作品情報
野間文芸賞で受賞となった、瀬戸内寂聴の『場所』。
『場所』は、瀬戸内寂聴による作品。野間文芸賞の対象作として、作品の構想や語り口が評価された。読者は、文学賞, 人間, 物語を軸に、受賞当時の文学的関心をたどることができる。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2001-05-25
- ページ数
- 272ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784103112167
- ISBN-10
- 4103112166
- 価格
- 1870 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
徳島、京都、三鷹、練馬、目白、中野、本郷……瀬戸内晴美が生まれ育ち、男を愛し、小説を書いて暮らした数々の場所。出家して二十七年、そして最後にひとり辿り着くのはいったい何処なのだろうか。歳月を経て懐かしい場所をいま再び巡り、土地の記憶を辿りながら、秘められてきた過去を明らかにした、最後の自伝小説。
著者紹介 1922(大正11)年徳島生まれ。旧筆名は瀬戸内晴美。東京女子大学卒業。57年に第3回新潮社同人雑誌賞を受賞。61年『田村俊子』で第一回田村俊子賞を受賞。63年『夏の終り』で第2回女流文学賞を受賞。73年に中尊寺で得度。法名・寂聴。92年『花に問え』で第28回谷崎潤一郎賞を受賞。96年『白道』で第46回芸術選奨文部大臣賞を受賞。97年文化功労者に選ばれる。著書は『かの子撩乱』『比叡』『手毬』現代語訳『源氏物語』など多数。執筆の他にも法話など幅広い活動を行っている。
レビュー
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寂聴さんの人間性を感じさせる感動的な本である
瀬戸内寂聴さんの著作については、幾冊か読んだ。最初に読んだのは、『寂聴「『般若心経」~生きるとは~』である。“般若心経”というものについての知識を殆んど持ち合わせていなかったまだ若い時代に読んだが、初心者や素人にでもわかるように、具体的に懇切丁寧に説明されていたので、わかりやすく、仏教というものを部分的にでも理解できたので嬉しく思った。寂聴さんの腰の低さと、人間性を感じ、寂聴さんという人そのものに親近感を覚えた。 最近では、『美は乱調にあり』を読んだ。寂聴さんが歩んで来られた、苦難に満ちた豊富な人生経験が、小説の中の登場者の心理描写にも生かされていて、迫力があり、次の展開がどのようになるのか、想像しながら読み進める内にあっと言う間に読み終えた。 『場所』は、寂聴さんが亡くなられた後、朝日新聞に、寂聴さんの著作で印象に残った本について、何人かの女性の方が、それぞれの思い出の本について、書評を書いている記事を見て知った。その中のお一人が『場所』を取り上げられていて、大変感動を覚える本であると述べられていたので、私も読もうと思った。 果たして、大変感動を覚える本であった。誕生から、様々な人との出遭いや別れに際しての思いを、大変克明に記憶されていて、それを赤裸々に、それぞれの場所と結びつけて、述べられていることに共感と感動を覚えた。私としては他に、多彩な文章表現を勉強させて頂いたことも、読んで見て良かったと思う理由の一つである。
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思い出とは!
これは特異な作品です。主題は著者が通り過ぎた様々な場所、そして著者と密接にかかわった二人の男性です。場所と人物は複雑な共鳴を生み出し、不思議な雰囲気を醸し出す作品となっています。小説という建前を取っていないため、読者はドキュメンタリーもしくは自叙伝として受け止めてしまいますが、扱われる時代は一番最近でも出家直前(1973年)までですので、もはや40年以上前の時代です。 著者自身の人生は、場所の移り変わりをモティーフとしてそこでの自分の生活のディテールが細かく振り返られます。細かい風景、情景や事物の描写は作家としての著者の驚くべき観察眼や記憶力の産物でもあり、作者の強烈な人生のあかしでもあります。 でも一方ではいうまでもなく創作上の脚色による「虚構」でしょう。著者が何度も指摘するよう、もうその場所にいた人々のほとんどが今では他界しているのですから、誰もその「真実」に異議申し立てをすることはできません。というわけで人間はその時点(2000年前後)での自分の思いと必要に従って過去を「思い出して」「想像」し「創作」するのです。その創作の業とそのような創作を必然ならしめた著者の執筆当時の心象風景こそこの作品で味わうべきなのでしょう。おそらく著者は、現時点では同じような形で自分の人生を振り返ることはありませんし、もしかすると人生を振り返るという営為の価値すら疑問視するのかもしれません。 この作品の特異さは、どの場所にも必ず著者自身のその場所への再訪が付け加えられている点です。驚くべきことにいろいろな紆余曲折を経ながらも、著者は再訪したすべての場所で自身の思い出を確認できるという僥倖に遭遇するのです。最後に、意味深なのは、この「場所」の一覧票には、北京は含まれていません。
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達観と無縁の愛
長命を得て、沢山の言葉を残された寂聴さん。深い愛に感銘を受け、多くの著書のなかでも一番素晴らしい と思う。
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純粋に文学を楽しめました。
瀬戸内寂聴さんの作品らしいです。
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本の状態も悪い!
著者瀬戸内寂聴さんの顔写真にマジックペンで下卑た悪戯書きにはウンザリ!
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瀬戸内文学の総決算
瀬戸内さんの小説で一番好きなのは「夏の終り」ですが、 「場所」を読み終えた今は、どちらも甲乙つけがたい存在になってしまいました。 小説家は、年を重ねると、自分のルーツを探りたくなるのかもしれません。 この作品もそういった作品であると思いました。 瀬戸内文学の総決算という感触を受けました。 自分に関わる場所を訪れ、そこでの出来事を書きつつ、自分の思いを 書き記していくという形になっているのですが、その書き方が実に巧みです。 ルポルタージュに似せながら、瀬戸内さんの筆は飄々と進み、 それでいて書かれたものはまさに小説になっているという… 練熟の筆遣いです。 特に幼い日の思い出を描いた部分と、自分が関わってきた男たちについて描いた場面がすばらしいです。 人との出会いと別れの不思議、そして人との心のふれあいに、 人生の美しさと哀しさを感じました。 一生懸命、純粋に生き抜いた人だけがたどりつく境地だと思いました。
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壮絶、迫真!
著者が51歳にして仏門に入った理由が、この本を読んで、よく解った。それは、身にではなく、心に突き動かされるようにして生きて来た果てに行き着いた道であったようだ。並外れて強く、深い情を宿して生きなければならなかった人のみが突き当たる、必然の道程ともいうべき領域なのであろう。そうしなければ、思いを直向きに晒して生きて来た自身を破滅から逸らすことは出来なかったし、自身のみならず、関わった幾多の男女の人生を無意味に終い兼ねなかった。これしか道がなかったとしても、また最早人の軛から逃れ得る状況を整えていたとしても、人生半ばに差し掛かって、それまでに築いて来た地位、名声を捨て、一切の世俗的な欲望を断ち切るように、生き方をスパッと変えてしまうことは、誰もが出来ることではない。壮絶の一語に尽きる生き様を垣間見せてくれる、稀に迫真の小説である。
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瀬戸内晴美ッておもしろい
本はほとんど新品とかわりなく、スピーディにとどきました。『場所』では寂聴さんが、ぼくの周辺で情熱的に生活していた様子が、時間をおい、場所をおい、えがかれたもの、実に楽しくよみました。
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