作品情報
欺くことでしか生きられなくなった男の半生が、現代日本の欲望を暴き出す。
新潮社刊。横田商事事件の残党である隠岐が、因幡に導かれて詐欺ビジネスを再興し、やがて欺す者と欺される者、謀略と暴力の坩堝へ落ちていく。新潮社公式で単行本の ISBN、ページ数、受賞情報を確認し、Amazon JP と版元系書誌から ISBN-10/ASIN を補完した。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2019-08-27
- ページ数
- 512ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14.1 x 3.2 x 19.7 cm
- ISBN-13
- 9784103395324
- ISBN-10
- 410339532X
- 価格
- 767 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
人はなぜ、人を欺し続けなければ生きていけないのか。 戦後最大の詐欺といわれた豊田商事事件。その残党たちの暗闘を通じて、令和の闇を描破した、渾身の長編小説。 戦後最大かつ現代の詐欺のルーツとされる横田商事事件。その目撃者であり末端の営業マンであった隠岐は、かつての同僚の因幡と再開。導かれるがまま〈ビジネス〉を再興する。 取り返そうよ、ここらで僕達の人生を。僕と君は一蓮托生なのだから。 幾多の修羅を経て、詐欺の魅力に取り憑かれていく隠岐。ついには〈国家〉を欺く一大事業へと発展していくのだが……。 欺す者と欺される者、謀略の坩堝の果てに待ち受ける運命とは。 人間の業と欲を徹底的に炙り出す、規格外の犯罪巨編。
レビュー
-
『欺す衆生』は一気読み必須の犯罪小説。主人公以外の本心が見えず、誰も信用できない世界観。
【誰も信用できない世界観】 詐欺師やヤクザの暗躍を描いた犯罪小説になりますが、主人公以外の登場人物の本心が全然見えず、仲間の詐欺師やヤクザでさえも信用できない。しっぺ返しをくらいそうなドキドキ・ハラハラ感が終始続きます。続きを読みたい意欲を抑えられず、週末に夜更かしして一気読みしました。 【自分の小物ぶりを再認識(汗)】 主人公は、一般的な営業職や家庭ではぱっとしないんですが、詐欺の世界では才覚を発揮し、ヤクザやマフィアを相手に何度も修羅場を潜り抜けます。機転が利き、肝が据わっている様子は、まさに傑物。そんな大物の物語を目の当たりにして、自分の小物ぶりを再認識しました(汗)。騙したり、騙されたりを繰り返し、社会的な地位も命も明日には失いかねないような世界では、自分はとてもじゃないけど心休まらないし、生き抜ける気がしない…。身の丈にあった平和な暮らしが一番です。 【他者を欺かねば生きていけない人間の本質】 著者がWebインタビュー記事で「他者を欺かねば生きていけない人間というものの本質を追求できればと思っている」と述べていますが、本書の主人公は金や豪華な生活、社会的地位に執着があるわけではなく、どちらかというとつつましくても家族と幸せに暮らしたいと思っている。一方で、詐欺師としての機転やコミュニケーションは才能に溢れており、また、人を欺す時に、罪悪感も感じながらも、高揚感を感じ活き活きしていている。そして、そんな高揚感を感じている自分を認めたくなくて、自分の気持ちをも欺そうとしているように見える。さらには、一度足を突っ込んでしまうと、自身の秘密を知る人たちと運命共同体になるしかないし、ヤクザ等の関係者からの要求も高くなっていく中で、スケールを拡大し続けて裏の世界で生き抜くか、失敗して死ぬかの二択になってしまう構造も描き出している。 このようなキャラクターや構造の要素も振り返って考えてみるのも面白い作品でした。
-
読後感
詐欺師が繰り広げる活動の思考過程を垣間見ることが出来ました。
-
有難うございました
ありがとうございました
-
人の内なる闇の本質
昭和の一大詐欺事件、豊田商事事件をベースに、因幡と隠岐という日本神話を意識したような名前の二人が、詐欺師としての暗躍を描いた本作は、欲だけでは片付けられない心の内なる闇の本質をリアルに描いていて、静かな震撼に肚冷える、読み応えがありました。
-
一気に読み切りました
かなりの取材の作品だと思います。 楽しませていただきました。
-
経済とは権力と欲望と云うマントルに支えられた幻影かも知れない
昭和の終わり、報道番組の画面は衝撃の事件を伝えた!詐欺商法で追及を受けた豊田商事会長の刺殺実況である。この物語はその事件に倣って始まり、やがて経済犯罪を繰り返していく営業マンの汚れたビジネスを物語として展開していく、しかし詐欺は架空のモノを取引するから犯罪だが、現実の社会でも紙一重で一歩間違えば犯罪行為すれすれの金儲けはこの世界には往々にして存在すると思う、資本主義の矛盾を感じて止まない。経済とは権力と欲望と云うマントルに支えられた幻影かも知れない、それはいつの日かマネークエイクとして社会を揺さぶるのだ!
-
一気読み必至
最初の導入はありきたりでこのあとどのように進むのか不安だったが、原野商法から和牛商法に移るあたりから俄然おもしろくなった。 ピカレスク小説の白眉。展開のスピード感が半端なく、主人公の善と悪の狭間で悩み悶える姿が迫真に迫っていた。 ストーリーの巧みさもさることながら、因幡や聡美、蒲生、砂州など登場人物たちのアクの強さも面白さを引き立てている。
-
最高のエンターテイメント
久しぶりに時間を忘れて読みました
関連する文学賞
- 山田風太郎賞 第10回(2019年) ・受賞