世界の涯ての夏 (ハヤカワ文庫 JA ツ 4-1)
地球を侵食しながら巨大化する異次元存在〈涯て〉が現れた近未来を舞台に、離島で出会った少年と少女、終末世界で生きる3Dデザイナー、そして〈涯て〉と向き合う人々の視点が交差する。記憶と時間を軸に、世界の終わりとその先を描くSF長編。
作品情報
異次元存在〈涯て〉が世界を侵食する、夏の終末SF。
第3回ハヤカワSFコンテスト佳作受賞作で、現役ゲームデザイナーによる初小説。地球を浸食しながら巨大化する異次元存在〈涯て〉が出現した近未来を背景に、疎開先の離島で暮らす少年、転入生の少女ミウ、終末世界の3Dデザイナー・ノイらの視点が重なっていく。ゆるやかに世界が崩れていく過程を、夏の記憶と時間感覚の変化とともに描く。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2015-11-19
- ページ数
- 241ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.6 x 1 x 15.7 cm
- ISBN-13
- 9784150312121
- ISBN-10
- 4150312125
- 価格
- 726 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
地球を浸食しながら巨大化する異次元存在〈涯て〉が出現した近未来。 ある夏の日、疎開先の離島で暮らす少年は、転入生の少女ミウと出会う。 ゆるやかな絶望を前に、ふたりは様々な出来事を通して思い出を増やしていく。 一方、終末世界で自分に価値を見いだせない3Dデザイナーのノイは、 出自不明の3Dモデルを発見する。 その来歴は〈涯て〉と地球の「時間」に深く関係していた―― 第3回ハヤカワSFコンテスト佳作を受賞した、現役ゲームデザイナーによる初小説
1969年、大阪府大阪市出身、兵庫県在住。関西大学卒業後、現在ゲームデザイナー。 RPGタイトルのシナリオなどを担当。『世界の涯ての夏』で第3回ハヤカワSFコンテスト佳作を受賞。
レビュー
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読みやすい(^^)
正体不明の<涯て>の出現により「世界」が新たに知るべきこととは。 少しだけ未来の設定で読み手として入りこみやすく、各登場人物に割り当てられた役割にムダがなくて非常に読みやすい。 新出の事柄に対する説明が丁寧に具象化してあるのも読みやすさを助けている。 (その分、作者の想像力を超えた想像をしづらい面も…) かたちのない「時」や「記憶」に対する概念を、今までと違う切り口で解釈している作者の発想が面白い。 ただ、中盤から徐々に上がっていくスピード感と緊張感に比べ、<涯て>に対する答えの間延び感が私にはちょっと残念。 丁寧な文章ゆえの弊害かな。(作者の意図ならごめんなさい) ジャケットの絵ような少年少女時代の描写も生き生きとしてるので SFアレルギーの人でも楽しめると思います。 総じて評価するなら「読みやすくおもしろい」 私にとって今年一番の読書ができました(まだ一ヶ月ほど残ってますが(笑))
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静かでゆっくりとした「世界の終末」の物語。
地球上に、巨大な球形の黒い空間、「涯て」が出現し、ゆっくりと拡大しつつある近未来。 人類は、人々の脳の処理能力を借りて「涯て」の挙動を予測し、その拡大を遅らせる「祈素ネットワーク」を構築。 じわじわと迫り来る終末をかすかに意識しつつも、それぞれの日常を送っていた…的な話。 「涯て」が一体何であるのか、といったことは最後まで明確にされませんが、少女ミウと「配信者」タキタの物語には終盤唸らされました。 そう話が繋がるとは……。 これはバッドエンドなのか? あるいはハッピーエンドなのか? どちらとも明言しがたいですが、しかし読後感はさわやかな名作でした。
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長門だな
正体不明の涯てが現れ、それによって世界が惑星状の球体が欠けていく現象に見舞われた話。 「涼宮ハルヒの憂鬱」の系統にあると思う。ハルヒの長門有紀は、今ではレムの「ソラリス」の忠実な継承者として認識されているけど、長門をヒロインにもってきた話を作ってもいいかもしれない。そんな話。 「涯て」が何かについては明確な説明はある。
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大人になるほど染み込む
いつか世界を終わりにしていく「涯て」 その「涯て」にを壊すわけでも無く、ただ淡々と終わりを受け止めて行く。 SF小説なんだけど世界を大きく変える事も無く。 戦いなども無く。 静かに時が流れて行く。 見終わった時には切なさ、哀愁、清々しさ様々なものが溢れてきます。 筆者がゲームデザイナーなので優しいゲームのストーリとして見ても楽しめると思います。
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SF好きじゃない人の意見その1だと思って下さい
面白いかつまらないかでいけば、とてもつまらない。 ただし、作品自体の出来が良いのか悪いのかでいけば、とても良いのだと思う。 要するに個人的には『つまらないけれど良作である』という判断になる。 書かれてあることはわかりやすいけど盛り上がらない。 丁寧だけど拍子抜けする。 脳が過去の映像を作り変えている部分に関しては少しだけ驚いたが、他には特別惹かれる要素がない。 もしかしたらこれこそSF好きの人には評価が高く、そうじゃない人には評価が低くなる典型的な作風なのではないだろうか。
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情景が湧いてくる
田舎暮らしや離島なども全く行ったことがないのに 懐かしい,郷愁といった気持ちが何故か湧いてきます。 読み終わった後,部屋に閉じこもって本読んでいた自分について考えさせられました。 思い出せるような思い出を作っていきたい,そんな一冊です。
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あの見たことのない懐かしい夏の風景
小さい頃から世界の終わりを考えて震えていた大きな子どもたちのためのジュブナイル。 世界が終わるその「涯て」を眺めながら、おっさんになった今ならわかるリアルに淡々と流れていく世界の描写を、場面転換に合わせてむず痒くなったり、あるあると思ったりしながらあっという間に読み終えてしまった。 終末の世界観というと地球の長い午後みたいな、ロストテクノロジーの世界とかを思い起こすが、こちらは今の延長線上でしかもそう遠くない未来のどこかで、まだ生きている間にお目にかかれそうなお終いの始まり。そして今もし自分がこの世界にいれば同じように過ごしていくんじゃないかなと変に共感してしまう、疲れた脱サラのお兄さんに乾杯。
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人類の未来のひとつを、秀逸な発想で語る
空が曇り、雨が降り出すような、静かで自然な現象として、 人類の飛躍や世界の終焉が語られています。 スペースオペラのような血沸き肉躍る展開は無く アンチ・ユートピア的な文明批判もなく、 淡々と静かにストーリーが進展し、 気が付けば想定もしなかった結末に突如として放りこまれました。 とても斬新で鮮烈なストーリーです。 一生忘れらないSFになるような気がします。 この1冊の中に、人類の将来形、世界の終焉、人類や人類以外の存歳の意識と自我、時間の流れ方に関する斬新な発想が盛り込まれています。 ぜひ読んで見てください。