作品情報
作られた記憶の中で出会った恋は、現実の喪失を抱えながら美しく反転する。
『君の話』は、手違いでありえない青春の記憶を持つことになった天谷千尋と、存在しないはずの幼馴染・夏凪灯花の物語である。美しい恋愛小説でありながら、記憶が人を形づくることの危うさ、嘘が人を救う場合と傷つける場合の境目を描く。軽やかな読み口の奥に、取り戻せない時間への痛みが残る。
レビュー要約
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恋愛小説としての切なさと、記憶の仕掛けが明かされていく構成への支持が目立つ。会話や人物造形の癖を楽しむ読者がいる一方で、喪失をめぐる感傷の強さを重く受け止める読者もいる。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2018-07-19
- ページ数
- 320ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.1 x 2 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784152097828
- ISBN-10
- 4152097825
- 価格
- 1344 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
『三日間の幸福』の著者が描く 書き下ろし単行本の新境地 手違いから架空の青春時代の記憶を植えつけられた孤独な青年・天谷千尋は、その夏、実在しないはずの幼馴染・夏凪灯花と出会う。戸惑う千尋に灯花は告げる、「君は、色んなことを忘れてるんだよ」。出会う前から続いていて、始まる前に終わっていた恋の物語。 装画/紺野真弓 装幀/鈴木久美
レビュー
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雰囲気変わった?
今まで三秋縋さんの作品(スタンディングオーバー・三日間の幸福・いたいのいたいの、とんでゆけ・恋する寄生虫)と明らかに雰囲気の違いを感じました。 でも…孤独感、人間不信、苦悩、少しの幸福な時間からの終末は今までのようにあります…でもやっぱり今までと違う…少し柔らかい感じ…失ったものはあるけど、それを乗り越え、大切にして先へ進む、私は気好きです…この感じ。 話は近未来的な記憶編集により成り立っていますが、科学技術が凄く発達した良くあるSF物とは違い、記憶編集以外は現在社会と大きく変わらない世界、人間模様が書かれています。
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この時点での作者の到達点
三秋縋のこれまでの作品の題材をちりばめた、この時点での集大成といえる作品だった。 冒頭の一文があまりにキャッチーで、かつこの物語の全てであり、これがこの作者の書きたかったことなのかもしれない、と感じる一作であった。 ――― 一度も会ったことのない幼馴染がいる。
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娘に
とても面白いようで、これを読んでから作者の本をコンプリートしています。
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これまでの三秋縋作品とは一味違う面白さ
三秋縋さんの作品はどれも大好きですが、今回のはメジャーな恋愛を描くと言うより、斬新な世界観での恋愛といった形で、恋愛は弱く感じました。でも面白いですよ!
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感動であると同時に、普段考えない人生の価値を考えさせられる
結論としては、とても感動。 そして、いつも通りの、あり得ないファンタジーかもしれないけど、今回の設定は、30年後には現実にあるのかもしれない。 とはいえ、悪く言えば、いつもの三秋先生のパターンの中でのバリエーションでもある。 男性目線での理想的な女性像のヒロイン設定は、いつも似通ったところがあるし、幸せだが悲劇的な結末を迎えることも同じ。でも、女性向けコミックやハーレクインロマンスじゃないが、それが良いんじゃないのかな? だって、現実には、ジャニーズとか韓流アイドルとか、羽生弦とかに熱を上げる女性ばかり周りいるなか、あんな若くして理知的で、深く人生を考え、浮いたところの無い美人なんて、まず、巡り会うこと無いでしょ。だから、ファンタジーであることが余計にしっくりとくる。 一定のパターン、普遍的に良い型っていうのは、人が求めているものなんだと思う。 そして、悲劇なのかどうかっていうのは、現実に誰にでも必ず訪れる死っていうものが悲しいものなのかどうか、死とは無なのか永遠なのかっていう読み手の価値観に依存している。 三秋先生の著作は、ファンタジーであり、プラトニックな恋愛モノでもあるが、そこを通じて、人生の価値を再認識させてくれる点で感動的だ。そして、ファンタジーであるが故に、ドギツすぎず、受け手の許容範囲の中で、メッセージが伝えられているような気がする。
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記憶とは儚くて曖昧なもの
ただただ素晴らしかった。特に物語真ん中からの反転していく流れに引き込まれてしまう。 夜眠る時に明日も自分である事を疑わず、昨日と今日の自分が同一人物であるつもりで日々を過ごしているけれど、一体私はこれまでどれ位の過去を忘れてしまっているんだろうか。どれだけ昨日のことを覚えているんだろうか。そばにいる大切な人を確かめたくなる話だった。
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めっちゃ気持ち悪い気持ち良さのある作品だった!
流行りものをちょこちょこ読んでる位の 自分なんですが、、 読んできた恋愛モノの中で 1番好きな作品でした。
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義憶の作り出した最期の幸福
人体にありもしない記憶を植え付けることができる世界という、想像力を刺激する設定に読み始めた当初ドキドキしました。 義憶が生まれたことで、どんなトリックで物語を楽しませてくれるのか、この世界に生きる人にとって義憶とはどういった存在なのか、などの好奇心が引き立てられます。 主人公の前に突然現れる義憶通りの幼馴染。 でも、義者のはずの幼馴染は主人公と同じ義憶を持っている。 初めは、幼少期に幼馴染に何かしらのつらいことがあったために、耐えきれずに主人公が記憶をレーテで消したのかと思いましたが、そんな安直なストーリーではありませんでした。 物語はもっと複雑で、幼馴染の少女時代にまで及ぶ混沌とした思いが引き起こしたものでした。 義憶技工士という記憶を作る人が、自分の記憶はどんどん新型アルツハイマーに犯されて記憶が残りわずかしかないというのは意地悪な設定だな、と思いました。 自分で作った義憶のおかげとはいえ、最期に幼馴染は幸せに死ぬことができたのではないでしょうか。 恋する寄生虫、スターティングオーバーや三日間の幸福をこれまで読んできましたが、間違いなく最高の一冊でした。
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