作品情報
明智光秀の視点から、才知と風雅、野心と懊悩を描く歴史小説。
講談社から1964年に刊行された受賞作で、のちに中公文庫版が確認できる。中公文庫版の書誌では、明智光秀の流転の生涯と本能寺の変後の死までを描く作品として紹介されている。
書籍情報
- 出版社
- 中央公論新社
- 発売日
- 2012-03-23
- ページ数
- 220ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784122056084
- ISBN-10
- 412205608X
- 価格
- 55 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
咲庵とは、明智光秀の号である。光秀の視点からの信長像と、出自と本能寺の変後の死まで、流転の生涯を綴る傑作戦国時代小説。〈解説〉縄田一男
レビュー
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旧い三文小説
本書の解説に「文章が美事、重厚」とあり、歴史モノとしては佳い・・・と言われるのも解らないではないが、 ただこの「旧さ」と「クサさ」には強い違和感を感じる。ヘタな講談を聴いているようである。 純文学ではなし、大衆文学でもなし。 S39当時は其れでも良かったかも知れないが、中途半端この上ない。 また、本能寺の変の発生要因については著者自らが考証した訳ではなく、研究者の諸説を引き伸ばしているに過ぎない。 殊に「野望説」と「怨恨説」の相対する見解を「良いトコ取り」しているのはいただけない。
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地味だが秀作。
「たまには昔の歴史物でも読むか。」と購入。望外の掘り出し物でした。 咲庵とは明智光秀の号。この有名すぎる武将が故郷を逃げ、各地を流浪し、信長に拾われ、その主を本能寺で討ちはたす。そこに至るまでのこの文武両道に秀でた希有な人物の生涯が、淡々と描かれています。 「信長がこの月末、少数の手廻り衆ばかりで、上洛するという留守居の報告は、天の啓示となって光秀の脳裏に閃いた。兵法家にとっては、まさに絶好の機会、これをみすみす逸するようなことがあっては、少壮のころから磨いてきた、軍略家としての彼の腕が哭く。」 「光秀にとってもっとも大きな憾みとするところは、信長の勢力がますます増大して、彼が健在である限り、彼にとってかわる機会はなく、死ぬまで彼の権力下に、雌伏をつづけなかればならないことである。」 最近のライトノベルのような明るさ、華やかさはありません。戦国に生まれたものとしてのやむにやまれぬ欲求に運命をかける光秀の姿が重厚な筆致で描かれています。 筋や人物造型も良いですが、とにかく文章が見事。余計な会話はなく、円熟した重みのある文章で適確に光秀を生涯を綴っていますね。この重厚さは最近の歴史小説ではお目にかかれません。 作者中山義秀は1900年生まれ。毎月刊行中の「新潮文庫百年の名作」シリーズに載っている「厚物咲」で芥川賞を受賞した実力派。久しぶりによい国語を味わえました。
関連する文学賞
- 野間文芸賞 第17回(1964年) ・受賞