らも手本を示しつつ予断を許さぬ連歌の展開をリードしてゆく、そうした連句製作の場において彼は卓越したコンダクターぶりを発揮します。だから芭蕉にとっては、旅に出て紀行文と共にいくつかの句作をものにするなどは全くの余技に過ぎず、優秀な門人と太刀を交えながら華麗で人情の機微にあふれた歌仙三六句の世界を作り上げていく<俳諧宗匠>こそが彼の本領だったのです。本書8章で、嵐山さんは「猿蓑」の簡潔な歌仙評釈を行い緊迫した連歌形成の世界を垣間見せてくれます。 一門の宗匠ともなれば、常に有能な新人発掘に務めねばなりません。なかには路通のような問題児も紛れ込むでしょう。しかし芭蕉は凡兆や洒堂のあふれる才気、容姿秀麗な杜国を愛したし、反逆を内包し危ういアウトロー的人物の其角をも、その才能のゆえに敬愛したのでした。 思えば宗匠というのは激務です。病に倒れ死期が近づいているにもかかわらず取りまきは次々と歌仙のスケジュールを持ちこみます。芭蕉も宗匠としての責務とプライドからこれらに応じないわけにはゆかず、設けられた連歌の席では宗匠としての実力を示さねばなりません。生涯現役です。○○会社や△△学会の会長ではないのです。之道と洒堂の仲裁を目的に赴いた大坂への「死出の旅」の日々を辿っていると彼の末期の壮絶と悲惨に胸打たれます。 本書のタイトル「悪党芭蕉」はともかく、読み終われば、これは生涯愛してやまぬ芭蕉への嵐山流讃歌だということがよくわかります。すぐれた芭蕉論です。

  • 芭蕉を取り巻く人間模様が浮かび上がり、なかなか面白い

    嵐山光三郎による芭蕉二部作のうちの一つ(も一つ頑張って書いて三部作としてほしいところだが)。前作『芭蕉紀行』が芭蕉の生涯と旅に焦点をあてたものであるならば、こちらは芭蕉を取り巻く弟子たちの人間像、人間模様を浮かび上がらせた作品。また、『紀行』がおくのほそ道をはじめとする紀行文の紹介であるのに対し、こちらは猿蓑をはじめとした七部集が中心となっている。岩波『蕉門名家句選』などで蕉門の弟子たちとその句についてそこそこは知っているつもりだったが、改めて指摘されると、なるほど芭蕉の弟子たちには一癖もふた癖もある問題人物がやたら多いことに気づかされる。そういった悪党どもを取りまとめていた芭蕉はさらに輪をかけた大悪党だった、というところか。蕉門に集った出自も階級もさまざまな弟子たちの句からは芭蕉だけではない元禄期の俳諧の隆盛ぶりがひしひしと伝わってきて、個人的には『芭蕉紀行』より面白く読めた。

  • 帚木小説

    初めて帚木の小説に触れました。少し医学知識をひけらかし過ぎる傾向あり、また物語の展開に冗長が見られるのが欠点か。 文章に司馬遼太郎をもっと参考にしてはどうかと思う。とはいえ楽しく読ませていただいています。 今までに数冊を読了したが、「三たびの海峡」が秀逸でした。最悪は「カシスの舞い」でした。あまりのくだらなさに唖然として、これが同一の作者なのかと疑念を抱くほどでした。その旨作者に伝えてほしい。もっと司馬遼太郎を読んでほしいとも思いました。 権力と富と名誉を追い求めることに執着する東大出身者にしては、人間性に溢れた、弱者を視点にした内容には感銘を憶えました。

  • 情報量が豊富

    よくまあこれだけの情報を集めた物だと文士の凄さを感じる作品、嵐山さんシャッポを脱ぎました、言い回しが古くてすみません

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