作品情報
母を求める声が、奈良の山水と歴史の奥へ読者を導く長篇です。
文藝春秋の単行本ページで初版 ISBN とページ数を確認しました。後年、人文書院版も刊行されていますが、受賞時の単行本を優先して記録しています。
レビュー要約
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壮大な構成と神話的な語りを評価する声がある一方、時空を飛び越える展開には読み手を選ぶ重さもある。喪失と抵抗の物語として強い余韻を残す。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2004-09-25
- ページ数
- 366ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163232805
- ISBN-10
- 416323280X
- 価格
- 3280 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第15回(2005年) 紫式部文学賞受賞
レビュー
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究極の「父殺し」と「母子の絆」の物語
国家権力の定める正史と「常民」の範疇からこぼれるマイノリティ(=この作品の場合は被差別民の人々、中世に私生児を生んだ母親等)への眼差しに、母親の亡くした男児に対する時空を超えた愛情が重奏する津島佑子の代表作。この作品では、日本という国家の源流とも言うべき奈良朝、権力の象徴としての大仏を大きく取り上げながら、時空を超えて母親と息子が死に別れる話が延々と繰り返される。 読みどころとしては、「父殺し」ならぬ「神殺し」をマジックリアリスム的手法で表現した序盤で、破壊された大仏から様々な歌とテクストが飛び散るシーンは中々のものだ。(注:ここで殺される「神」とはあくまで国家仏教という制度なので、精神分析的な意味では「父殺し」である。)一方、「!」をやたら連発して息子への思慕が過剰なまでに噴出する「濃さ」は、受け付けられない読者もいるだろう。興味深いのは、転生の過程で互いに殺し合うことすらある母子なのに、愛し合い夫婦になる展開には決してならず、永遠に母子の関係が繰り返される点だ。ここに、実際に事故で息子を亡くした作家の心の傷と息子への思慕を読みとってしまうのは、偏った読み方だろうか。
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うけつけず・・・
太宰の桜桃忌から読み出して やっと読み終えました。 力作で幾つもの文学賞を取っていますが この津島ワールドの独特の世界と雰囲気 輪廻転生とどうしても受け付けませんでした。 中世文学から深い仏教知識を要する一方 幼稚な赤ちゃん言葉や表音に生々しい描写と かなりの忍耐が必要でした。
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親子という因果
時間軸も空間も生き物の種別も超えて、母と子が何度も何度も呼び交わす様は胸にしみます。 圧倒的な物語(まさに物語るという言葉がぴったり)に、久しぶりに充実した読後感を得られました。
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壊れる
熱にうかされるように津島ワールドへ。紙面から轟音が響くような○○が壊れる描写は、画期的(知らないで読んだ方がいいので伏せ字)。頭がくらくらするので、実際にちょっと熱があるときのほうが入り込めるかも。 飽きるほどではないけれど、輪廻がしつこいので星マイナス1。
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駆け巡る命の連鎖の物語
美しい表紙に騙されてはならない。壮絶なエネルギーを発散させる、津島佑子の力作。 これは奈良の地をめぐって繰り広げられる、駆け巡る命の連鎖の物語。母の死によって萎えた子の命の奔出は、飼いならされた野生を殺すことによって始まる。その時、母の命の声が呼び起こされ、母と子の愛は死と再生を繰り返しながら、時空を超えて求め合う。奇想天外なストーリーには謎解きの楽しみも。 いのちを育む宿命を負ったおんなのひとりとして、男に創りあげられた歴史の中で生きる苦しみと命の強さを共感できる、読み応えのある一冊。
関連する文学賞
- 紫式部文学賞 第15回(2005年) ・受賞