作品情報
『海峡の光』は、受賞作として読まれてきた作品の核を静かに伝える一作です。
辻仁成『海峡の光』は、芥川龍之介賞の文脈で評価された作品です。物語、評論、詩歌、記録文学など作品形態は対象ごとに異なりますが、ここでは作品名と著者を軸に、単独作品としての魅力が伝わるよう紹介します。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 1997-02-01
- ページ数
- 159ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784103977032
- ISBN-10
- 4103977035
- 価格
- 2251 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第116回(平成8年度下半期) 芥川賞受賞
レビュー
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光は救済か?
何と詩的❗️上手い文章、構成。やたらとフリガナのついた熟語の多い説明部分、一転、登場人物のセリフは少なく短い。常に、強者と弱者、囚人と看守、光と闇、陸に生きるものと海に生きるもの、世の中の内側と外側ーー 相対するものを意識させまるで表紙の絵のように、人間の二面性を意識させる。 「世の中の外側にいられることの自由ってわかるかい」と「おれはずっとここに居たいのだ」と言う花井。 塀の中の規律こそが自由、自分として生きていける。そこに至るまでの心の闇や生活を一行も書かないで、 闇と光を考えさせる。暗く重いテーマが通奏低音のように流れ続け、表面は海の波に揺れるように物語が展開し、 何故か、サラッとよめてしまう不思議。深読みして光をレンブラント光のように感じれば「救済」を考えさせる。 誰かと読後感を共有したくなるような小説だった。 「のろまな枯れた日だまり」………! 名言かも そろそろ涼しくなることでしょう、文学の秋でございます。 そこで、《㊗︎ DAI》 〜〜宿題 を出しま〜す! 問【貴方は、タイトルの「海峡の光」は、何を意図して居ると思いますか。】 何故 この様なタイトルをつけたのでしょう? ピッタリ🌆マッチしてますよね。 皆さんのご意見を其々、聞きたいと思います。(2〜3分) どうぞ自由な発想でムツカシクナラナイデ、お考え下さい。
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表現が丁寧で引き込まれる
個人的には言葉の使い方が印象的だと思った。一つのことを表現するのにこういう難しい言い方をするのだなあと思いながら読んだ。いくつかの時間軸が同時にあり、すっとそこに引き込まれるので、できたら一気に読んだ方がいい。おもしろかった。
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暗い!
刑務官ストーリーで苦手でした。。
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函館の街
芥川賞受賞作品ということでまず魅かれて手に取り、舞台が函館というので興味を魅かれた。文庫本の薄さがこのところ無沙汰だった私には適度であった。小説の内容としては全体暗く陰鬱な印象は否めない。やや期待外れです。
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不条理・・・・
文庫版後書きに江國香織が書いているように、「不条理」の一つの現れ方を表現した作品と読んだ。 経験上、子どもの頃の知人に年をとってから何十年ぶりに会っても、存外覚えているものだ。面影というものが、人にはあるのだ。「私」斉藤が「花井」と知ると同時に、「花井」も私を認識していたのではなかったか。 禁欲的な受刑者ぶりを示すことで、「私」の心をささくれさせるという狡猾さを感じる。この小説は「私」の一人称の形で語られるが、実は、そっくりそのまま「花井」の心を描写していたのではなかったか? 「私」も含めて、人間の心の闇を見事に描いた作品であると思う。
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満足
満足しています
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実は誰にとっても身近な題材を通じて自分事として追体験させる。
25年振りくらいに再読。当時も衝撃を受けましたが、今回はまた違った感想を得ました。人は誰しも多かれ少なかれ、いじめる側/いじめられる側どちらにも立ったことがあるのではないでしょうか(いじめは大人の世界にもあります)。どちらの立場としても、その記憶が蘇ってきて読んでいて苦しくなるほどでした。花井はサイコパス、または人生を達観し超越した存在として描かれます。その圧倒的な存在感を前に、斉藤が幼少時のトラウマを乗り越えるための物語として読むこともできるし、自意識過剰な男の茶番劇としても読めます。青函連絡船や刑務所という一見読者と縁遠い世界を描いていながら、実は誰にとっても身近な題材を扱っており、読者に自分事として追体験させる手腕は見事だと思います。
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納得の芥川受賞作
青函連絡船廃止に伴い函館の刑務所の刑務官に転職した主人公。ある日、少年の頃、主人公へ執拗にいじめを繰り返していた男が入所してくる。果たして男は主人公に気づいているのか。主人公は、過去の苦い思い出を振り返りつつ、男から目が離せなくなる…。 表面上は良い子でありながら、弱者への冷酷ないじめの主導をするシーンが時折り挿入される。立場が逆転した今であっても、主人公は当時の精神的な呪縛から逃れられない。この鬱屈した感情表現が巧みだ。 刑務所の外では、早々に転職を決めた主人公に、元同僚からの嫉妬が突き刺さるという、重い物語である。 模範囚となるも、徐々に刑務所内で弱者へのいじめを始める男。主人公は変わらぬ性質に不安を募らせる…と続く。 ラストの、刑期を終えようとする主人公と男が交わす短い言葉が衝撃的。納得の芥川賞受賞作だ。