日本の文学賞

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醒めた炎 上巻: 木戸孝允

菊池寛賞

醒めた炎 上巻: 木戸孝允

村松剛

『醒めた炎…木戸孝允』は、村松剛によるノンフィクションです。受賞時に注目された主題や語りの調子を手がかりに、人物、場所、出来事が重なり合う作品として読むことができます。

社会歴史記録考察

作品情報

『醒めた炎…木戸孝允』は、題名が呼び込む情景と作者の関心を結びつけながら、受賞作としての輪郭を残す作品です。

『醒めた炎…木戸孝允』は村松剛のノンフィクションとして、中央公論社から刊行された作品です。題名に示された対象や場面を入口に、時代の空気、生活感、人物の内面を読み取れる構成になっています。

書籍情報

出版社
中央公論新社
発売日
1987-07-01
ページ数
712ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784120015977
ISBN-10
4120015971
価格
2425 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

Amazon.co.jp: 醒めた炎 上巻: 木戸孝允 : 村松 剛: 本

レビュー

  • 木戸孝允を超えた歴史大河小説

    どちらかと言うと木戸孝允が直接関係した/しなかったに関わらず、明治維新に起こった歴史的事件をすべて網羅した大河小説という感じである。この時代に活躍した人物だけでなく、背後の社会・文化情勢も細かく描写されているところが新鮮であった。現在放映中のNHK「花燃ゆ」を違う観点から見るようで、非常に興味深く読んだ。歴史に興味のある人に強くお勧めの長編。

  • 小説と歴史書の間

    上下二巻読了後の感想。 膨大な資料を駆使しているためほかの方も言っているように歴史書のような読み応え。 ただし史実を見つけることが筆者の目的ではなく 筆者の「木戸孝允像」を見つけていくことが目的だと思われるので 完璧な資料批判がない部分も。もちろん小説なのでそこは苦にはならなかった。 文章自体は一般的な小説とは一線を画すほどの冷静さ。 しかし木戸(桂小五郎)の人生そのものがドラマチックなのであえて脚色を加えず淡々と書いたのかもしれない。 さらに本書は木戸だけでなくさまざまな人物に焦点を当てているため「幕末維新史」を書いたとも言える。 木戸、高杉、久坂、西郷、大久保、坂本、徳川慶喜、松平春嶽、山内容堂・・・誰かだけを主人公にしては幕末維新史は語れない。 彼らすべてがいたからこそあのような改革が成されたのだから。そんな綺羅星のごとく存在した「志士」たちのなかでなぜ筆者は木戸を「主人公」としたか。 木戸の存在意義をこの作品から見出すことができるかもしれない。

  • よく調べてある

    1979年、著者50歳からほぼ十年、日経新聞日曜版に連載したもので、木戸孝允が中心だが、作った会話などはなくほぼ史料だけで書いているが、その史料の調査が司馬遼太郎を越えて細かい。桂が関係していないことまで調べているが、これは日経の記者がかなり手伝ったのだろう。まるで幕末政治辞典の観を呈している。一点引いたのは、井伊直弼を執拗に「保守派」とバカにしている点で、これは司馬もそうだったが、あの場合条約を締結しなければ日本は欧米諸国と戦争になっていた。司馬も村松も、攘夷という愚かな思想に対して甘い気がするからである。

  • 勝てば官軍負ければ賊軍

    歴史好きで特に桂小五郎(木戸孝允)が好きでこの本に巡り会った 江戸~幕末~明治維新の波乱の時代の流れが良く分かる書籍。 全部で四冊ページ数もあり読み応えは言うまでもなし。物語性はありませんイメージされてる以上に堅い本かもしれない。 ただ、他の作家と違い著者の私情は一切なく淡々と真実を述べている。 不明な点もあるようだが、歴史にはつきものだし致し方無いと思う。変に話しを作られるよりは事実を知りたいしノンフィクションという事で‥ 幕末では主に龍馬等の名前が良く上がる。 そして桂は弱虫の逃げ者として書かれる事が多く、甚だ不愉快であったがこの貴重な本を読んで真実を知って欲しいと思う。 それと同時に歴史の流れが良く分かる歴史好きな私にはとても面白かった。 ただ、全くの無知だとこの本は理解は難しいかもしれない。全く優しくない(笑)。この頃の時代も複雑だし当日の言葉も出て来て仮名もないので読み進むには時間が掛かるかも(戦国も少々。) 本当に興味があり調べながら読み進むのも面白いかもしれない! 主人公の桂小五郎(木戸孝允)に興味がなくとも、歴史の流れがかなり細かく掴めるので本当にお奨めします。大袈裟かもしれないが歴史辞書のような本だと思って頂ければ‥。

  • 一般の小説とはちがう妙な感動がある

    これは、小説というよりは評伝・歴史書に近い作品です。 したがって会話文などは一切ありません。 著者は一貫して醒めた視点に立っており、良くも悪くも学者・評論家の文章という印象を受けました。 一般の歴史小説に描かれるような感動的なエピソードも、ことごとくその事実性を疑問視しています(例:竜馬の大政奉還達成の場面など)。 残念なのは、その疑問視する根拠を示す場合もあれば、何も示さない場合も多いことです。 「〜というエピソードがのこされているが事実かどうかは疑わしい」「彼はここで〜と言ったと伝わっているが、果たして本当だろうか」とだけ書いて終わりで、なぜ「疑わしい」のかその理由が示されないのは、少々論理的でないように感じました。 ただその点を除けば、資料としてはとても詳しく書かれてありますし、面白く読むことができました。 また、場面によっては、感情を挟まず淡々と事実を追っていく手法が、小説以上に胸に響くことがありました(松陰の処刑や蛤御門の変あたりなど)。 彼らの行動の日付を追うだけでも、この人達はなんて濃縮した時間を過ごしていたのかと感動をおぼえます。 タイトルは「木戸孝允」ですが、木戸以外の人間についてもかなり多くのページが割かれてあるので、幕末〜明治期一般に興味がある方にもお勧めです。

  • 後世に残したい名作!

    小説というより歴史書です。綿密な調査による客観的な考察はそこいらの歴史書とは一線を画しています。 この本が有れば幕末明治初期の流れがばっちりつかめます。 木戸孝允(桂小五郎)は逃げてばかりとか、女々しいとか一部の時代小説で脚色して描かれ、大河ドラマでもイマイチな扱いですが、この本を読めばそんなイメージは吹き飛びます。 彼の生き方は理性的で立派で先進的で苦渋に満ちあふれていました。 読み物にも資料にもなる名書なので歴史好きは必見です!

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