作品情報
宇宙の辺境で、太陽風と未知の遺跡が人間の想像力を試す。
『太陽風交点』は、1979年に早川書房から刊行された堀晃の第一短編集。表題作は〈遺跡調査員〉シリーズの起点ともされ、宇宙の辺境での遭遇を通して、科学的認識と詩的な驚異を重ねる。収録作には「イカルスの翼」「時間礁」「暗黒星団」「迷宮の風」「最後の接触」「電送都市」「骨折星雲」「遺跡の声」「悪魔のホットライン」などがあり、理系SFの緻密さと日本語の静かな余韻が同居している。
レビュー要約
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科学的な題材を硬質な詩情に結びつける作風が評価されている。派手な事件よりも、未知の現象を前にした観測と推論の過程に魅力を感じる読者に強く届く作品と受け止められている。
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表題作から続く遺跡調査員の世界は、後年の作品群へ広がる核として位置づけられている。巨大な宇宙的対象と人間の小ささを同時に描く点が、堀晃作品らしい読み味を生んでいる。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 1979-10-01
- ページ数
- 317ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784152031662
- ISBN-10
- 4152031662
- 価格
- 871 JPY
Amazon.co.jp: 太陽風交点 : 堀晃: 本
レビュー
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日本の現代ハードSFの代表作
この本、初版は1981年ですが、今でも色あせていません。 短編集なので色々なアイディアが楽しめます。第一回日本SF大賞受賞もうなずける粒ぞろいの作品集です。 「電送都市」はイーガンの『順列都市』を先取りしたかのような作品。表題作は光瀬龍を彷彿とさせる抒情的なストーリー。時間的にも空間的にも壮大なスケールの「骨折星雲」、冷凍睡眠中の知的生命体を管理することを任された巨大なA.I.が、主人公の相棒である結晶状知的生命体と精神融合して進化、自らの創造主を静かに滅亡させる「遺跡の声」・・・。アイディア的にも文学的にも近年の英語圏ハードSFに比肩するレヴェルです。
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SFらしいSF
SFの原点は短編ですね。つくづくそう思います。面白い。あすすめ。
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ハードSF短編集
ほかのハードSFがどういうものか知らないが、未来の宇宙を舞台とした短編集で面白かった。だが解説(単行本)で小松左京が、いずれも長編にすべき題材だ、と書いているのを見て、ああそれがいけないと思った。短編だからいいので、長編ではだれてしまって退屈になると思う。世間には短編ならいいのに経済的理由で長編にしてだれ作品にしている例が多い。
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このような何かしら茫漠としているが、私にも理解できそうなハードSFを読みたかった
残念ながら本書は何処の本屋を探してもない。徳間に連絡をしても再刊の予定はないとの返事。 つてで、何とか現物を探しあてた。本書は前々から読みたかったのだが、何時行っても、本屋には必ずあると思っていたのだ。何と言っても第一回日本SF大賞受賞作品なので、絶版になっているわけはないと思っていた。 ただ本書はネットで調べたら判るが、曰く付の作品で、大手出版社を巻き込む社会的事件にまで発展していたのだ。そのへんの魑魅魍魎の世界は興味の対象ではないのでここでは省く。 ――「今、われわれは地球から二十万年光年移動しました。前方に見えるマゼラン星雲は地球で観測されていたマゼラン星雲ではなく、その二十万年経過した後の姿なのです。後方の銀河系はわれわれが出発した銀河系ではなく、二十万年昔の姿なのです。 この原則は、跳躍(ワープ)距離をどれだけ伸ばしても同じことです。宇宙の地平線―― 百億光年彼方まで跳んだとしても、変り映えのしない宇宙の風景があるだけでしょう。宇宙の果てには、準星(クエーサー)が観測され、さらにその向こうに絶対温度三度の黒体輻射の壁が観測されています。 それは百億光年過去の姿を観測しているだけで、われわれはワープ航法でそこにたどり着いた時、そこにあるのは百億年後の宇宙、つまりここと同じ年齢の宇宙空間があるだけです。そこから銀河系をふりかえるとすれば何が見えると思います? 準星(クエーサー)があり、黒体輻射の熱の壁があります。 われわれの視覚では、どこへ行っても、宇宙の誕生――大爆発(ビッグバン)――から百億年経った宇宙を眺めるだけのことです」(「時間礁」より) このような何かしら茫漠としているが、私にも理解できそうなハードSFを読みたかった。とはいえ、物理、科学、数学に弱い私にとって、短編集でこれでもかこれでもかと連続して読まされると、さすがに食傷気味になり、暫くSFは遠慮しよう。
関連する文学賞
- 日本SF大賞 第1回(1980年) ・受賞