作品情報
母はなかなか死なず、娘は介護と結婚の現実の中で自分の人生を選び直す。
中央公論新社刊。読売新聞連載を単行本化した作品で、介護に疲弊する美津紀が、母の死と夫の裏切りを通して自立を考えていく。大佛次郎賞受賞作。
レビュー要約
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介護の苦しさと母娘の複雑な感情を、長い物語の推進力として読ませる点が評価されている。陰惨になり得る素材を、明快な筆致で現実感ある小説にしている。
書籍情報
- 出版社
- 中央公論新社
- 発売日
- 2012-03-01
- ページ数
- 524ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784120043475
- ISBN-10
- 4120043479
- 価格
- 2925 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
家の中は綿埃だらけで、洗濯物も溜まりに溜まり、生え際に出てきた白髪をヘナで染める時間もなく、もう疲労で朦朧として生きているのに母は死なない。若い女と同棲している夫がいて、その夫とのことを考えねばならないのに、母は死なない。ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?親の介護、姉妹の確執…離婚を迷う女は一人旅へ。『本格小説』『日本語が亡びるとき』の著者が、自身の体験を交えて描く待望の最新長篇。
レビュー
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すぐに 送っていただきありがとうございました
新品同様きれいな本を、気持ちよく読んでいます。どうしても読みたかった本が、簡単に手に入って、嬉しかったです。
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厚いけどすらすら読める
分厚いけどすらすら読めました。 色んな人の人生を覗けたような、 現実にもありそうな考えさせられる内容でした。
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『本格小説』の後の『新聞小説』
『続・明暗』で私達の度肝を抜き、第二次大戦後書かれた恋愛小説としては『春の雪』と肩を並べるであろう傑作『本格小説』を上梓し、『日本語が滅びるとき』では日本語の将来を心から憂い、文学をそして日本語の美しさを愛する私達に衝撃を与え続けている水村美苗氏が十数年ぶりに発表した小説である。期待は大きかった。 氏の日本語は相変わらずほぼ完璧と云ってよく、古風で典雅な語彙と言い回しをちりばめた表現はきわめて魅力的であって、まさに『日本語が滅びるとき』の問題意識を小説と云う形で実践したものと云える。 しかし、この『母の遺産』が小説作品として『本格小説』の域に達しているかと云えば、残念ながら遠く及ばないと云わざるを得ない。漱石が『文学論』の中で述べたように小説を、A.内容・文体ともに優れた小説、B.内容は優れているが文体が稚拙な小説、C.文体は素晴らしいが内容が乏しい小説、D.内容・文体ともに稚拙な小説、と分けるとすれば、『母の遺産』はCに当たる。 その原因は幾つか考えられるが2つだけ挙げてみたい。 まずは内容に関して。 兎にも角にも暗すぎる。小説は、どんなに悲劇的・悲惨な内容のものであろうと、読み終えた時、生きていることには価値があると思わせてくれるものであって欲しいと思う。その点で『母の遺産』は物足りない。 小説前半の中心となる、主人公「美津紀」の母(と祖母)の生き様については、美苗氏の母・水村節子氏が書いた『高台にある家』の方が、エゴイスティックに、しかし純粋に生きた主人公の姿が活き活きと活写されていて数段面白い。娘・美苗氏もその文章の添削を手助けしたと云うことだから、美苗氏に、母「紀子さん」の若き日の生き様を改めて小説化しようという意図はなかったはずである。そうであるなら、美苗氏の意図する前半の主題の1つは、肉体的・精神的に問題を抱えた老親を持つ者の介護の問題、或いは老人の延命治療に対する批判なのであろうか。(『高台の家』を読んだ者にとっては老いた「紀子さん」の姿が余りに哀れです。)私も長生きをしすぎている親を持つ身ゆえ、美苗氏が提示する問題に無関心ではおられないが、それでもこの本を読んで新たに何かを考えさせられたと云うことはなかった。ただ遣り切れなさだけを感じた。つまり氏の感覚は老親を持つ者なら誰でも感じる普通の感覚なのである。私達読者は水村美苗氏に普通の感覚を期待しているのではない。 さらに 「美津紀」は母の遺産が幾らになるかということに異様なほど関心を示す。それだけでなく夫と離婚することで慰謝料は幾ら入るか、離婚のあと夫の年金の自分への分割分は幾らになるかを細かく計算する。(水村美苗氏は漱石の『道草』を意識していたのかもしれない。)確かに尊厳を保った生活をする為には或る程度のお金は必要である。しかしお金の話は日本人の美意識――「生き方」と云ってもよい――とは相容れないのではなかろうか。(文学とは畢竟おのれの美意識の表出である。)これまで水村氏は或る意味でハイブラウな人々、或いはハイブラウでありたいと願う人々の生態、彼らの美意識を描いてきた。それ故に、知的読者層の支持を得ていたのだと思う。そうした人々にとって、お金はあくまでも必要悪であって、出来れば見て見ぬふりをしていたいものである。ここまで細かくお金の計算をする主人公の姿は見たくなかった、と思う水村美苗ファンは多いのではあるまいか。 次は構成の面である。 『母の遺産』は余りに構成力に欠けるのである。これは新聞に週一回づつ連載されたと云う作品の成り立ちと関係があるのかもしれない。週に一回の連載小説では、一回ごとに或る程度の小クライマックスが欲しい、複数の登場人物も新聞読者に忘れられないように或る程度の間隔で名を出しておきたい、と云う気持が働くようだ。 母が死ぬまでの前半は、現在と過去との行き来が頻繁すぎて、印象が散漫になる。また、母の死後「美津紀」が箱根のホテルに逗留してからは、小説の雰囲気ががらっと変わる(そのことで小説の統一感が損なわれる)上に、新たに登場する人物が多過ぎ、加えて話題となる人物が次々と交代するので、一人一人の印象が薄い。水村氏はこの小説を「美津紀」がロマンスカーで箱根に旅立つところから始めるべきだった。箱根のホテルで登場してくる人物達をあらかじめ或る程度紹介しておき、そこから過去の回想へと戻るべきだったのではあるまいか。そうすればもう少しは小説に統一感を与えられたかもしれない。 兎に角、水村美苗氏は推敲に推敲を重ねた上で作品を発表すべき人であって、新聞小説には向かないのではなかろうか。(『続・明暗』『本格小説』の構成力を見よ。)氏のことだから、今回の失敗を繰り返すことはあるまい。多分二度と新聞に小説を発表することはなかろう。万が一発表する時でも、きっとあらかじめ書き上げた上で、さらに推敲を加えながら連載を進めて行くのではあるまいか。 最後に(これは水村氏の責任ではないのかもしれないが) この小説の連載の最後は4月2日、あの3.11大震災の直後である。水村氏はこの未曾有の災禍に物書きとして何らかのかたちで対応しないではいられなかった、そして締切りまでには深く考える時間は残されていなかった。だから、最後の章があのように如何にも取って付けたようなものとなってしまったのだろう。私は終章を読んだ後、谷崎が太平洋戦争の最中に『細雪』を書き続けていたことを考えずにはおられなかった。
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身につまされる
今、まさにこの本と同じ状況で親を看ている私にとって、すべてに身につまされる思いで読んだ。 但し私の場合は父と母の有り様が逆であった。8年前に反面教師であった父をこの本と同じ思いで看取り、そして今は最愛の母の最期を看ている。 私はまさに「父の遺産」であったが、娘にとって母との確執の方が遥かに苦しいことだろうと思う。 それだけでも私の方がこの作者より遥かに幸せだと思った。 親子関係というのはドラマのように決して麗しいものではない。 情は別として、理屈抜きで相性が良く無かったり、愛せない相手だったり、尊敬できない相手だったり、親子故に切り捨てることができず、苦しい日々を送る子供が沢山いるだろう。 それに増して、老いという醜さも加味されて、なおさら修羅の日々を送っている方々もそれこそ五万といるだろう。 有る意味、人間修行の一番の相手かもしれない。 そんな母と子の、赤裸裸な本音が随所に書かれてあり、「そう、私も本当にそう思った」「同じ言葉でそう思った」と共感する所ばかりだった。 そして今の老人終末医療のあり方、命ばかりを永らえさせ、質の悪い命を伸ばすだけの今の高度な医療のあり方も身につまされて感じている。 それでも、「親を送る」という子としての役目を終え、一つの時代が去って行く様も感じる。 その後に同じ様に「老い」が見えて来る中、親から残された心の遺産をどう抱いて生きていくかで、その人の是からの日々も決まってくるだろう・・・ この本の主人公は、何もかも終わった後に全てを許すことができた。それはすなわち、彼女が苦しみながらもベストを尽くしたからであろう・・・出来る限り親に尽くしたと思えるからだろう・・ だからこそ、新しい気持ちで是からを生きていく事ができるんだと思う。 今、まさに親を介護して修羅場を生きている子供達に読んでほしいと思う。 苦しいのは貴女だけじゃないのよ・・・私もそうなのよと思える本だ。 永遠に続く日々ではない、必ず重荷を降ろせる日が来る。だからもう少し、頑張ろうと思った。 最近読んだ本の中ではダントツに心に深く響く本で有った。良作だと思う。
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全編に漂うスノッブさ
全編に漂う下世話な空気はいったいどこからくるのだろう。 そういう意味ではとても考えさせられました。 とても嫌だったのは、お父上を病院に入院させたことを 「つっこむ」という言葉で何度もあらわされていることです。 たしかに「つっこむ」という状況だったのでしょうが それを表現するにはもっと違う言葉があったのではないでしょうか。
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自分の身に置き換えながら
二人姉妹の長女で、父が亡くなった後十三年間母の晩年を傍で見てきました。この小説が新聞で連載されていた時には、家族の愛憎が生々しく、重たく感じられ、好きではなかったのだけど、この3月に自分が母を亡くして、気持ちの整理をしたいと思った時に、もう一度ちゃんと読んでみたくなりました。 母の生き方を否定し、疎ましく思いながらも、最終的にその母から確かに受け継いだ美意識をもって自分の人生を建て直していく美津紀。母の遺産とは美津紀が自分の生き方を選び取っていく芯の部分だったのだと思います。小説は小説で、もちろん似ても似つかない自分たち姉妹と母ですが、母から私たち姉妹に遺されたものについて今考えています。
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急な終わり方
震災の影響でしょうか?急な終わり方だと思いました。 また、タイトルから勝手にメンタルな遺産をイメージしていたので、勝手にがっかりです。
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もっと早く読みたかった
家族の介護してて、見送りました。送る気持ちと送られる気持ち両方を知りたかった。 母と娘の生なぶつかり合いがリアルであるが、人間の気持ちは複雑で繊細 自分が介護されるまでに、子供を平等にかわいがり愛したいと思わせる作品 深く考えさせられるないようでした
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