クロニカ: 太陽と死者の記録
インカ帝国を滅ぼしたスペインの武器「文字」をめぐり、文明の衝突を描くマジックリアリズムのデビュー長編。
作品情報
文字は、文明を滅ぼす武器にもなる。
インカ帝国を滅ぼした「文字」を軸に、文明の衝突と知の暴力を描く幻想的な長編。デビュー作としてのスケール感が強い。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2001-12-01
- ページ数
- 365ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784104506019
- ISBN-10
- 410450601X
- 価格
- 2600 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: クロニカ: 太陽と死者の記録 : 粕谷 知世: 本
レビュー
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構成に失敗があったのでは?
著者は南米に関して深い造詣があるのだということは理解できる。 ただ、物語りの最初から退屈な話が延々と続くのはどうなのだろう。 ミイラが普通に面白おかしくしゃべり出すことくらいでしか引きつけられない。 読み進めるのにかなりな苦痛を伴ってしまった。
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名古屋弁(多分)が妙に合う、木乃伊が語るインカの物語
京極夏彦の隣にあったので手に取りました。冒頭「文字をもたなかったのである」の一行に引き付けられてそのまま序章を読み切りました。なぜインカは文字を持たなかったのか。その理由が興味深く納得できて気持ちがよかったので買うことにしました。 知らない世界の物語、でもそれを語るのはどこかで会ったことがあるような親しみ深い優しい老人の木乃伊(ミイラ)ワマン。小さいアマル(アマルがふたり出て来るので少年のアマルをわたしは勝手にこう呼んでいました)の悩みと行動。スペインの巡察使に対して村の大人たちがとった行動と決意。インカの語り部である大きいアマルの知りたい欲求とそれが招く結末。インカの幼い王様の弱さと苦悩。相対する神、人の意識の対決が形となって現れる語りのクライマックス。 インカ(国名としてはタワンティンスーユと表記するのがふさわしいそうです)の話の結末は悲劇ですが、わたしは読み終えた時、目頭を熱くしながらも清々しい開放感を得ました。生きることは過酷な体験をつなぐことである。しかし耐え抜いて生き切ったならば救われる時が来ることをタワンティンスーユの人々が生き生きと表してくれているからと思います。 征服されるタワンティンスーユの人々に寄り添って物語に入りつつも、征服者側のルイス・ペレイラ神父の徹底した信仰への忠実さ、それ故の冷酷で狡猾な態度に少々心惹かれたりもしました。 随所にちりばめられる、タワンティンスーユの言葉とスペイン語の響き、歴史の事実、そして最後にちょっとしたおちゃめ(とわたしは思いました)な落ちもついて、とてもとても楽しめた一冊でした。
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久しぶりの心温まる歴史小説
たまたま購入したのですが、読み終わった後、何とも言えない優しい気持ちになれました。話自体はインカが征服されていく過程を背景に持っているため、決して明るい内容ではないはずなのですが、ミイラの何とも言えない温かい語りや少年とのやり取りを通して、人々は何を大事にすべきか、何を誇りとして生きていくべきかを考えさせられる本でした。征服される側で書かれた話しでありながら、ただ一方的にどちらかを非難したり賞賛するような偏った部分がなく、とても公平に客観的な歴史的事実を踏まえており、その部分にも大変好感が持てました。インカや中南米を知りたい人はもちろん、歴史に全然関心のない方でもお話として楽しめる小説だと思います。最近、あまり良い小説に出会えずドキュメント系に走っていたのですが、久しぶりに良い小説に出会えてとても嬉しかったです。