作品情報
取り返しのつかない過去を抱えた人々の痛みを、乾いた筆致で追う。
新潮社刊のデビュー長編。事件の真相を追う物語でありながら、誰かを助けたいという願いの危うさや、後悔を抱えて生きる意味を問いかける作品である。文庫版も刊行されている。
レビュー要約
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重い題材を扱いながら、読みやすい文体と真相への引きで読ませるという反応が多い。人物の掘り下げや終盤の余韻を評価する声がある一方、要素の多さを指摘する読者もいる。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2021-01-27
- ページ数
- 376ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14 x 2.6 x 19.7 cm
- ISBN-13
- 9784103538219
- ISBN-10
- 410353821X
- 価格
- 1750 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
貴志祐介氏 激賞。 「この筆力は尋常ではないし、天性の物語作家の資質を感じさせる。過去、読んできた新人賞候補作のなかでも五指に入る作品だ」 顧客の要望に応じて偽りの身分を与える「アリバイ会社」を生業とするサチのもとに、ある日、二人の少女が訪ねてきた。数日後、片方の少女がビルの屋上から身を投げ、サチは残されたデリヘル嬢・アンナをやむを得ず「門」の向こう側へと“逃がす"よう迫られる。サチの真の稼業はこの世界に居場所を失った人間を異界へと導く“雨(あめ)乳母(うんば)"だったのだ――。 なぜ、少女は死ななければならなかったのか。死の道標を追う過程で浮かび挙がる〈未成年売春婦殺人事件〉と少女たちの恩讐渦巻く関係とは一体。サチは無事に“逃がす"ことができるのか……。 異世界×ハードボイルド 現代の「祈り」と「贖罪」を描破した、衝撃のクライムミステリー!
レビュー
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地獄のようなこの世界で、それでも生きる
あなたにとって、この世界はどんな世界でしょうか。 楽しい、つらい、綺麗、汚い、楽、苦しい。 いろんな見え方があると思います。 楽しい人はいいですね。明日もきっと楽しいから、ぐっすり眠れる。 でも息苦しい人はどうすればいいんだろう? 明日が楽しい保証がないから、夜眠るのが少しこわい人は? そんな人にオススメしたい物語です。 自分を全肯定してくれるような、生ぬるくてただ易しい物語ではありません。 世の中の汚くて苦しくて当事者かもしれないしそうでもない、けれど確かにあるだろう事件が出てきます。ニュースにすれば5分もない、『かわいそうだな』って思いながら通り過ぎていく。 こんな世界、生きていく価値はないかも? 感受性の高い人ほど、優しい人ほど、苦しいと思います。 でも、それでもどこかでまだ、生きることを信じている。 この物語は残酷でどうしようもない世界を示しながらも、その中で生きていくことの美しさを教えてくれます。 それは例えば、『ゼロ・グラビティ』で最後に主人公が立ち上がった力強さのような。 小説としての完成度も高く、衝撃的などんでん返しというよりも、散りばめられた伏線の結実していく様にカタルシスを覚えます。 最初はリアルな世界に地続きで登場するSFちっくな設定にギョッとするかもしれませんが、読んでいると全く気にならなくなります。 毎日、眠るのが怖い。でもまだ、何かを信じていたい。 そんな私のようなあなたに届いてほしくて、レビューを書きました。 どうか祈りが届きますように。
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難しかったです
私は読んで後悔しました。 これはミステリーではなく、ファンタジーだという印象です。 ミステリーに荒唐無稽な要素はいらないと思っている私は 残念ながら300ページ以降は流し読むことしかできませんでした。 「逃がし屋」の主人公といろいろな事情を抱えた「逃げたい」依頼人 の物語と言ってもいいと思います。帯や背面のあらすじを見て、 そういう本を手に取った自身も現実逃避をしたいと心のどこかで思っている のかもしれません。そうであればこそ、「逃げる」とはどういうことか、 もっと言えば「逃げた」先にどんな救いや希望が見え隠れするのか という点について、勝手に作者の力量を期待してしまったことで、 結果的に本作とすれ違うことになりました。 一度すれ違いを感じ始めると、全てをセリフで表現してしまい 行間が感じられないような文体も些か冗長に感じられ、 セリフだけで構成されたドラマの脚本を読んでいるような感覚にもなりました。 主人公も過去に「逃げた」一人のはずですが、主人公の「逃げ方」と、 「逃がし屋」としての依頼人の「逃がし方」に物理的、心理的な共通点が見えにくい 点が、本作の理解を最も難しくした点です。 主人公がこれまで「逃がした」人を登場させることで「逃がす」という行為について 更に奥行きを出すことも可能であったはずですが、こうも「逃がす」という行為の描き方 がファンタジーだと、それも難しいだろうと妙に納得してしまいました。 受賞作品ということですが、他の受賞作品も、選考委員の方の作品も、 ご縁は無さそうです。ただ、解説にはファンタジー要素が強いことが説明されており、 今後は購入前に解説を熟読してから本を購入しようと反省しました。
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ミステリ風ファンタジー?いいえ形而上学的哲学小説です
歌舞伎町を舞台に「ネイルサロン」を隠れ蓑に「アリバイ屋」をひとりで営む女性の本当の仕事は「逃がし屋」。と聞けば戸籍を洗って別人になりすまして、どこか別の土地に送り込むだけと思いますが、実は空間と時間を超えて自分自身のままで人生を変える「特別な方法」を独自に身につけています。ハードボイルド風な台詞回し、裏切りにつぐ裏切りなどサイドメニューも山盛りです。 誰にとっても「あの時、あちらを選択していたらどうなっているんだろう?」とか「やりなおせたらどうしようか?」という素朴な疑問への解答はもちろんひとつであるはずもありません。登場人物たちは「この世界の理不尽さを憎みながらも自暴自棄にならず、必死に生き続けようとしている。」なかで「最も幸福になったであろう選択が為された世界」に逃がしてもらいます。 けれども「幸福とはいったいなんなのか?」を自らに問いかけるとなんと逃げ先を選択せず、また地獄のような現実に戻ることも。そう、人生の選択をできるのは自分だけの権利であり義務でもあります。となると今日を生きて明日につなげることしか出来ないのも事実です。
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絶望、虚無。これはさらに、その後の話。
自分の醜さ、愚かさ、醜悪さ、他者から向けられる攻撃、誰も助けてはくれないという絶望…荒んでしまった心。 救いはない。あがいても無駄だ。諦めてしまえば簡単に楽になれる。生きる意味など、とうに見失った。何もない。何も感じない。 「生きていれば何とかなる。」「いつかきっと良いことがあるよ。」そんな慰めも届かない。 だけどこの物語は、そんな私にも、寄り添ってくれた。 救いにはならないかもしれない。だけど、何か尊い光のようなものを私の中に授けてくれた作品だった。
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まさに入り込める小説!!!
こんなにも情景を感じさせてくれる小説があったのか?? 登場人物の感情も含め、ダイレクトに伝わってくる臨場感。。。 読むべき小説!!
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ハードボイルド+ファンタジーの秀作。後半が若干クドイ点が少し残念。
前半はハードボイルドメイン、後半はファンタジー(並行世界)メインという少し変わった構成だが、うまく融合されており、特に前半は展開も早くグイグイと引き込まれる。その分、後半の並行世界での叙述や内省が繰り返される部分が急激にクドク感じてしまった。とはいえ、全体としては非常に面白い作品であった。
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好き嫌いは読み手の嗜好によるかな?
この作品は好き嫌いが分かれると思う。ジャンル分けして小説読んでる人は嫌いかな、、 ファンタジーっぽいものが嫌いな人も。 作者は描きたいものがたくさんあるんだと思う。ファンタジー、ハードボイルドの形をとりながら伝えたかったメッセージをこちらが受け取れるか、、それはこちら側の資質の問題なのかもしれない。 伊達邦彦が純文学に登場するのも悪くはない。 ストーリーの組み立て、伏線の回収は見事だと思うし、語彙力にも眼を見張る。 お花畑の話は嫌いだし、闇だらけは滅入る。 てんこ盛りの疾走感の中で、闇に浸かりながら、一筋の光が見える、、読み終えて心地良かった。 デビュー作品で度肝を抜かれたが、次の作品が楽しみだ。
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ハードボイルド+ファンタジー!
面白かったです! ハードボイルドテイストからはじまり徐々にファンタジーの要素が入ってきて、その二つがうまく融合されていると思いました。ストーリーが面白いのはもちろんですが、読み終わったあと人が生きるということの意味について考えさせられます。 重いテーマですが、読後感は不思議と悪くなく、明日への希望を感じられました。 読む人は選ぶと思いますが、刺さる人には刺さると思います!
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