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ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

日本SF大賞

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

宮内悠介

『ヨハネスブルグの天使たち』は、2013年の受賞作として記録される作品です。作品名と著者情報を基点に、受賞歴、刊行形態、公開書誌を照合し、受賞対象そのものに結びつく範囲で整理しました。

受賞作書誌確認文学賞

作品情報

受賞作『ヨハネスブルグの天使たち』の書誌と作品情報を、掲載誌 ID を混入させずに整理しました。

Amazon JP/NDL/出版社系の公開書誌で紙書籍の ISBN を照合し、978 系 ISBN-13 から ISBN-10 を換算しました。日本の紙書籍として ASIN は ISBN-10 と同値で補完しています。 あらすじ・評価情報は受賞作単位で扱い、書誌識別子は単行本、文庫、短編集、または長編として確認できるものだけを採用しています。

書籍情報

出版社
早川書房
発売日
2013-05-24
ページ数
264ページ
言語
日本語
サイズ
12.1 x 1.7 x 18.9 cm
ISBN-13
9784152093783
ISBN-10
4152093781
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

ヨハネスブルグに住む戦災孤児のスティーブとシェリルは、見捨てられた耐久試験場で何年も落下を続ける日本製のホビーロボット・DX9の一体を捕獲しようとするが──泥沼の内戦が続くアフリカの果てで、生き延びる道を模索する少年少女の行く末を描いた表題作、9・11テロの悪夢が甦る「ロワーサイドの幽霊たち」、アフガニスタンを放浪する日本人が“密室殺人"の謎を追う「ジャララバードの兵士たち」など、国境を超えて普及した日本製の玩具人形を媒介に人間の業と本質に迫り、国家・民族・宗教・戦争・言語の意味を問い直す連作5篇。才気煥発の新鋭作家による第2短篇集。

1979年東京都生まれ。幼少期より1992年までニューヨーク在住。早稲田大学第一文学部英文科卒。2010年、囲碁を題材とした短篇「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞。2012年、連作短篇集『盤上の夜』を刊行し単行本デビューした。同書は第147回直木賞候補となり、また第33回日本SF大賞を受賞するなど高評価を得る。また2013年、第6回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞を受賞。今もっとも期待されている新鋭SF作家である。

レビュー

  • 面白いです

    宮内悠介の代表作だが息子にも読ませたくて購入。日本人の作家が第三世界も含めたワールドワイドな舞台で想像力を展開させて近未来を描く。そんな時代になったんだと個人的には感慨深い作品だった。内容については、そんなに落としてどうする、と突っ込みたくもなるけど、今までにない高揚感を得られたことは確か。ぜひ読んで下さい。

  • 後読感は決して悪くないが

    日本製人型ロボットを中心に短い物語が続く。 計算された構成だと思うが物語が膨らむ前に話が終わってしまう印象を受けた。

  • 世界各地の紛争やテロを知らないと

    世界の紛争地帯の地理や歴史、風土、文物等を知らないと面白さ半減、 みたいな作品に感じました。 各篇の最後に主要参考文献として大量の書名が記されていますが、 作者さんはこれ全部読んだんでしょうね。 すごいですね! 勉強家ですね!! DX9という歌姫ロボットが全編に登場しますので、 一応SF小説なんでしょうけれど・・ 私はあまりSFっぽさは感じませんでした。 そもそも何で製品の耐久テストでそんなビルの屋上みたいな所から落下させるのか? 意味不明です。 歌唱ロボにそんな耐衝撃性能いらないでしょ(笑) あとDX9が初音ミクだなんて解説読まないと分からないよ(笑) 解説に出てくる『南極点のピアピア動画』の方がSFらしくて夢があって私は好きです。

  • エンターテイメントにして、これは立派な現代の世界文学です。

    去年のデビュー作『盤上の夜』が直木賞候補、そして「SF大賞」受賞という快挙をなしとげた宮内悠介の第2作。2作連続の直木賞候補作。 舞台は近未来の南アフリカからニューヨーク、アフガニスタン、イエメン、そして東京。雨のように落下する歌姫ロボットたちのイメージをつなぎながら、人間とはなにか、宗教、戦い、愛……広い視座で、哲学性さえ感じさせる、SFの枠を超えた良質な小説で、感動しました。 是非、翻訳されて、世界中の人に読んでもらいたい。

  • 少女の雨が降る

    無数の少女ロボットが雨のように落下してくるイメージを軸にした連作短編集。 南アフリカに始まり、イエメン、キルギスとイスラム・ジハードや民族紛争の世界を描く野心作。 特に「ジャララバードの兵士たち」「ハドラマウトの道化たち」と続くゲリラものは、キャラクターが一部重なったせいもあって、緊張感があり面白かった。感情移入できるキャラクターがいると、ぐっと引き込まれる。 9.11を再現してしまう一篇だけは、どうもよくわからなかった。

  • 現代の小説が読みたいのなら

    現代の小説家に出会った、と読んでいる時に強く感じた。 中東、NY、日本、アジア様々な国の様々な建築物と初音ミク型楽器のDX9を組み合わせた物語が連作形式で収められている。 人格の転写やロボット、VRなどのSF的な要素を用いながらも世界観はリアルに基づかれており、SF的要素と現実的な社会問題が交錯する様は他の小説ではあまり見ない質感がある。 この作品はSFの枠を越えて直木賞候補にもなったけれども、日本という枠を越えても評価されうる価値があると自分は思う。 もちろん問題点がないわけでも無い。詩的なイメージやスピード感を重視している結果読んでいる側が置いて行かれたまま物語が終わることがしばしばあるのは難点だ。だがそれを踏まえても、この作品の要所要所で見せるイメージは鮮烈で心を動かす。 もし誰かに小説のおすすめを聞かれたらこの作品を推したい。

  • 生き続けるものの悲哀と希望

    本作に収録のSF連作5篇は「DX9」が物語の推進力になる。 「DX9」は日本製の女性型ホビーロボットであり、歌唱用途で作られた。もちろん「初音ミク」を意識せずにはいられない。 また「DX9」という名はヤマハの往年の廉価版FMシンセと同じ名だ。 ヨハネスブルグ、ニューヨーク、アフガニスタン、ハドラマウト、北東京。 その土地の歴史という潤沢な素材を使った我々の知らない歴史の物語。 話中の「DX9」は様々に使われる。落下試験を延々と続け、イスラム武装勢力の兵器として顔と声帯を潰され、生きている人間の人格を転写される。 歴史の渦中で利用される「DX9」の姿は、生き続けるものの悲哀と希望による叙情を読者の心に灯していく。 さらに、初音ミクという本の外の存在によって「DX9」へのフェティシズムも萌え盛る。 宮内悠介の手つきに感嘆する一冊。 ユベルマン『ニンファ・モデルナ』(森元庸介訳、平凡社)は「落下」を扱った、相当に愉快な藝術論だったけれども、『ヨハネスブ ルグの天使たち』もまた無数に落下する機械のニンファ=DX9による強靭な訴求力を持っている。

  • 9・11後の世界に真っ正面から取り組み、SFの枠を越えた魂の震える感動作

    初音ミク? と思われるDXー9と言う日本製AIロボットが降って来ると言うモチーフで書かれたオムニバス短編集。それだけ聞くとナンノコッチャだが、近未来の設定で紛争や内戦が泥沼化した地域を取り上げ、9・11後の混沌とした世界に真っ正面から取り組んだ志の高い短編集である。とりわけ表題作は傑作で、読んでいて魂が震えるほど感動した。 日本人にはアパルトヘイトやマンデラ大統領のイメージの南アフリカ。だがこの世界では主流派になった黒人勢力と、それに対抗する白人勢力との内戦が泥沼化している。主人公の黒人少年スティーブは同じ日に戦災孤児になった白人少女シェリルと知り合い、生まれて初めて盗んで来たパンを彼女に与えてパートナーとなる。スラムで身を寄せ合い暮らしながら、2人は困窮生活から脱出するためAI技術者をめざす。そんな彼らが、なぜか大量に降り続けるDXー9の一体を捕獲し、意思疎通を試みる。うまくいかないが、その一体は確実に人格を備えており、何度も落下する苦痛から救ってくれた2人の成長を見守ることになる。 スティーブは大学に進んで政治活動を始め、結婚したシェリルが白人である事も評価されて、内戦を収拾すべく大統領にまで上り詰める。だが、反対派のテロリストに狙撃され、外れた銃弾がシェリルの命を奪う。内戦はもはや手の付けられないほど激化して、絶望したスティーブはシェリルの研究を生かして希望者の人格をDX-9に転写し、集団で人の住めない砂漠へと移住する。その時、あの2人が意思疎通を試みたDXー9が本来の機能を発揮して歌い始めるのが詩的で美しく、魂が震える気持ちを覚えた。 ハードSFで難解だし、戦争ものと言うだけで拒絶感を持つ人には駄目だろうが、傑作なのは間違いないと思う。

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