華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
大規模な海面上昇後の地球を舞台に、海上民と陸上民の対立、外交、生命科学の倫理を描く長編SF。環境の激変に適応した人類の未来を、政治劇と冒険の緊張で描き出す。
作品情報
海に覆われた未来の地球で、人類のかたちと共存の条件が問われる。
地球環境の変容によって社会の構造まで変わった未来を、壮大な世界設定で描く。種としての人間、身体の変化、共同体の境界が絡み合い、冒険小説としての推進力と社会SFの思考が重なる。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2010-10-22
- ページ数
- 592ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 12.2 x 3 x 18.9 cm
- ISBN-13
- 9784152091635
- ISBN-10
- 4152091630
- 価格
- 2200 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
陸地の大半が水没した25世紀、人工都市に住む陸上民の国家連合と遺伝子改変で海に適応した海上民との確執の最中、この星は再度人類に過酷な試練を与える。黙示録的海洋SF巨篇! ホットプルームの活性化による海底隆起で、多くの陸地が水没した25世紀。未曾有の危機と混乱を乗り越えた人類は、再び繁栄を謳歌していた。陸上民は残された土地と海上都市で高度な情報社会を維持し、海上民は海洋域で〈魚舟〉と呼ばれる生物船を駆り生活する。 陸の国家連合と海上社会との確執が次第に深まる中、日本政府の外交官・青澄誠司は、アジア海域での政府と海上民との対立を解消すべく、海上民の女性長(オサ)・ツキソメと会談する。両者はお互いの立場を理解し合うが、政府官僚同士の諍いや各国家連合の思惑が、障壁となってふたりの前に立ち塞がる。 同じ頃、IERA〈国際環境研究連合〉はこの星が再度人類に与える過酷な試練の予兆を掴み、極秘計画を発案した――。 最新の地球惑星科学をベースに、地球と人類の運命を真正面から描く、黙示録的海洋SF巨篇。
レビュー
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魚舟の甲版から惹きこまれ、オーシャン・クロニクルシリーズへ。
「魚舟・獣舟」の表題作の短編だけ読んで、そのままこの長編へ。短編の出だしの魚舟の甲版が頭に浮かんだ時点で、もうこの世界観に惹きこまれていました。初のオーシャン・クロニクルシリーズですが、海洋で生き延びるために人と魚が対になってるという設定がおもしろいなあと。ベタなエンターテイメントでなく、女流作家らしく作品に品があります。上巻の中盤くらいからおもしろくなってきます。すでに地上は沈んでいるのに、さらにここから日本沈没的な要素も出てきて、下巻が楽しみになってきました。
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長編です
この世界観が好きな人は大満足と思います。
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衝撃的
すごかったです。 SF小説は好きなので、よかったです。 表紙もきれいでした。
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ヒューマンドラマ
温暖化が進んだ極限の地球で暮らす、もはや人間とは言いがたいほど人為的に改造された人類の物語。 ただ、SFだと思って読むと失望するかも。 SFの舞台を借りた、ポリティカルな面を色濃く持つ人間ドラマです。
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スケールが大きい
久々にスケールの大きなSFに出会いました。今の世界から派生した独特な世界が面白いです。
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こんなに面白い作品なのにマイナーすぎる
久しぶりに心から「面白い!」と思える作品に出会えました。 この作者の本は初めて、どころか作者の名前すら存じ上げませんでした。 面白いSFが読みたいと思い、本屋さんで何気なく手に取り、なんとなく面白そうかなーぐらいの感じで購入しました。 ジャンルとしてはファンタジー色のあるSFという感じでしょうか。 小難しい単語がずらずらと並ぶガチガチのSFではなく、世界観はファンタジーっぽいというか、普段あまりSFを読まない人でもファンタジーが好きな人なら意外と読みやすいかと思います。 上巻の始めは専門用語が多いですが、読み進めていくと、人間味溢れる魅力的なキャラたちにあっという間に惹きこまれます。 この作品を読む醍醐味は作り込まれた世界観、そして人間という生物がいかに力強く、人間臭く足掻いて生きているか、という点です。 海洋物としてスケールが大きく、でも主人公を中心とした人物たちに焦点を当てることで、感情移入もしやすい。 文章も癖がないので読みやすいです。 コメディー要素はなく、どちらかというと全編を通してシリアスですね。真摯でひたむきなSFです。 これほど面白いのにどうしてこんなにマイナーなんでしょう。SFを読む人が少ないからでしょうかね。 好みが合う人であれば、「やった、面白い作品に出会えた!」の感覚をお約束します(笑)
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良いSF
内容の重さ、フィールドの広さ、登場人物の多さ、バランスが良くて楽しい作品です。
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ストーリーの骨子が官僚たちのネゴシエーションという珍しい作品
第32回日本SF大賞受賞作。近未来を舞台とした海洋SFを謳っているが ストーリーの骨子は、官僚たちのネゴシエーションという珍しい作品。 もちろんSF的設定や世界観、仮想生物たちの生き生きとした姿は それはそれで素晴らしく、脳内にリアルに立ち上がってくる。 しかし、最初から最後まで物語を引っ張っていくのは、 組織の末端で所属組織の論理や面子に縛られながらも、 自らの倫理にも誠実であらんとする官僚たちの姿勢である。 少年少女たちは、いつでも革命家のように潔く、 キャッチーでピュアな世直しに惹かれてしまうものだ。 しかし何時の世にもきちんとした次の世を作っていくのは 一見つまらなく、歯がゆい大人たちの、膨大な事務量に裏付けされた ネゴシエーションの積み上げなのである。 旧勢力との闘争と、早急な世直しとそのカタルシスで、 社会を語ってしまう愚に対し、本作は一見つまらない ネゴシエーションの場面を粛々と積み上げていくことにより、 リアリティある人間社会の描写に成功している。 それが本作を重みあるものにしていると信じている。
関連する文学賞
- センス・オブ・ジェンダー賞 第10回(2010年) ・大賞
- 日本SF大賞 第32回(2011年) ・受賞