赤い星々は沈まない
介護施設で働く女性を語り手に、老い、性、夫婦の距離、女性の身体感覚を描く短編を表題作とする作品集。世代の異なる女性たちのままならなさを、ユーモアと痛みを交えて描く。
作品情報
からだの奥に残る熱を、女たちの物語として描く。
新潮社刊の短編集。受賞作を含む五編を収録し、介護、家族、性的な自己認識、社会的な偏見を、複数の女性の視点から描く。
レビュー要約
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女性たちの心の揺れを安易に裁かず、世代ごとの息苦しさを連作的に響かせる点が評価されている。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2024-04-17
- ページ数
- 224ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 19.1 x 13 x 2 cm
- ISBN-13
- 9784103596110
- ISBN-10
- 4103596112
- 価格
- 1870 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
からだの奥底に、燃える星を抱えた女たち。 選考委員絶賛、「R-18文学賞」大賞受賞作! 老人介護施設のマドンナ・キヌ子は、いまだ枯れずに「女」を振りまいている。夫とのセックスレスに悩む看護師のミサは、介助しながらその言動を複雑な思いで見ているが……。 今の大人の女性たちが抱える「ままならなさ」を真っ向から、時にユーモアも交えて描いた「女による女のためのR-18文学賞」大賞作家デビュー作。
レビュー
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女にとって性とは何か考えさせてくれる作品
女にとって性とはなんだろう。 「性」「セックス」という言葉に、にやにや笑ってしまういやらしいもの、あるいは「性教育」みたいな固苦しいものを感じてしまうことが多い。 性、セックスという言葉にいやらしさを感じてしまうのは、わたしの年齢のせいかもしれない。 でもそれだけではない。それは物心ついてからあふれていた性の情報に洗脳されてきたからではないか。 男性向けのみだらな格好をした女の裸がいっぱいの雑誌、ソープランドのような風俗、パパ活、売春、買春。 わたしたちは、男の性欲のはけ口として性の商品が氾濫する中で育ってきた。 実際のセックスだけではない。女の性を売り物にした商品も氾濫している。今はアニメなんかも含めて。 性は人間の体の機能の大事な部分だ。子孫を作るだけではなく、好きな人と親密な愛を育てる役割、究極のスキンシップだと思う。 なぜそれが、いやらしいものと言うことになるのだろう。 まだまだ世界は男優位の社会だ。男の中には、女を男の快楽の慰みものと考える人や女は一段下の人間と考える人もいる。その人たちにとっては、女の体は「快楽」をもたらす道具でしかない。 女だってその地位に甘んじている人もいる。 この本、「赤い星々は沈まない」はその問題に疑問を呈している。 女性自身が自分の性の主体であることは人間として当たり前のことだ。 それなのに、社会の中でゆがめられてしまっているから、悩みや苦しみが生まれる。 女が自分の性を大事にしきれないこと。女は性に受け身であれと男の目が言っていること。そんなことなどから苦しみが生まれるのだ。 性とはセックスだけをさすのではない。ここでいう性はセックスをするとかしないとかの問題ではない。 自分の心を大切に思うのと同じぐらい、女であることや性を大切にしたい。 自分の性を大切にしていない人は、自分の心も大切にできていないかもしれない。 この本には、女性の性や立場が大切にされないこの社会で、悩みながら大切にしようと生きていく人が出てくる。あるいは、女であることに振り回される人が出てくる。 作者は女性の新しい生き方を性を通して書こうとしている。 次回作はどんな角度で書いてくるのか、楽しみにしている。
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女性の性の始まりと終わり
女性の性を深く掘り下げた、充実した作品だと感じた。 テーマは重めだが、主人公たちがみな小気味よく痛快である。悩みもがく彼女達を、自分自身と重ねながら読み進めた。 「赤い星々は沈まない」の主人公ミサは、どこへ行くのだろう……そう思いつつページをめくれば、ラストの章「肉桂のあとあじ」で方向が見えてくる。 「カラーレス」は”性のはじまり”の物語。 そこに登場する彩乃が「soir rouge」の弥衣子の娘であるとすれば、この本はらせん状の輪に繋がっていて、性における女性の様々な世代の悩みやもがき、欲望を繊細に描いている作品といえる。 その意味からも「カラーレス」、ここが始まりでありここが終わりであるようにも思う。 ふと、天照大神の話を思い出した。
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腑に落ちる物語
いやらしく成りがちな性に関する物語を日常の一部として見ていて読んでいて腑に落ちる物語となっていると思う。 個人的にはカラーレスと肉茎のあとあじが気に入りました。 どちらも主人公のこれからが期待できる終わり方で読み終えてすっきりとした感じです。 女性視点からの性に関する物語とはと興味がありましたが、読み終えて、なるほどね・・・と思える作品だと思います。 今後はどんな物語を綴ってくれるのか楽しみです。
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夢中になって読める!読後にタイトルでさらに感動!
可愛い表紙と引力の強い帯に惹かれ購入、一気に読破しました。 テンポ良く文章もうまい、そして説明的な文章がなくうまく消化されている。アートな雰囲気もところどころ見受けられ作者の世界観を感じさせられる。細やかな表現も多いので全話が作り物っぽくない、実際に全て体験されたのかと思わされるほど。 各世代の女性の性を中心とした悩みが書かれているが、もがいてその先へ進もうとしている姿に好感をもて、湿度が高くなく読後感が非常に良い。登場するキャラのファンになりました、もっと彼女たちの事を知りたいです。 文学賞大賞受賞作品とのこと、納得の一冊です。
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作者の想いが伝わりました!
誰しもがもっている性の悩みを 丁寧に描かれていて、それぞれのストーリーに引き込まれました! 登場するキャラクターも魅力的で、葛藤しながらも前に進むところにとても共感しました!
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繊細な心情描写
まだ20代で若い方ですが 誰にでもある悩みでとても共感できて面白い内容でした。心情の描写が繊細で人の心の内を読者にとても伝わりやすく描かれてるなと感じました。
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一歩前へ踏み出した先で見せる顔
文章が読みやすく、とても面白い作品でした。 内容は悩みながらも精一杯生きる女性達の5つの物語。 人は誰しも沢山の顔を持っていて、それを場面や相手によって使い分ける。 この本に登場するのはいい歳をして、という言葉や人間関係という見えない鎖に縛られ素の顔をさらけ出せない女性達。 そんな彼女たちが勇気を出し一歩踏み出した先で見せる顔。 その顔は作者がつむぐ素敵な言葉や文章を身にまとい、どんな映画やドラマの主人公にも負けない魅力的な姿で頭の中に描かれます。 特にこの本のメインテーマと思われる歳を重ねた女性の性について見せる顔。それはまさに命そのもの。 今この問題を抱えている人は最後のページをめくり終えた時、彼女たちにそっと背中を押され今までとは違った景色が見えていることでしょう。 自分の人生がどこにでもあるのような平凡なものに思えても、勇気を出して一歩踏み出せば誰しも物語の主人公になれる。 そう思わせてくれるとても良い作品でした。
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名著!!!
特に 「ソア・ルージュ」と「肉佳のあと味」がいい。 「ソア・ルージュ」はミステリータッチで男性が女性にする性感マッサー物語。こんな小説読んだことない! 「肉佳のあと味」は主人公の心の裡がよく描いてあってラストがいい。不器用に生きてきた女性の応援歌! 性は人間の根源的な営みであるけれど蓋をしたり流してゆくもの。この難しいテーマに挑戦し、包み隠さない的確な言葉で綴ってある。 惹きつけられたまま読了することができ、読後感もいい。 個人的には、芥川賞候補作品!!!