日本の文学賞

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源平六花撰

オール讀物新人賞

源平六花撰

奥山景布子

屋島の戦の後、平家の女たちが源氏方の宴席へ呼ばれる状況を描く歴史短編。敗者の側に置かれた女性の屈辱と気高さを、端正な時代語りで浮かび上がらせる。

歴史小説平家女性敗者

作品情報

屋島の戦の後、平家の女たちが源氏方の宴席へ呼ばれる状況を描く歴史短編。

屋島の戦の後、平家の女たちが源氏方の宴席へ呼ばれる状況を描く歴史短編。敗者の側に置かれた女性の屈辱と気高さを、端正な時代語りで浮かび上がらせる。 受賞作としての初出や収録状況を確認し、単独書籍または収録書籍が確認できる場合のみ書誌識別子を採用した。

レビュー要約

  • 題材の輪郭と語り口の個性が受け止められている。物語の余韻や人物の置かれた状況に注目する読者が多い一方、展開の癖を好みが分かれる点として見る声もある。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2009-01-09
ページ数
256ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163277806
ISBN-10
4163277803
価格
373 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

平家物語を軸に、歌舞伎・能で馴染みのある源平にまつわるモチーフを換骨奪胎し、新人ばなれした華麗な文体で描いた6篇を収録した短編集。「常緑樹」、「啼く声に」、オール讀物新人賞受賞作「平家蟹異聞」、「二人静」、「冥きより」、「後れ子」。

レビュー

  • 素晴らしい歴史小説集です

    読後歴史小説好きの仲間に回しました。売り上げに繋がらず申し訳ないですが。

  • 動画やアニメの上を行く活字文化

    流麗な古文調で書かれながら、古文に慣れ親しんでいない者にも、簡明に理解が出来て、子供の頃「源平盛衰記」などが、愛読書であった私には、極めて興味深い読み物であった。「平成の紫式部だね」といったら、「ストーリーテラーとしては、紫式部より上だよ」と言う人もいた。久しぶりに、動画やアニメより、活字文化の方が訴える力が強い読み物に出会った。

  • よかったです

    ご丁寧な包装に感じ入りました!まだ読んでいませんが、作品もきっと素晴らしいでしょう!

  • どの作品も終わり方がいいね

    テーマは平家の女人のその後が中心となります。もっとも「常緑樹」は判官殿の母親を扱った作品ですが、これも敗者の側の女人を扱っているという点では共通しています。そして偶然でしょうか、最後の「後れ子」も、この判官殿のお母上への言及で締めくくられています。 作品の原型ともなったエピソードはどれも有名なものですが、丁寧な仕上げと脚色とひねりで、それぞれの「その後」を描いています。大きな歴史の流れに意図せずして「女人」として関わりを持ってしまったこれらの女人たちです。勝利の後の敗者への転落が基本的な構図となりますが、勝者の側にも平穏は訪れません。熊谷直実の妻、相模の話がその例です。 敗北という大きな出来事を経過した女人たちに待っている「その後」には、もはや「その前」への復帰は許されません。したがって、そこには歴史が進行するという形での流れはありません。著者には、ここに制度や拘束への挑戦という「現代のモティーフ」を求めるという不毛な発想はありません。あるものは歴史の舞台から永遠に消えてしまいますし、あるものは自害を選びます。あるものは自然な生涯の終焉をむかえます。でもそこに共通しているのは、「亡き人々の記憶」だけです。これを支えに生きていくというのは一種の形容矛盾です。もはやそれは、現在を生きていくというよりは、「過去の永遠への弔い」という永遠の時間への没入という宗教的な営為なのです。

  • 源平の争いの陰で生きた女性たちを独自の視点で捉えた傑作

    最近著者の作品にすっかり浸っているが、著者の作品には「寄席品川清洲亭」のように面白おかしく楽しく読める作品がある一方で、本書のようにしみじみと人生について考えさせられる作品もあるが、特に後者の作品は余り小説では取り上げられることのない人物を、著者ならではの独自の視点で描いているところがよい。毛色はかなり異なるが、ここ数年愛読している伊東潤氏の作品も、歴史の陰に埋もれた人物をよく取り上げる点では共通している。 本書は、源平合戦の陰で生きた女性を描いた6つの短編が収録されている。源義経の母である常盤御前を取り上げた「常緑樹」に始まり、平清盛の娘の徳子を描いた「遅れ子」で締めくくられるが、特に最終話の最後で今まで感情を殆ど表に出さなかった徳子が自らの言葉で気持ちを語る数頁は、読む者の胸に深くささり、異様な感動を覚えた。

  • 情緒ある物語。流麗とも言える抑えた筆致

    文春文庫・奥山景布子著『源平六花撰』のレビュー。 2014年5月読了。 本作には平氏と源氏に関わる女性を主人公にした、六つの短編(六花撰)が収められている。 「常緑樹」「啼く声に」「平家蟹異聞」「二人静」「冥きより」「後れ子」の六編だ。 『平家物語』や、それと関連する歌舞伎の演目などを御存知の方であれば、それぞれの物語はどこかで聞いたような内容だという事がお分かりになるであろう。 本作は、そういった有名な物語を、作者一流の視点と文体で再構成した作品群といえる。 「平家蟹異聞」は、平氏の官女だった姉妹と、源氏側の那須与一の物語である。 栄華を誇った平氏が落ちてゆく。それでも生きてゆかなければならない姉妹。たとえ敵である源氏に身を委ねても。 しかし、それでも・・・。 「冥きより」は、平氏打倒の陰謀を計ったとして鬼界ヶ島に流された俊寛らと、島の娘の千鳥の物語である。 鬼界ヶ島の場所については諸説あるが、その候補地のひとつ鹿児島の硫黄島に俺は行ったことがある。 現在でも鹿児島市からフェリーで3時間半かかり、火山の噴煙立ち昇る孤島での当時の生活は、僧侶や貴族だった彼らにとって悲惨なものであったろう。 各作品とも、うねるような展開があるわけではない。 その上、堅実とも流麗とも言える抑えた筆致が加わり、昨今のスリリングな展開や文体を読み慣れた読者には多少のいらつきを覚えるかもしれない。 しかし、そういうファストフードに染まった読者にこそ、本作で、美しい日本語と情緒ある物語を味わってほしい。

  • 源平の世界にタイムスリップさせてくれるすごい本

    美しい日本語、という言葉を初めて使いたくなった。 奥山景布子は、うっとりとするような、雅でリズム感のある美しい言葉でもって、源平の世界にいざなってくれる。 本書は短編集。九郎判官義経と静御前の物語や、平敦盛の首を取ったものの、源頼朝とも仲たがいして、最後には出家した熊谷次郎直実。史実、あるいは伝説としてよく知られている物語の世界へ、古語のわからない私でも、十分タイムスリップした気持ちにさせてくれる。静御前のひたむきさや、直実の妻の気持ちが痛いほどわかるような気になってしまう。 映像化された「Xの献身」も良かったが、本書の醍醐味は、映像化できない想像力によってのみ味わえるものだろう。

  • 他に類を見ない作品

    女性の歴史小説作家の中で、源平期を扱った方は多くないと思う。この一冊の六編は、古典として、現在も舞台で脚色されて披露されているものだが、全く新しい見方が新鮮と驚きがある。女性の内側からの源平の女性達が描かれていて、面白かった。 更に、作家の素養の深さ、確かさが無くては著せない作品だと思った。

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