作品情報
『六本指のゴルトベルク』は、青柳いづみこの受賞歴を語るうえで重要な小説作品。
『六本指のゴルトベルク』は、青柳いづみこによる小説作品。人間関係を軸に、地方文学を重ねながら、受賞作としての個性を示している。 書誌識別子は図書として確認できる範囲で補完した。
書籍情報
- 出版社
- 中央公論新社
- 発売日
- 2012-08-23
- ページ数
- 279ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.7 x 1.3 x 15.1 cm
- ISBN-13
- 9784122056817
- ISBN-10
- 4122056810
- 価格
- 199 JPY
- カテゴリ
- 本/エンターテイメント
古今東西の音楽小説やミステリーに取り込まれた、クラシックの名曲。無類の読書家でもあるピアニストが、音楽と文学の魅力的な出会いを綴る。第25回講談社エッセイ賞受賞作。
レビュー
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面白い!
音楽と小説のリンクしている部分を流石よくわかっていると思う。やはり極めた人の意見は説得力あり。
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ミステリ、音楽好きの人には超お薦めです!!!
著者の青柳さんは、ピアニストで文筆家、私はクラシックの愛好家を自認していましたが、CDはおろか著作さえ読んだことがありませんでした・・情けない!本書は図書(岩波書店)に2006年7月号〜2008年11月号まで連載されたものに、書き下ろしシャープとフラットを加え30篇収録した(バッハのゴルトベルク変奏曲に合わせたのかな?)エッセイ集です。音楽を扱ったミステリ、純文学に関するエッセイ集でもあり、また、青柳さんの本業、音楽に関するエッセイ集でもあります。 先ず最初に出てくるのがレクター博士ですよ。確かにゴルトベルクの差し入れのシーンも、レクター博士(A・ホプキンス)がピアノを弾くシーンもあります。映画では指パクですが、実際はA・ホプキンスはピアノがかなり上手いらしいです。そして、次に出てくるのがなんと悪魔に食われろ青尾蝿、果てはA・マッケンのパンの大神まで出てくる始末・・かなりのミステリ通ですね、脱帽!! また、音楽に関するものもかなり面白い。私は音楽家に奇人、変人(例えば、M・アルゲリッチ、B・ミケランジェリ、G・グールド、・・)が多いのは天才だからかな(俗に天才と○○は紙一重というじゃないですか)と思っていましたが、そうではないようです。小さい時からミス1つ許されない世界で、張り詰めた緊張の中で育ってきたという環境が多分に影響しているようです。 しかも、クラシック畑では珍しくジャズにも理解があるようです。B・エヴァンス、S・ラファロ、ヘレン・キーンの事もさらっと書かれています。そして、カストラート、例の東京藝大のガダニーに事件の内幕、ベートヴェン、シューベルト、忘れていました、ドビュッシーについても面白く読ませてもらいました。本書はハード・カヴァー(岩波書店)から文庫化されて値段も手ごろになりました。ミステリ、音楽好きの人には超お薦めです!!
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音楽小説・ミステリの読み方教えます
と、本のオビにある。第49回日本エッセイストクラブ賞を受賞した実力を持つ著者が、『ジャン・クリストフ』や『海辺のカフカ』など東西の小説に登場する「音楽」を鋭い切り口でわかりやすく「解説」してくれる書。 私はドビュッシー研究家ということになっているが、実は作曲家ではベートーヴェンがダントツに好きである。なぜか? 彼ほど緊密に作曲した人はいないから。 ベートーヴェンの音楽のつくり方というのはあんこう鍋みたいなもので、まったく捨てるところがない。骨も皮もプリプリのゼラチン質も全部使いきってしまう。 モーツァルトやシューベルトに比べるとベートーヴェンは着想が豊かなほうではなかったと思うが、なけなしのモティーフを原型をとどめなくなるまで解体し、有機的に使いきる手腕はものすごいものがある。 ちなみに無駄使いの代表例はチャイコフスキーの『ピアノ協奏曲第一番』で、ピアノがジャーン、ジャーン、ジャーンと和音を鳴らしている間にオーケストラが奏でる「タララターンターンタ、ターンタタ……」というメロディなんて、たった一回しか使っていない。ドヴォルザークも同じで,「彼がゴミくず箱に捨てた旋律を拾えば、ふつうの作曲家ならいくつも交響曲が書けてしまう」と皮肉られている。ベートーヴェンの仕事部屋のくず箱には八分音符ひとつ残らないだろう。 というわけで、ベートーヴェンの音楽は弾くほうも緊張する。普通の作曲家は、「埋め草」といって、主要モティーフと和声のすき開を充填するためにわりとどうでもいい素材をもってきたりするものだが、ベートーヴェンの場合は「埋め草」ですら主要モティーフのなんらかの変形なので、まったく気がぬけないのである。 いつかテレビで、小さな箱をひとつひとつ山形に積み、どこまで高く積みあげられるかを競うゲームを見たことがある。山が高くなればなるほどほんの少しの振動でもくずれてしまうから、箱を載せる場所、バランスとタイミング、力のコントロールなどすべてに気を使う。 ベートーヴェンを弾いているときの気分がそれと同じである。すべての音に何らかの意味があり、ひとつでもおざなりにすると、それまで積み上げてきた大伽藍が崩壊してしまうような恐怖に襲われる。その恐怖がまた快感だったりするのだけれど。(P.167-8)
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著者が、文学作品に描かれた音楽作品と演奏家の「“ツボにはまった感”を、音楽人以外の方々にも是非味わっていただきたい」というエッセイ集。
青柳いづみこ(1950年~)氏は、東京芸大音楽学部卒、国立マルセイユ音楽院卒(首席卒業)、東京芸大大学院博士課程修了のピアニスト。安川加壽子、ピエール・バルビゼに師事。文化庁芸術祭賞受賞。大阪音楽大学教授。エッセイストとしても活躍し、『青柳瑞穂の生涯』で日本エッセイストクラブ賞(2001年)、『六本指のゴルトベルグ』で講談社エッセイ賞(2009年)を受賞。 私は、ノンフィクションやエッセイを好んで読み、今般、過去に評判になった本で未読のもの(各種のノンフィクション賞やエッセイ賞の受賞作を含む)を、新古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。 本書は、岩波書店の月刊PR誌「図書」(2006年7月号~2008年11月号)に連載された、古今東西の純文学やミステリーの中から、音楽や音楽家を扱った作品を取り上げ、音楽との関わりを主軸に読み解いたエッセイ29篇(+1篇)をまとめて、全体を加筆したもので、2009年に出版、2012年に文庫化された。 本書で取り上げられた文学作品は、トマス・ハリス『羊たちの沈黙』、村上春樹『海辺のカフカ』、ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』、アンドレ・ジッド『田園交響楽』、ジョン・フランクリン・バーディン『悪魔に食われろ青尾蠅』、永井するみ『大いなる聴衆』、中山可穂『ケッヘル』、S・J・ローザン『ピアノ・ソナタ』、アンジェラ・カーター『血染めの部屋』等であるが、ノンフィクション中心の読書をする私としては、登場する文学作品をほとんど知らず、また、音楽もポピュラー音楽以外は殆ど聞かないため、出てくるクラシック音楽がわからず、残念ながら、最初の5篇を読んだところで、ページをめくる手が止まってしまった。 裏を返せば、著者は、あと書きで、「描かれる音楽作品も演奏家も真に迫っていて、音楽畑の人間が読んでも違和感がないどころか、かえって自分たちの世界の問題を再認識され(ママ)、教えられることが多々である。せっかくこれだけ的確にとらえているのだから、その“ツボにはまった感”を、音楽人以外の方々にも是非味わっていただきたいと思ったのである。」と書いているくらいなので、登場する作品を知っている向きには、さぞかし味わい深いエッセイなのだろうとは思う。 (2022年12月)
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現実を大事にしよう。
とても興味深いコンセプトの本です。 ただし、この本は全く私の好みではありませんでした。 古今東西の演奏家の出てくる文学に対して、いろいろな考察をしていく わけですが、虚構の世界に対する突っ込みというのは、どうも "絵に描いた餅の湯気を匂う" ような感じです。それなら、実際の演奏家に会ったインタビュー集や演奏家の残した 日用品をめぐる考察の方がよほど良い。 筆者は現実と虚構の境界線がわからなくなっているのか? とさえ思いました。 できることなら、音楽家の出てくる書籍の紹介本として徹するか、或いは 話のきっかけは本の内容でも良いが、そこからエッセイをとことん膨らまして欲しい。 文章も書いている本人はつながっているのかもしれませんが、流れから飛躍する 部分が少なからずありました。 同じコンセプトで、もっと良い内容にできると思います。
関連する文学賞
- 講談社エッセイ賞 第25回(2009年) ・受賞