日本の文学賞

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書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2008-09-12
ページ数
181ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163274409
ISBN-10
4163274405
価格
1430 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

鳥に変身した男をめぐる惨劇を描く文學界新人賞受賞作と、絶滅したはずの恐竜に母を飲まれた女性を襲う恐怖を描く最新作他1篇

レビュー

  • カフカ女子の話法

    新潮4月号掲載の短編「爪と目」が面白く、デビュー作を含む本書を読んだ。 表題作は、大学非常勤講師の高木成一と、高木の愛鳥「ピッピ」をナマで喰らって鳥に変身した学生堀内(トリウチ)が殺し合う、というもの。 変身譚とカニバリズムを融合させたかのような筋立てゆえ、「なぜ鳥に…」と道理に頓着したら本作は読めなくなる。人は普通、鳥にはならないからだ。カフカの「変身」においても、グレゴール・ザムザは自身が虫になった謎には頓着せず、仕事に行けないことや、家族の反応など、虫になることで生ずる障害を恐れた。つまり異常なまでの客観性が小説を作る。本書も同様。高木はトリウチが鳥になった謎よりも、「ピッピ」が殺された事実に悲しみ、怒り、復讐するのだ。だから一方で、高木は世間体も気にする、自宅にトリウチがいると近所に知れたら、と。高木の不安は的中し、隣家の主婦内田百合は、ワイドショー的な好奇心で高木家の異変を探ろうとする。壮絶な殺し合いが展開する高木家に、内田家という世間を対置することで、本作は不気味な色彩を帯びだす。 しかし作者が真に目指すのは、カフカ的な世界観ではなく、小説の話法にあるのかもしれない。高木家の惨劇は高木による「きみ」への二人称で語られ、内田家の日常は三人称で綴られる。両者は微妙に時間軸を異にしながらも、複数の要所でカチリと時を重ねる。さらに、物語の結末は冒頭に繋がりループする。出口のない、たくらみに満ちた作品だ。 併録の「溶けない」、「胡蝶蘭」もやはり話法に拘った佳品。この作家、今夏あたりブレークしそうな予感がする。 7月17日追記 祝、芥川賞受賞

  • 芥川賞作家でもっとも心理描写の下手な作家

    芥川賞受賞者のなかでもっとも心理描写が下手な気がします。 本の構成などはきちんとされているように感じますが、薄っぺらいです。 追記 知人がどうしてももう一度読めと命令口調でいうので、もう一度読んでみたが、面白くもおかしくもなかった。 「いやしい鳥」は、ものすごくざっくりと言うと、ある男が、鳥なるはなしなのだが、これってカフカの「変身」じゃんって叫びそうになった。・・・創造性という所で、この本は劣っているように思えた。主人公が変態するのは良くある話しだし、内容も幻想小説と銘打っていたわりに、ただグロテスクな描写があるだけ。何処か村上春樹を連想させる文体で、この筆者独自の文体という感じはしない。別に影響を受けるのは全く問題ないのだけれど、読者を惹きつける魅力がない。結局一部マニアというか、こういうB級作品好きの人にしか理解されないのではないだろうか・・・ 文学について私には語る資格などないのだが、この本は文学という言葉が値しない作品なのだと改めて思った。

  • どうして鳥になったの?

    確かに文章力も構成も、プロとして一定の水準に達している。二人称と三人称を巧く使い分けることで、人が鳥になってしまう幻想的世界を怪しく描くことに成功している。ただ、なぜこの大学生が鳥に変わってしまうのか、その暗喩がうまく機能していない。名前に鳥が付くからじゃん、もしかしたらそれだけなのかという疑念が最後まで拭えなかった。

  • 新しい、

    3つの短編集です。表題作「いやしい鳥」は、ある非常勤大学講師が、飲みの席で初めて会った学生を家に連れ帰らなくてはならなくなった事に端を発する事件を、その非常勤大学講師の目線と、隣りの専業主婦の目線とを交互にしながら、なお時系列を少しずらす事でさらに面白く読める短編です。事件とちょっとした現実が遠ざかる瞬間のまどろむ感覚の表現は上手いと思いました。中でも「スーパーナチュラル」なものとリアルさとの混合比といいますか、混ざり具合がちょっとしたSFやホラーなんかとも違った感覚を持っていて、私としてはこの「いやしい鳥」と「胡蝶蘭」が上手くいっていると思います。最も短い短編「胡蝶蘭」もきり方といい、題材といい、リアルであってリアルじゃない、という不思議な世界観を出してくれていて、自由度も高く、面白い作家さんだと思いました。 ただ、チカラ強さといいますか、狙いとして最も新しいと感じたのは「溶けない」というもうひとつの短編で、この読みやすくそして物語の切り方でなく短編でやる物語の着地点としてはかなり特異な感じで新たな作品が出たら読んでみたくさせました。 新しい物語が気になる方に、短編小説の上手さではなく可能性が気になる方に(決して完成度が低いわけではありませんが)、オススメ致します。

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