作品情報
鍋の中は、村田喜代子の表現の核を伝える一作である。
祖母の家に集まった子どもたちの視点から、家族の記憶と土地の気配を静かに浮かび上がらせる中編小説。日常の会話や食卓の感触の奥に、血縁の親密さと不穏さが同時に漂う。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 1987-08-01
- ページ数
- 235ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163099606
- ISBN-10
- 4163099603
- 価格
- 187 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第97回(昭和62年度上半期) 芥川賞受賞
レビュー
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村田喜代子 鍋の中
状態が良かった。
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「盟友」が良い!
芥川賞受賞作である「鍋の中」を含4作品が収録された短編集。 ■鍋の中 田舎に住む祖母の家で過ごす孫たちの夏休みのひと時。いこと同士の四人の少年少女の、ささやかな日常が活写されている。祖母との団らんの中、主人公は、彼女の異変に気づき始めるのだった…。混濁した老人の記憶に翻弄され、傷つき困惑する主人公。心がざわめきつつも、どこか懐かしさを感じる作品である。 黒澤明監督、リチャード・ギア出演の映画「八月の狂詩曲」の原作。 ■水の中 幼いわが子の水死事故をきっかけに地域の安全活動に参加した主婦。徐々に活動にのめり込んでいき、その行いは度をこし始める…。善意の押し売りが止まらなくなる女性の姿が描かれている。迷惑行為までに加速度がつく様が興味深い。主人公が我にかえるのは…切ないね。 ■熱愛 友人とツーリングに出かけた主人公。峠の待ち合わせの場所に、いつまで経っても友人は辿りつかない。途中のカーブ、転落事故にあったのか…、というヤキモキ、モヤモヤな主人公の心情がつづられる。特別な感想を持ち得ない作品だが、タイトルだけは??? ■盟友 喫煙が見つかり便所掃除の罰を受けることとなった高校生の主人公。一緒に掃除をするのはスカートめくりの常習犯の後輩。バカにしていた後輩との作業は、主人公に便所を清潔にするという情熱を喚起する。そして、二人はいつしか盟友となり…。高校時代にしょうもない事に専心するのは、男性ならば共感できるはず。ラストの蛮勇を振るうシーンが良い。本短編集の中ではいちばんのお気に入り。 【芥川賞】
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天才の「ワールド」に引きずり込まれていく感じ
以前から読みたいと思っていた芥川賞作家の作品。4編の短編を収録している。 誰も真似できない不思議な「村田ワールド」に引きずり込まれる感じがある。 天才との噂は伝え聞いていたが、なるほど、この人の言語感覚や、心理描写と 情景描写の力、というか、心理と情景の一体感を描く力は並ではない。 小説家は「見てきたようなウソ」をつく能力が必要だと、読んだことがあるが、 まさに村田さんは、その力が卓越している。たとえば「熱愛」の中では、オート バイで海岸線を走る場面があるが、よく走りもせずに(走っていたらスミマセン) ここまでリアルに描写できるものだと感心させられた。 正直に言うと、著者がアウトプットする実力と、私がインプットする読解力の 間に落差がありすぎて、村田さんの本当の醍醐味を味わえていない気もしている。 それを少しでも埋めてくれたのが川村湊さんの解説だ。小説の深さ、面白さを教 えてもらった。 あまりの「天才」を前に「たじたじ」感もあるが、これから村田ワールドをも っと体験したいと思っている。
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再販か電子版を! 新品がほしい!
何十年も前の作品なのにすべてが新鮮だったです。すばらしい。表題の「鍋の中」が読みたくて手に取りましたが、「水中の気」「熱愛」「盟友」どれもすばらしかった。「熱愛」でのバイクの疾走感、「水中の声」での危うさ、「盟友」でメインとなる舞台設定! どれもネタバレになるので詳しくは書けませんが、短篇やアンソロジーをお探しの方、ぜひご一読ください。天才的な作家って読めば読むほどざくざく出てくるなあと思っていたけど、村田喜代子も天才です。
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随所に古さはありましたが秀作です。
村田喜代子さんの「鍋の中」をもとに 1991年に黒澤明監督が「八月の狂騒曲」という 映画を製作していますが、 小説と映画の内容はまるで違うものでした。 映画の中での一つのテーマ、 長崎の原爆被爆については 小説ではほとんど触れられていません。 「鍋の中」は、おばあさんの頭の中? 13人もの兄弟の人生が煮込まれていて、 時折見え隠れし、語られる話は断片的ながら、 リアルで引き込まれます。 座敷牢の中で字の勉強をしている軸郎、 靴職人になり親方の妻と駆け落ちし、 自分も弟子の振り上げた金づちで殴られて死んだ鉄郎。 駆け落ちの道中で観た雷に打たれた二本杉。 それがまさに自分の家系であると知ることで、 孫たちは命の儚さを知り、 気持ちが危うく揺らいでいきます。 兄弟の名前に金篇が多いことなど 彼女独特の一種異様で不思議な世界感を 醸し出していたような気がします。 バイクで海岸線を走る疾走感がすごい!「熱愛」 喪失感から危うい行動に至る「水の声」 懲罰の便器磨きで「盟友」を得る話。 いずれも秀逸な作品揃いで 小説を読む深さ、面白さを 思い存分満喫できたように思います。
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家庭環境
村田さんの生い立ちを感じました。彼女も複雑な家庭環境でそだったのかな。
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適切な取り運びでした
特別な問題もなく、スムーズに送られてきました。商品も説明通りです。問題ありません。トラブルになっていないので、トラブル対応については分かりません。
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この世界
1987年に出た単行本の文庫化。 「鍋の中」「水中の声」「熱愛」「朋友」の4篇が収められている。 「鍋の中」は第97回芥川賞の受賞作。何とも言えない不思議な読み心地の作品だ。優れた小説であることは間違いないが、多様な読み方/解釈が存在するのではないか。アイロニーと楽しさ、閉塞感と明るさが混在している。 「水中の声」、「熱愛」、「朋友」は小品。 曖昧さと奇矯なアイデアのひとだ。
関連する文学賞
- 芥川龍之介賞 第97回(1987年) ・受賞