作品情報
正義とは何か。身近な争点から、私たちの判断の根拠を問い直す。
ハーバード大学の講義で知られるサンデルが、現代人の判断を揺さぶる事例を通じて政治哲学の基本問題を解説する。市場、徴兵、税、権利、共同体といった論点を取り上げ、正義を単なる制度の問題ではなく、私たちの生き方の問題として提示する。早川書房の日本語版単行本として刊行確認できる。
レビュー要約
-
哲学の議論を身近な社会問題に引き寄せて読める点が支持されている。結論を急がず、読者に考える余地を残す講義調の構成を読みやすいと感じる声が多い。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2010-05-22
- ページ数
- 384ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.46 x 2.54 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784152091314
- ISBN-10
- 9784152091314
- 価格
- 1467 JPY
- カテゴリ
- 本/人文・思想/哲学・思想
『ハーバード白熱教室』NHK教育テレビにて放送中(2010年4月4日~6月20日、毎週日曜18:00~19:00、全12回)! ハーバード大学史上最多の履修生数をほこる超人気哲学講義、待望の書籍化! 推薦:宮台真司氏 1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか? 金持ちに高い税金を課し、貧しい人びとに再分配するのは公正なことだろうか? 前の世代が犯した過ちについて、私たちに償いの義務はあるのだろうか――。 つまるところこれらは、「正義」をめぐる哲学の問題なのだ。社会に生きるうえで私たちが直面する、正解のない、にもかかわらず決断をせまられる問題である。 哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。 アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。 ハーバード大学史上空前の履修者数を記録しつづける、超人気講義「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラー"Justice: What's the Right Thing to Do?"、待望の邦訳。
マイケル・サンデル Michael J. Sandel 1953年生まれ。ハーバード大学教授。ブランダイス大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号取得。専門は政治哲学。2002年から2005年にかけて大統領生命倫理評議会委員。 1980年代のリベラル=コミュニタリアン論争で脚光を浴びて以来、コミュニタリアニズムの代表的論者として知られる。主要著作に『リベラリズムと正義の限界』、"Democracy's Discontent"、"Public Philosophy"など。 類まれなる講義の名手としても著名で、中でもハーバード大学の学部科目「Justice(正義)」は、延べ14,000人を超す履修者数を記録。あまりの人気ぶりに、同大は建学以来初めて講義を一般公開することを決定、その模様はPBSで放送された。この番組は日本では2010年、NHK教育テレビで『ハーバード白熱教室』(全12回)として放送されている。
レビュー
-
“正しさ”の奥にある人間の葛藤を問う――世界的ベストセラー哲学講義
【構成】 全体は、ハーバード大学での実際の講義をもとにした12章構成。序盤は功利主義・自由主義・義務論といった哲学の基本理論を解説し、中盤以降でそれらを現代社会の問題(格差、戦争、医療、死刑制度など)に適用して考察していきます。理論→実例→問いかけ、という流れが徹底されており、読者が思考に参加できる構成です。 【内容の実用性】 サンデル教授の最大の魅力は、“哲学を現実に引き戻す力”。抽象的な理論を、臓器移植の優先順位や徴兵制など具体的なテーマで検討し、読者に「自分ならどう考えるか?」を問い続けます。単なる教養書ではなく、価値観を揺さぶる一冊。政治・ビジネス・教育、どの分野でも通用する“考える筋力”が鍛えられます。 【文体】 訳文は非常に滑らかで、難解な議論も自然に理解できるよう工夫されています。著者の語り口が穏やかで、対話形式のような臨場感があります。堅い哲学書というより、知的なドキュメンタリーを読むような感覚です。 【実例】 救命ボートの定員超過、国家予算の配分、富の再分配、同性愛と結婚制度――どのテーマも「誰もが意見を持たざるを得ない現実的問題」。理論の実験場としての事例選びが秀逸で、読者が思考を止められなくなります。 【良かった点】 “正義”を一つの答えとしてではなく、“対立する価値の間で揺れながら考えること”として描いている点が素晴らしいです。どの立場にも一理あり、どの主張にも限界があるという誠実な姿勢。読むほどに、「自分の正義は誰のためのものか?」と静かに問われます。 【気になった点】 哲学の基礎知識が全くない読者には、序盤の理論解説(特にカントやロールズの章)はやや難解に感じるかもしれません。ただし一度流れをつかめば、後半の社会問題編は圧倒的に面白く、読み応えがあります。 【総合評価】 「正義とは何か」「善い生き方とは何か」という古典的な問いを、現代の現実に引き寄せて考えさせてくれる名著です。AIや格差社会、倫理の揺らぐ今こそ読む価値があります。読後には、意見を持つことの責任と、他者を理解しようとする勇気が少し育っているはずです。
-
よい
やまとが読んでて買った
-
お好きな方には良いのでは
必要であれば、お好きな方はどうぞ。
-
思考の解像度を一段階引き上げる重要な一冊
多くの人は、「正しいこと」は一つだと思っています。 しかし本書は、具体的な現実の事例を使いながら、その考えが幻想であることを証明していきます。 [ハリケーン時の値上げは悪なのか?] 例えば本書の冒頭では、ハリケーン後に水や宿泊費の価格が高騰した事例が紹介されます。 ある人は「困っている人につけ込む不道徳な行為」と非難し、 別の人は「価格が上がることで供給が増え、結果的に多くの人が救われる」と擁護します。 つまり、 幸福を最大化するなら → 値上げは正しい 弱者を守るべきなら → 値上げは間違っている 正義は立場によって変わるのです。 [この本の本質] 本書は、すべての正義論が次の3つに分類できることを示します。 ・幸福の最大化(功利主義) ・自由の尊重(自由主義) ・美徳・ふさわしさ(徳倫理) 重要なのは、どれを採用するかで結論が180度変わることです。 [本の真価] 「正しい答え」を教えることではありません。 代わりに、 ・なぜ人は意見が対立するのか ・なぜ同じ事実でも結論が変わるのか ・なぜ成功や報酬の正当性が揺らぐのか これらを論理的に理解できるようになります。 単なる哲学書ではなく、ビジネス、政治、経済、人生のすべての判断の土台になる思考法の本です。 [読むべき人] 成功と報酬の正当性を考えたい人 ビジネスの意思決定をする人 社会の構造を理解したい人 感情ではなく論理で考えたい人 この本を読むと、「正義とは何か?」ではなく「なぜ自分はそれを正義だと思ったのか?」を考えるようになります。 それこそが、この本の最大の価値かと思います。
-
べき論者への処方箋
自分の正義や価値観押し付けマンに押し返したい一冊。国境監視に精を出すトラックドライバーのエピソードが印象的だった。
-
正義とは何かを考えさせる本
プーチンにはプーチンの「正義」があり、ウクライナにはウクライナの「正義」がある。 自分の考える正義が、本当に正義なのだろうか。そんな疑問から、本書を購入した。 が、結局のところ、正解は自分で悩むしか無い。
-
哲学を茶の間に連れ出す一冊
大学の講義でマイケル・サンデル教授の動画を見て以来、いつか読もうと思っていた本です。実際に手に取ると、抽象的な“正義”の議論が、チョコレートバーの値段や臓器移植の順番といった日常的なテーマに置き換えられ、驚くほど身近に感じられました。特に「リバタリアン vs. 功利主義」の章では、同僚との雑談が思わず白熱するほど刺激を受け、職場の視点で正義を問い直すきっかけになりました。 訳文もこなれていて読みやすい一方、原著のアメリカ的な法制度の話が続く場面では、慣れない法律用語に少し立ち止まることも。そのぶん巻末の訳者解説や注釈が助け舟となり、理解を補完してくれます。ページ数はありますが、各章ごとのエピソードがテレビ番組の1話のように完結しているので、忙しい社会人でもスキマ時間で読み進められるのがありがたいです。 哲学書にありがちな難解さを取り払い、「自分ならどうする?」をとことん考えさせる構成は、学生はもちろん、ビジネスの現場で意思決定に関わる人にも大いに刺さるはず。読後には、正解のない問いと向き合う勇気と、相手の価値観を尊重しながら議論を深める視点が得られました。――「正義」を学ぶことは、結局「より良い対話」の練習なのだと腑に落ちる一冊です。
-
面白かった
面白かったと言っておく
-
great book. Good
Fast shipping, great book.Good Translation
関連する文学賞
- 大学読書人大賞 第4回(2011年) ・5位