日本の文学賞

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草すべり その他の短篇

泉鏡花文学賞

草すべり その他の短篇

南木佳士

『草すべり、その他の短篇』は南木佳士による作品で、泉鏡花文学賞で受賞に選ばれた。文藝春秋から2008年に刊行された書籍で、受賞作としての位置づけと刊行形態の双方が確認できる。

作品情報

『草すべり、その他の短篇』

『草すべり、その他の短篇』は、泉鏡花文学賞の受賞作として読まれる南木佳士の作品。刊行情報が確認できるため、受賞履歴から作品へたどれる書籍として扱える。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2008-07-11
ページ数
216ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163271804
ISBN-10
4163271805
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

40年ぶりの再会。眩しかった彼女と浅間山に登る。それぞれに人生の関所を過ぎた男女が山を歩く。清冽にしてせつない大人の短篇集

レビュー

  • 今を生きる大切さ

    死に対面した中で得た悟りの境地が淡々と描かれていました。市井で生活しながら悟るとは、こういうことなのかもしれません。

  • つい…。

    同じような内容の作品も多いのですが買ってしまいます。

  • 山登りは、人生に似ている

    多くの肺がん患者の死を見送るうちに、心を病んでしまった作者の山登りに人生を重ねた4作品。 「一歩一歩足を踏み出すことをしているうちに、気がつけば、日常という景色から姿を代えた山頂という場所に立つ。」 表題作「草すべり」は、高校時代の同級生の女性と浅間山に一緒に登る一日を描いています。 彼女も病と共に生きているとの描写に、改めて、作者の生への渇望と諦観を感じました。

  • 南木さんを救った山々そして自然

    再掲 図書館本 文学界に2006年から2008年に発表された本題と他3篇。 南木さんがパニック症候群からうつ病をへてたどり着いた山登りという文脈を綴っている。 日帰りのピクニックの様な登山からやがて山小屋に泊まりながらの登山へと次第に難度をましていく中で生きる事を噛み締めている様でもある。 3歳で母親を亡くし裕福では無い寒村での祖母との暮らしが常に南木さんの文章の底流をなしている。 いつの日か高山植物が咲き乱れる文章に出会いたいと思うの僕だけだろうかと思った一冊である。

  • 面白かった

    主人公の医者(作者本人?)が山登りをする短編シリーズ図であるが、良くできている。特に表題作の『草すべり』が、回想シーンも入っていてませる。

  • 生きていることのはかなさ、せつなさ、

    「まだ、もうすこし歩いていたいよね」の沙絵ちゃんのことば、「草すべり」の最後は涙なしにいられない、そのように作者に共感してしまう歳になったのに気がついた。涙もろくなったのも歳のせいなのか。 わたしも山登りを永年やっていて、何のためでもなく、この作者のようにただ山に行く純粋さを大切にしている。「草すべり」も好きな山だ。ここ美しさと、そのなかで語られる、きわめて単純な言葉の裏に、隠された事実が次第に明らかになっていく。

  • 自分の背景というものの豊かさ

    「本当の自分などというものはない」とよく言う。 確かに、あるのは今の自分だけだろう。 しかし、自分が自分を十分知っているかというと、そうではない。 いまある自分が成り立っている背景には、自分に及びもつかない多くのものがある。 『草すべり』はそういうことを、リアルに教えてくれる。 生きていくこと自体が、思いがけない、思い及ばないことが多い。 生きていくことの意味、あるいは、今生きていることの意味はなんだろう? そう考えると、自分というのはいったい何だろうという、素朴な疑問にぶつかる。 人は自分という世界の中を生きている。 その中で人に会い、さまざまな経験をする。 主人公の世界と沙絵というかつてのクラスメートの住む自分世界はまったく違う。 それが一時、登山という形で交わるわけだが、 それは、今まで自分の視界が届かなかった自分の背景を照らし出すことになる。 それは、ある意味で、自分の知らない本当の自分なのかもしれない。 小説というのは、そういう本当の自分の姿、 つまり、生き様を描き出す。 それは、生きていくことの意味と同時に、 人間にとって、幸せとはいったい何なのだろうという問いを、 生じさせる。 これが、小説の醍醐味だと思うが、 この作品は、多くを語ってはいないが、 読む側の人間に、自然に、 自分自身を考えさせる何かを感じさせる。 そして、本を離れて、自分自身のことを考えている、 そういう自分を、ふっと、見出す。 そういう作品である。

  • 生かされてあるということ

    医師としてあまりに多くの死を見つめたがために鬱病に陥った作者。 その病から立ち直り、登山を趣味として見つけた、その日常を描いた作品集である。 多くの死を目の当たりにした此岸から、山の高みへ。 一足飛びに行くことはもちろんできるはずもなく、一歩一歩を積み重ねることで、わずかならずつでもそこへ近づいていく。 その足取りは、決してたくましいものではありません。 病み上がりで、若くはない、初心者の足取りです。 でもその一歩一歩は確かに大地を踏みしめています。 語り合う人も。病み、老い、孤独な人ばかりですが、その会話は「生きる」ことの不確かさと同時に、「生きている」という事実を語りかけています。 そのプロセスを丁寧に描いたこの作品は、3.11を通過した私達に、何かを強く訴えてきます。

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