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ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書 2410)

石橋湛山賞

ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書 2410)

水島治郎

『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か』は、欧米やラテンアメリカ、日本に広がるポピュリズムを比較政治の視点から読み解く中公新書である。反エリート、排外主義、既成政党への批判といった現象を一面的に断罪せず、民主主義との緊張関係と改革を促す側面の両方から考察する。

ポピュリズム民主主義比較政治反エリート主義欧米政治

作品情報

世界を揺さぶる政治現象を、民主主義の敵か希望かという二分法を越えて読み直す。

イギリスのEU離脱、反イスラムの政治運動、トランプ現象などを背景に、ポピュリズムを民主主義の危機としてだけでなく、既成政治を揺さぶる力としても検討する。中央公論新社公式で ISBN 9784121024107、256ページと確認でき、NDL でも図書資料として確認できる。Amazon JP では日本の紙書籍の原則に従い ISBN-10 と同一値を ASIN として補完した。

レビュー要約

  • 専門分野の枠を越えて世界的な政治現象を整理し、不安を生む現象の本質をわかりやすく分析した点が評価されている。時事的なテーマを扱いながら、歴史的背景と比較の視点を持つ入門書として読める。

書籍情報

出版社
中央公論新社
発売日
2016-12-19
ページ数
244ページ
言語
日本語
サイズ
11 x 1.2 x 17.4 cm
ISBN-13
9784121024107
ISBN-10
4121024109
価格
1034 JPY
カテゴリ
本/社会・政治/政治/政治入門

いま世界中でポピュリズムが猛威を振るっています。 「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義を蝕む悪しき存在と見なされがちなポピュリズム。しかし、ラテンアメリカでは少数のエリートによる支配から人民を解放する力となりました。 またヨーロッパでは、ポピュリズム政党の躍進が既成政党に緊張感を与え、その改革を促す効果も指摘されています。現代のポピュリズム政党は、リベラルな価値、民主主義のルールを前提としたうえで、既成政治を批判し、イスラム移民の排除を訴えており、ポピュリズムの理解は一筋縄ではいきません。 本書は各国のポピュリズム政党・政治家の姿を描き、「デモクラシーの影」ともいわれるその本質に迫ります。 ■書評掲載 ・読売新聞(朝刊)2026年3月11日 ・北海道新聞(朝刊)2026年3月1日

レビュー

  • 置き去りにされた人々への求心力

    ポピュリズムとはどういうものなのか知りたくて読みました。他の著者のこうした本(翻訳本でした)は批判する本と言う感じで自分のニーズに合わなかったのですが、こちらはもう少し中立的に「どういうものなのか」を分析している感じ(良いとは思っていない感じではありますが)。 ラテンアメリカ、米国、ヨーロッパなどそれぞれのポピュリズムの特徴が書かれています。 ヨーロッパの「国民投票」(ブリグジット)とか「移民排斥」(実際よりも人口比率など大袈裟に受け取られている)など読んでいると、今の日本の一部で言われている意見にそっくりだと思いました。 米国のそれもですが「置き去りにされた人々」を惹きつけるのですね。だからインテリ的・都会的な理屈で言っても通じない。 なお本書は2016年に書かれたもので、あとがきはトランプ大統領が当選した頃(第1期)に書かれています。 その後のことも読んでみたいなと思いました。

  • 世界的な視点で洗いだした秀作

    ポピュリズムを世界的な視点で洗いだした秀作で読む価値があります

  • 素晴らしい

    "ポピュリズムとはデモクラシーに内在する矛盾を端的に示すものではないか、ということである(中略)『リベラル』な価値、『デモクラシー』の原理を突きつめれば突きつめるほど、それは結果として、ポピュリズムを正統化することになるからである''2015年発刊の本書は現状を分析した良書。⁣ ⁣ 個人的には本書が2026年に初開催された『大学生が選ぶ中公新書大賞』の大賞に選ばれたことをきっかけに手に取りました。⁣ ⁣ さて、そんな本書は現代の欧州政治・ポピュリズム研究の第一人者として知られる著者により、2016年、イギリスの国民投票によるEU離脱、またアメリカ大統領選挙での予想外のトランプの当選下に発刊された一冊で。一般的には『大衆迎合主義』とも訳され、民主主義の脅威とも考えられているポピュリズムを正面から取り上げ、規制政党に改革を促しているヨーロッパ、そしてエリート支配から人民を解放する原動力となったラテンアメリカを主たる舞台として、ポピュリズムの成立背景、各国における展開や影響、その多面性について全7章で解説。上品なデモクラシーという『ディナー・パーティの泥酔客』のような存在であるポピュリズムが民主主義の『危機』なのか、それとも『安全弁』になりうるのかについて論じているのですが。⁣ ⁣ 発刊から10年が経過した2026年現在、まさかのトランプが2度目の当選を果たし世界に火種を拡大させ、日本国内にもヨーロッパと同じく移民問題を論点にしようとするポピュリズム政党が支持を受ける中、本書の内容はむしろタイムリーに響いた。⁣ ⁣ また、どうしても選挙においては意図された問題への短絡的な是非が問われてしまう事も多い中、本書のようにデモクラシー(民主主義)、そしてポピュリズムとは。といった本質的な視点は大切だな。とあらためて感じました。⁣ ⁣ ポピュリズムの功罪について、本質的、俯瞰的に考えたい方にオススメ。

  • ヨーロッパにおけるポピュリズムのスタイル

    ヨーロッパにおけるポピュリズムは、ラテンアメリカで起きた労働者や貧困層を基盤とし、社会改革や分配を求める志向のものとは、その端緒も含めて根本的に異なる。一方、米国のトランプ政権で現在注目されているポピュリズムとは共通するところは多いが、残念ながら本書はトランプの第一政権が発足したころに執筆を終えている。そこで、ここでは、ヨーロッパのポピュリズムに限定して、その始まりから典型的な動向の概要を述べる。 ヨーロッパでは、他の先進国同様、経済のグローバル化やEU統合によって、多国籍企業・IT企業・金融サービス業が発展し、グローバル都市に大企業や高所得者、専門能力を持った若い大卒者が集中した一方で、パートタイム労働や派遣労働などの不安定雇用者も増大し、地方では、肉体労働に従事し、所属していた労働組合は弱体化し、新しい枠組みから外れた所得水準の低い高齢の白人の層が形成された。彼らは、自己責任という名のもとに行政から顧みられることが少なく、失業の要因として移民や外国人に対しては否定的な感情を持っている。 一方、政府では、複雑な調整を経て閉鎖的に政策を決定する特権的な一握りの政治エリートが、公営企業や公共団体との関係を強化し、官僚機構の主要ポストを独占するようになった。加えて、彼らの地位は国内の小選挙区を基本とする選挙制度によって守られていた。 これに対して、広く国民にユーロ解体・EU批判などの主張を直接訴えるポピュリズム政党が生まれ、国民投票、住民投票や比例代表制選挙にもとづく欧州議会選挙などによって勢力を拡大した。 これらの政党は、もともと、カリスマ・リーダーのもと、反民主的、反ユダヤ主義的な極右の集団を起源としたものが多かったが、1980年代以降にはリベラル、デモクラシーに依拠する方向に転向し、それを援用することによって支持者を大幅に拡大した。 近年は、ポピュリズム政党の主張の傾向が、これまでの反グローバリズムから移民、難民の受け入れ反対へと変化してきた。 もともと移民・難民問題は、公然と反対することがタブー視されていて、政治エリートも明確な意見、抜本策を表明することを先送りしてきた。この状況に対して、ポピュリズム政党は、移民・難民による福祉の濫用を主張し、さらには、普段はこのようにタブー視され、かつセンシティブな問題に対して明確な意思を表示をしない国民層(サイレント・マジョリティ)からも、SNSなどのインターネットを利用して支持を獲得した。 さらに、この移民・難民批判は、その後イスラムへの批判として先鋭化し、その理由を単なる人種差別、民族差別ではなく、男女平等、政教分離、言論の自由といった西洋のデモクラシー上の基本的価値とイスラムの思想が相容れないものであるところに求めるようになった。 以上のようなポピュリズムの勃興は、既成政党に危機感を与え、改革を促すというプラスの側面も存在する。 というのも、先進国では、権力分立などのデモクラシーを守る仕掛けがそれなりに整っているため、仮にポピュリズム政党が急速に躍進しても、政局が独占されてしまうような事態に陥る可能性は小さいと認識されている。 また、危機感を抱いた複数の既成政党が対抗措置として協調することにより、政党間の主張の違いが逆に不明確になって有権者による選択肢が喪失することにより、ポピュリズム政党の支持がますます高まるような事態も発生している。

  • レポート用

    学校でのレポートにいるそうです。読んだ感想はまさに公共の授業そのものということでした。親としては本当に読んだのかすごく怪しいです、、が、この本でレポートを書いていたので読んでいたのでしょう。

  • 今蠢き始めたポピュリズムとはどういう現象か

    ポピュリズムは「大衆迎合主義」と訳されているが、「ポピュリズム現象」と言う方が適切の様な気がする。本書では近年、色んな国で起きているその現象を紹介しながら、ポピュリズムはどういう現象かを説明して行く。 特に「トランプ現象」と言われるポピュリズム現象は、どういうことなのだろうと思う人も多いのではと思う。 読んでいくと、共通する3角形の構造が見えてくるように感じた。 まず、一時栄えた地域の産業が「ラストベルト(さび付いた地帯)」と化し、そこで働いて中間層が職を失い没落して行き「置き去りにされた存在」「無視された存在」として喪失感と不満を感じる層。次にそういう状態をもたらした原因や犯人はだれか、そして、タブーなきハチャメチャだが何とか救い出してくれる救世主、と言う構図である。 そこでの意識は、「異質なもの、特に移民・難民、外国人、異教徒(特にイスラム)、生活保護」が、こういう事態にした原因であり、「福祉排外主義」へと向かう。奴らが仕事を奪ったのだ、財政を圧迫し俺らが損をしている、と言う様な横溢する感情が生まれ、それに応えるが如くに人物が現れ、移民・難民など異質・よそ者を追い出し、自分たちの利益を取り戻すんだという自国・自民族主義的に訴えるマッチョな人物の登場がマッチングする。 こういう現象が、グローバル化する世界で、産業構造が変化し、昔栄えた製造業は国外に出され、寂れて行ったのだが、そうは見ないで排外主義的になり、それらの人びとを攻撃し、排除して行くことに喝采を上げる現象となって現れる。他にもいろんな要素があるが、人はみじめな状態になると、強いものではなく、弱いものをいじめるという方向へ向かいやすい傾向は昔からそうである。 まさにそういう状態が大衆的に起き、それにうまくマッチする人物が現れると社会的現象として大きな力になって行く。極めていびつなのだが、そういう現象が生まれる。厄介な代物であるが、理性ではなく、感情の横溢なのだから歯止めが聞かない。

  • 看板に偽り

    表題に惹かれて読みました。欧米での、最近の、いわゆるポピュリズムという出来事を招来した風潮にいささか興味がありました。私は滞欧経験が永いこともありますので。 結論は、私の勝手な思い込みは期待はずれだった、です。表題からは、民主主義という政治哲学の本質との関わり合いを扱っているように読めますが、そうではありませんでした。ポピュリズムと呼ばれている様々なイベントの背後にある思想の政治学的な意味合いを論じているのではなく、メディアがそう呼んでいる運動の個々の様相をジャーナリスティックに解説し、それを寄せ集めているのでしたから。 例えば、最初に「ポピュリズム」の定義から始めていますが、それも全く恣意的です。学問的議論ではない、という批評がこれまでのレビューにありましたが、同感です。 もともと民主主義にはポピュリズム的要素が入っているので、それを取り上げている論考は、古くからいくらでもあります。それに新たな一石を投じようということなら、もっとずっと精密な分析と議論が必要でしょう。 フランスのルペン、アメリカのトランプなどに代表される直近の運動を取り上げて、その経過、背景などを述べているのが後半の大部分で、ここだけ読めば、それらの現象についてはそれなりの知見は得られるのでしょうから、そうした執筆の意図をはじめから掲げて置いてくれればもう少し印象が違ったかもしれません。もって、他山の石とせよ、というのでしたら、分からないでもありません。 他のレビュアーの方も、同じような印象をお持ちのようで、それをどう評価するかで、意見が分かれているのでしょう。 そこで、イージーゴーイングかとも思いましたが、ちょうど真ん中の評価といたします。

  • ポピュリズムの出現機序や獲得支持の論理を知る

    「イスラム排斥という一見、リベラルに反する動きに支持が集まっていく仕組み」、「右派も左派もエリート層の代弁者と見なされ、これと直交する第三極が勃興する仕組み」が説明されており参考になりました。スイスの女性参政権は1972年とは...恥ずかしながら知らなかった。詳しい読書メモは、のぞえまアカウント(X)にポストしています(全ての著書評価につき、一つでも学ぶ所があれば当該著書の評価が上がるよう感謝して高評価をつけております。言及していない他の箇所についての推奨意図はありません)。

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