日本の文学賞

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プロトコル・オブ・ヒューマニティ

星雲賞

プロトコル・オブ・ヒューマニティ

長谷敏司

交通事故で右足を失ったダンサーが、AI制御の義足とロボットとの共演を通して、踊ることと人間性の意味を問い直す。ダンスの身体感覚を言葉で解体しながら描くSF長編。

SFダンス人工知能身体性人間性

作品情報

踊りは、人間性をどこまで伝えられるのか。

2050年代の未来を舞台に、AI義足とロボットとのダンスを通して人間性を問う長編。コンテンポラリーダンスの身体感覚をめぐる物語を、SFとして緻密に組み上げている。

レビュー要約

  • ダンスと身体性の描写、そして人間性への問いかけが強く支持されている。難度の高いテーマでも、読後に長い余韻が残るという声が多い。

書籍情報

出版社
早川書房
発売日
2022-10-18
ページ数
296ページ
言語
日本語
サイズ
13.8 x 2.3 x 19.4 cm
ISBN-13
9784152101785
ISBN-10
4152101784
価格
2090 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

◆ ◆ ◆書評・メディア紹介◆ ◆ ◆ 朝日新聞デジタル(2022年11月15日)著者インタビュー 小説すばる12月号(2022年11月17日)書評(吉田大助・ライター) 日本経済新聞夕刊(2022年11月18日)書評(小谷真理・ファンタジー評論家) Real Sound(2022年11月17日)書評(細谷正充・文芸評論家) 東京新聞(2022年11月19日)紹介・「記者の1冊」 中日新聞(2022年11月20日)紹介・「記者の1冊」 読売新聞(2022年11月20日)書評(小川哲・作家) 伝説の舞踏家である父の存在を追って、身体表現の最前線を志向するコンテンポラリーダンサーの護堂恒明は、不慮の事故によって右足を失い、AI制御の義足を身につけることになる。絶望のなか、義足を通して自らの肉体を掘り下げる恒明は、やがて友人の谷口が主宰するダンスカンパニーに参加、人のダンスとロボットのダンスを分ける人間性の【手続き/プロトコル】を表現しようとするが、待ち受けていたのは新たな地獄だったーー。SF史上もっとも卑近で、もっとも痛切なファーストコンタクト。『あなたのための物語』「allo, toi, toi」『BEATLESS』を超える、10年ぶりの最高傑作。

1974年大阪府生まれ。関西大学卒。2001年、第6回スニーカー大賞金賞を受賞した『戦略拠点32098 楽園』で作家デビュー。2009年、初の本格SF長篇『あなたのための物語』(ハヤカワ文庫JA)で「ベストSF2009」国内篇第2位。2014年、「allo, toi, toi」ほか4篇収録の作品集『My Humanity』(同上)で第35回日本SF大賞を受賞した。その他の作品に、『【円環少女/サークリットガール】』『BEATLESS』『ストライクフォール』など。

レビュー

  • AI義肢との共生から人間とは何かを考える

    面白かったです。事故で右足を失ったプロダンサーがAIを組み込んだ義肢を装着して、新たなダンス表現を生み出すというストーリーです。SF小説というカテゴリーになっていますが、SFというよりはヒューマンドラマ、あるいは哲学色が濃い本かもしれません。そして何より私は著者の文章力に感銘を受けました。ダンスという文字で表現しづらいであろう領域をよくここまで文章で表現したなと。 この本で考えさせられた問いは次の2つです。1つ目は「ダンスとは何か」、2つ目は「AIとはどんな存在なのか」ということです(その意味で本書は哲学的)。言い換えると、人間とは何かを考えるにあたって、AIという異質なものと比較をしつつ、一方ではダンスを情報処理的(機械的に)考えることで人間とAIの共通点を見つけようとします。ちなみに「AIとはどんな存在なのか」という問いに対しては、AIを道具としてみる見方が世の中では一般的な気がしますが、本書はそれとは違う視点を提供してくれているのではないでしょうか。それはAIを「器官」としてみる見方です。かつて漫画「寄生獣」というのがありましたが、あれに近いかもしれません。寄生獣は完全にファンタジーなのに対して、AI義肢はすでに世の中に登場しています(とある展示会で見ました)。つまり本書はSFとも言えない、きわめて現実に近い話を書いているともいえるでしょう。人間とは何か、AIとは何かなど考えさせられる本でした。

  • これはやはりSF(純文学ではない)

    他の方のレビューで純文ではという指摘もあったが、これはやはりSFだろう。ただし、SFというにはAIとロボットの進歩か早すぎるため、先取性よりもリアルさが強烈に感じられる。 内容はAI、ロボットと人間の関係、その違い、接触をきちんと丁寧に描いていてとても面白かった。単なる技術の描写に止まるSFでなく、思索を伴うSF。他方で、後半の親子のダンス、ラストの舞台の文章力は圧巻。 AIと人間だけでなく、介護、認知症と身体性まで盛り込んでるのがすごい。それだけで別に一冊書けるくらいのテーマではないだろうか。 実写化はしないだろうが、安直な私は父親は田中泯で脳内再生しながら読んでいた。

  • 人工知能の目的。

    プロトコル・オブ・ヒューマニティ 力作なのは間違いありません。 ただ、多くの感想で『私小説』・『純文学』などと云われているのは不当だと思います。 やはりこれは純然たるSFです。 kindle版の43ページに、 ---------- 彼はハンディキャップを負っても、到達するゴールが劣ったものにはならないと信じ、科学技術に希望を見出したからだ。 ---------- とあります。 これは、医療や福祉などが究極的に行おうとしていることに他なりません。 この後、彼の父の登場によって話は『私小説・純文学』的になっていきますが、そこまでのガジェットの描写は単なる小説における『つかみ』とは言えないほどの迫力があるといっていいでしょう。 私は、いずれ、人工知能の発達は、義足が『彼』を助けて究極の目的にいたらせたように、多くの脳が不自由な人たち、つまり脳性まひや精神疾患などの方たちに恩恵を与えると信じています。 作者にそれを書いてもらえればな、などと思う今日この頃です。 もうすでにそういった作品があるならごめんなさい。 心の赴くままに。

  • 面白いけどSF好きにおすすめしてよいものか悩む

    物語の骨子にSF要素が深く関わっているし、ガジェット・技術SFとして面白い部分があるけど、「ストーリーラインの根幹」に関してはどこか非SFの一般文芸ぽいところがあるなあと思いました。「設定がSFだけど実質これ純文学だよね」みたいな部分は、たとえばカズオ・イシグロの「私をはなさないで」とかもそうなんですが、この作品は障害や介護がテーマになっており、事情に重苦しい部分があるので……ガジェットSFとしての面白さを求めて読むにはカロリーが高かったなあという印象です。

  • ヒトとAI、でもやっぱりヒト

    ヒトとAIの関わりは、現代においては既にサイエンスフィクションではなく、サイエンスヒューマニティーとなりつつあるのか? しかし、本の中身は随分と人のニオイがプンプンするものです。

  • 辛いながらも読み進めて、読み切ってしまう力がある。

    舞踏家が事故によって重傷を負い、片足切断や頸椎骨折など致命的な障害を負うが、 高度に発達したAI義足とそれをサポートする技術者などに支えられ、自分を見つめ直し、 再生していく過程で、より高みを実現している同じ舞踏家である父親が交通事故を起こし、 自分も頚椎をやられ、同乗の母は亡くなってしまい、父親は痴呆症状が出始めるといった とても重い展開が続いて、読み進めて良いんだろうか?という苦悩を感じつつも、 安易に自我を持ったAIなどを出さず、数値や論理などで構築した踊ると言うことを愚直に 突き詰めていく機械知性と人間の主人公がどのように踊れるか?コミュニケーション出来るか? という哲学的要素や情動などはどうなっていくのかとか、とても興味深く読めました。 で、SFというので痴呆症状が進んだ父親の脳をAIで補完してまともに見えるようになった父親と 踊った見たらどうなるか?!とか無かったのが残念かなー(そこまでの技術が存在しない世界でした)。

  • 深いかもだが暗めだ…

    タイトル通り。 昔から大好きな作者です! 今回はBeatless超えを期待してましたが、内容は深いものの全体的に暗く、エンタメとしては楽しめなかった…。 ボーイミーツガールもしくはいつもの矛盾感じつつウダウダいいつつ突っ走る主人公を楽しみにしてたんですが、どちらも出てこず、介護と義肢AIとの共生がほんとにメインで、ちょっとうーん…という感じ。。 でも作者自身がお父さんの介護で大変だったというのもブログ見て知ってたので、まぁこの作品もひとつ必要な経過だったんではと思います。 中身は難しすぎてまだ理解しきれてないのでもう一回読んでみようと思います

  • 「身体性」という概念に興味のある全ての方に

    卓越した身体というセンサーの構築する「世界観」その描写に圧倒されてください。 圧巻の小説です。

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