神楽坂ホン書き旅館
新聞記者である著者が、自身のがん体験と医療現場への視線を重ねたノンフィクション。患者としての不安、家族や医師との関係、病と共に生きる時間を、率直な言葉で描く。
作品情報
患者としてがんに向き合う時間が、医療と家族と生き方を見つめ直す言葉になる。
『がんと向き合って』は、上野創の体験的ノンフィクション。記者としての観察と患者としての身体感覚を重ね、がんをめぐる不安、治療、家族との時間を丁寧に記す。
レビュー要約
-
当事者の視点が率直で、病気を特別な出来事としてだけでなく日々の生活の中で捉えるところに説得力がある。医療への問いも、個人の体験から自然に立ち上がる。
書籍情報
- 出版社
- NHK出版
- 発売日
- 2002-05-01
- ページ数
- 298ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784140806944
- ISBN-10
- 414080694X
- 価格
- 2600 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 神楽坂ホン書き旅館 : 黒川 鍾信: 本
レビュー
-
爽やかに仕上がっているが、物足りぬ
神楽坂の一角にひっそり佇む小さな旅館「和可菜」。いつしか映画やテレビに脚本を書く人々(ホン書き)の仕事場となり幾多の作品が生まれていく。かっては映画会社や出版社も一流作家向けに伊豆や箱根の高級温泉宿を手配していたがもっと管理のきく都内の仕事場を、ということで重宝がられ旅館は繁盛する。やがて和可菜でホンを書くことが一流作家の証しとなっていく。 本書は、これらの人々を裏で支えたおかみさん・お手伝いさんの話を聞き書きしたもの。 本の帯には、山田洋次や野坂昭如がことばを寄せ、エッセイスト・クラブ賞受賞作でもあるので期待して読んだが、同じ著者による木暮実千代の伝記が持つ充実感・迫力に比べればはなはだ物足りない。数多くの有名監督と脚本家が登場するがそれぞれのエピソードも底が浅く大したものではない。 滞在客をそっとしておき、細やかなサービスをすることで評判を得てきた旅館従業者の記憶からそれほどドラマティックな物語を期待することはできない。結局は当たり障りのない微笑ましいが美談めいた小話で終わらざるを得ない。 著者は叔母に木暮実千代をもち、若い頃から映画界に憧れ、脚本の勉強までしたが斜陽を迎えた映画の世界では職を得ることができなかった。その見果てぬ夢を追い求め木暮の妹が経営する和可菜に足繁く通っては滞在客が書き損じた原稿用紙の紙くずを飽かずにみつめたりした。 しかし映画や脚本の世界に直接関係せぬ一般読者向けにはそれなりの読むに値する興味深いストーリーがなくてはならない。著者の筆力は疑わぬが、旅館関係者からの聞き書きということが限界となっている。まあ有名人がいろいろ登場するし、ホン書きの世界を垣間見たい方が、多くを期待せず読めばそれなりに楽しめるエッセイといえる。
-
期待以上だった
日焼けもあり、かすれもあったが、値段を考えればとてもよかった。
-
脚本家たちの興味深い裏話
いわゆるカンヅメになって脚本家たちが仕事をするホン書き旅館。和可菜は、業界でも有名な旅館ですが、これを読んだら、神楽坂に行きたくなりました。感動的な本です。
-
女将さん、喋りすぎ!
映画史の視点から見ると興味深い話ばかりなのだが、紹介されている多くが故人とは言え、お客さんのプライバシーをペラペラ話すプロ意識ゼロの女将のいる旅館なんぞ、自分は恐ろしくて泊まれないなぁ(笑)。 まぁこの女将は旅館等できっちり修業したわけじゃなく、たまたま有名女優の妹という素人ながら特別な立場の人であったという事と、かつ経営努力しなくても著名人がどんどん泊まりに来る一見さんお断りの特殊な宿である事などを鑑みれば、一応この和可菜という旅館は看板こそ掲げていたが、あくまでも映画・芸能・作家関係者の仕事場&寝床を提供していた民家に過ぎず、一般的な旅館ではないと無理やりに解釈すれば、著名人のお客さんのプライバシーを多少暴露をしても仕方無いのかも(笑)。