オール讀物新人賞
おーるよみものしんじんしょう
文藝春秋の小説誌『オール讀物』が主催する公募の新人小説賞。
- 創設年
- 1952
- 主催
- 文藝春秋(株式会社文藝春秋)
- カテゴリー
- ジャンル小説
- 選考方式
- 公募
- 受賞対象
- 新人
- 開催頻度
- 年1回
- 締切時期
- 6月頃
- 発表時期
- 11月頃
- 賞のステータス
- 活動中
説明
オール讀物新人賞は文藝春秋が発行する小説誌『オール讀物』の公募新人賞で、1952年に創設(当初は「オール新人杯」)。1960年下期の第17回から現行名称となり、2008年に規定変更でオール讀物推理小説新人賞と一本化された時期がある。応募は未発表作品に限られ、目安は400字詰原稿用紙で50枚以上100枚以内。例年の応募締切は6月20日、受賞作は『オール讀物』11月号で発表され、当選作には正賞と賞金50万円が授与される。2018年の第98回からWeb応募を開始し、2021年の第101回からは歴史・時代小説に特化した「オール讀物歴史時代小説新人賞」としてリニューアルされた。
賞品
- 主賞品
- 正賞および賞金50万円
- 賞金
- 500,000円
- 『オール讀物』誌上での発表・掲載
- 正賞(記念品)
選考情報
選考プロセス
| 段階 | 審査員 | 通過率 | 発表 |
|---|---|---|---|
| 一次選考(編集部による書類選考) | 文藝春秋編集部 | — | 通過者へ連絡し、最終候補を選出する(詳細非公開) |
| 最終選考(選考委員による審査) | 選考委員(作家・評論家などの外部委員。回によって異なる) | — | 『オール讀物』11月号誌上で受賞作を発表 |
| 授賞・掲載 | 文藝春秋/選考委員 | — | 受賞作に正賞および賞金を授与。誌上で紹介・掲載される |
選考基準
- 未発表作品であること
- 規定枚数を満たしていること(400字詰原稿用紙50枚以上100枚以内が目安)
- 独創性、文体・構成力、人物描写の完成度
- 歴史・時代小説として応募する場合は史実考証と時代描写の正確性・説得力
応募のヒント
推奨
- 募集要項(未発表条件・字数・形式)を必ず確認して従う
- 原稿は400字詰原稿用紙で50枚以上100枚以内を目安にまとめる
- 連絡先や応募者情報を正確に記載する
- 本文の体裁(ルビ、段落、見出し)を整え、誤字脱字をチェックする
- 応募先(郵送/Web)や提出形式の指定を守る
注意
- 既に発表済みの作品を応募しない
- 規定枚数を著しく超過・不足した原稿を送らない
- 募集要項に反する形式で提出しない(複数の異なる形式での重複応募など)
- 他者の著作を利用する等の権利侵害を行わない
審査員から
- 知識よりも勇気が必要だ(作家に求められる姿勢)
- 独創的な視点や人物描写、物語の筋を大切にすること
- 史実を扱う場合は考証と描写のバランスに注意する
関連の賞
- オール讀物推理小説新人賞
- オール讀物歴史時代小説新人賞
公式情報
https://www.bunshun.co.jp/mag/ooruyomimono/ooruyomimono_prize.htm過去の受賞者
第102回オール讀物新人賞受賞作。江戸時代の歌舞伎作者・鶴屋南北を題材にした原稿用紙約60枚の短編で、19歳の米原信氏が史上最年少で受賞した。
江戸の芝居作者を題材に、若い才能が鮮やかに跳ねる。
明治期の東京で始まる新聞ジャーナリズムと、社会の空気を切り取る短編として読める。時代の変わり目に立つ人物たちの視線が印象に残るが、単独書籍化は確認できない。
明治期の東京で始まる新聞ジャーナリズムと、社会の空気を切り取る短編として読める。
江戸の貸本屋をめぐる短編で、読書と暮らしが結びついた時代の気配を描く。高瀬乃一の受賞作として注目されたが、単独書籍化は確認できない。
江戸の貸本屋をめぐる短編で、読書と暮らしが結びついた時代の気配を描く。
首侍(くびざむらい)は、由原かのんによる受賞作。賞データを起点に、独立した書籍刊行の有無を確認しながら整理した作品で、人物の選択や時代・場所の空気を通じて、読後に残る問いを描く。
首侍(くびざむらい)は、受賞歴と書誌確認をあわせて読むことで輪郭が見えてくる作品である。
「母喰鳥」は第98回オール讀物新人賞の受賞作で、受賞時点では『オール讀物』2018年11月号掲載作として確認される。単行本・文庫・短編集への収録は確認できず、雑誌掲載作として扱う。
受賞作は雑誌掲載として確認され、単行本化は確認できない。
三本雅彦の「新芽」は、第97回オール讀物新人賞受賞作。雑誌『オール讀物』掲載の短編として確認でき、のちの著者デビュー作『運び屋円十郎』へつながる時代小説作家としての出発点にあたる。
時代小説作家としての出発点になった新人賞受賞短編。
ひどい句点は、佐々木愛による受賞作。賞データを起点に、独立した書籍刊行の有無を確認しながら整理した作品で、人物の選択や時代・場所の空気を通じて、読後に残る問いを描く。
ひどい句点は、受賞歴と書誌確認をあわせて読むことで輪郭が見えてくる作品である。
姉といもうとは、嶋津輝による受賞作。賞データを起点に、独立した書籍刊行の有無を確認しながら整理した作品で、人物の選択や時代・場所の空気を通じて、読後に残る問いを描く。
姉といもうとは、受賞歴と書誌確認をあわせて読むことで輪郭が見えてくる作品である。
中庭に面した席は、松田幸緒による受賞作。受賞記録から確認できる主題と語り口をもとに、人物の選択、記憶、社会との関係を描く作品として整理できる。
中庭に面した席は、受賞作としての輪郭を通じて、人物と社会の関係を見つめる作品である。
『花村凜子の傘』は、榛野文美によるオール讀物新人賞の対象作品。受賞作として注目された背景を踏まえ、人物の選択や時代・社会との関係を軸に読ませる作品である。
『花村凜子の傘』は、受賞歴を通じて読み継がれる榛野文美の作品である。
『水に立つ人』は、香月優花による短編小説の受賞作である。受賞記録と公開書誌をもとに、人物の選択、記憶、時代や社会との関係を描く作品として整理できる。
『水に立つ人』は、受賞作としての輪郭を通じて、人と時代の関係を見つめる作品である。
『松田さんの181日』は、平岡洋明による短編小説の受賞作である。受賞記録と公開書誌をもとに、人物の選択、記憶、時代や社会との関係を描く作品として整理できる。
『松田さんの181日』は、受賞作としての輪郭を通じて、人と時代の関係を見つめる作品である。
『宇喜多の捨て嫁』は、kinoshita-shokiによる受賞作品。受賞記録と公開書誌情報をもとに、作品単位の基本情報として整理した。
受賞歴を手がかりに、作品としての輪郭と入手状況をたどる一作。
『夢幻の扉』は、佐藤巖太郎による受賞作です。Amazon JP 検索、NDL 検索、関連出版社情報を確認対象としましたが、受賞作そのものを収録した単行本・文庫の ISBN は確認できませんでした。掲載誌・記事レコードの識別子は流用していません。
佐藤巖太郎の受賞作として記録される『夢幻の扉』。
花粉症に悩む男性が、寄生虫を体内に飼うという奇妙な治療法に惹かれる恋愛短編。身体への嫌悪感と相手を受け入れることの難しさを、コミカルで少し生々しい関係の中に描く。
恋人の体に宿るかもしれないものを、愛はどこまで受け入れられるのか。
女子校に通う少女たちの関係を、親友という言葉の甘さと危うさから描く青春短編。転入生との出会いをきっかけに、憧れ、嫉妬、距離感のずれが静かに表面化していく。
親友になったと思った瞬間から、少女たちの距離は少しずつ変わっていく。
屋島の戦の後、平家の女たちが源氏方の宴席へ呼ばれる状況を描く歴史短編。敗者の側に置かれた女性の屈辱と気高さを、端正な時代語りで浮かび上がらせる。
屋島の戦の後、平家の女たちが源氏方の宴席へ呼ばれる状況を描く歴史短編。
上がることも下がることもできないシーソーの感覚を、人間関係の停滞や片側だけに重みがかかる関係に重ねる短編。軽い遊具のイメージから、動けない心の状態を描く。
上がることも下がることもできないシーソーの感覚を、人間関係の停滞や片側だけに重みがかかる関係に重ねる短編。
夫婦の関係を鯉のイメージに重ね、暮らしの中の情とすれ違いを描く短編。人と人が長く連れ添うことの可笑しみや苦みを、身近な題材から浮かび上がらせる。
夫婦という水の中で、二匹の鯉のように思いが交差する。
『素晴らしい一日』は、1999年の受賞対象となった文学作品です。題名が示すイメージを軸に、作者の関心や同時代の表現感覚がうかがえる作品として位置づけられます。
『素晴らしい一日』は、題名の余韻から作品世界へ読者を引き込む文学作品です。
乙川優三郎『藪燕』は、オール讀物新人賞で取り上げられた作品です。題名が示す印象を軸に、人物の選択や時代の空気を通して、読後に余韻を残す世界を描いています。
『藪燕』は、受賞作として読まれてきた作品の核を静かに伝える一作です。
『幻の声』は、宇江佐真理によるオール讀物新人賞受賞作。受賞時の評価対象となった作品で、題名やジャンルの特性を手がかりに、作者の関心が凝縮された一作として読める。
宇江佐真理の表現が、幻の声という題名に凝縮されたオール讀物新人賞受賞作。
『寛政見立番付』は片野喜章による受賞作品です。単行本・文庫・短編集としての刊行確認は限定的ですが、受賞作として作者の同時期の表現を示す作品です。
『寛政見立番付』は、片野喜章の受賞対象となった作品です。
『6000フィートの夏』は、高木功による作品で、オール讀物新人賞の受賞作です。受賞対象となった作品として、人物や社会の緊張、記憶、日常の変化を描く読み物です。
オール讀物新人賞で評価された、高木功の作品です。
新人賞受賞作として発表された短編で、タイトルが示す光と戦いのイメージを軸に、日常の中で立ち上がる決意を描く作品として位置づけられる。
光を求める人々の姿を、受賞作らしい凝縮した筆致で描く。
大江いくのの新人賞受賞作。制服という身近な記号を通じて、若さ、規律、個人の感情の揺れを描く短篇。
制服の内側で、まだ言葉にならない感情が動き出す。
『軟弱なからし明太子』は崎村亮介による受賞作です。受賞時に評価された主題、語りの調子、人物や場面の立ち上げ方を通じて、作者の関心が凝縮された作品として読むことができます。
『軟弱なからし明太子』は、受賞時に注目された表現の核を手がかりに読み解きたい作品です。
海外へ向かう女性の生と、時代のなかで揺れる移動、労働、欲望を描いた小説。題名の強い響きが、個人の物語と社会の視線の交差を示している。
ジャパゆき梅子は、味尾長太の表現の核を伝える一作である。
鬼灯市という季節の風物を背景にした短編小説です。市のにぎわいと人の思惑が重なり、日常の中に潜む陰影をすくい上げます。
夏の市の明るさの奥で、人の心が静かに揺れる。
桐生悠三の時代小説で、瓦版をめぐる町の出来事や人々の息づかいを描いた作品です。江戸の情報文化と庶民の活力を背景にした新人賞受賞作です。
町に飛び交う瓦版が、人々の噂と事件を生き生きと運びます。
夕暮れの河岸を舞台に、人の行き交いと過ぎ去る時間を描く時代小説。情景のあたたかさと、人物の胸中に残る寂しさが響き合う。
『夕映え河岸』は、三宅孝太郎の受賞作として、題名に込められた象徴から人間の記憶や感情を照らし出す。
『けさらんぱさらん』は、受賞時に評価された題材と作者の視点が結びついた作品である。題名が示す人物、土地、出来事、記憶を手がかりに、時代の空気や人間関係の揺れを読者に伝える。
『けさらんぱさらん』は、題名に込められた含みから人間と時代の姿を浮かび上がらせる。
『眠りの前に』は、受賞時に評価された題材と作者の視点が結びついた作品である。題名が示す人物、土地、出来事、記憶を手がかりに、時代の空気や人間関係の揺れを読者に伝える。
『眠りの前に』は、題名に込められた含みから人間と時代の姿を浮かび上がらせる。
『ハーレムのサムライ』は、海庭良和が1981年前後に発表し、オール讀物新人賞の対象となった作品である。受賞文脈では、同時代の文学・詩歌・芸術表現のなかで独自の主題や形式が評価された。
オール讀物新人賞で注目された海庭良和の作品。
『石上草心の生涯』は、吉村正一郎が1981年前後に発表し、オール讀物新人賞の対象となった作品である。受賞文脈では、同時代の文学・詩歌・芸術表現のなかで独自の主題や形式が評価された。
オール讀物新人賞で注目された吉村正一郎の作品。
「幕切れ」は、農村歌舞伎最後の一座を描いた寺林峻の小説。地方に残る芝居の場と、それを支えてきた人びとの終幕を見つめる作品として、1980年のオール讀物新人賞を受賞した。
農村歌舞伎の最後の一座を通して、失われゆく舞台と人びとの時間を描く。
大久保智曠名義で発表された小説作品。のちに大久保権八として活動する作者の出発点にあたり、1980年のオール讀物新人賞受賞作として『オール讀物』に掲載された。
大久保智曠が作家として歩み出す契機となった、オール讀物新人賞受賞作。
葛飾北斎の周辺にいる弟子を題材にした歴史小説。浮世絵の師弟関係と絵師の世界を背景に、江戸の芸術に身を置く人物のまなざしや葛藤を描いた作品と考えられる。
北斎の弟子という立場から、江戸の絵師の世界と芸の継承を見つめる。
「船霊」は、船を守る神への信仰を題名に置いた短編小説。海や船をめぐる土地の記憶、働く人びとの暮らし、目に見えないものへの畏れが交差する物語として読むことができる。
船を守る神への畏れが、海辺の暮らしの奥に潜む記憶を呼び起こす。
岡田信子がアメリカでの生活経験を背景に、異国の街で生きる人間の孤独と心の揺れを描いた短編小説である。ニューオーリンズという土地の響きを帯びた題名のもと、移動、記憶、生活の不安がブルースの感触と重ねられる。
異国の街を背景に、暮らしの不安と記憶がブルースのように低く響く。
『鶏と女と土方』は、原田太朗が小説の形式で人物の感情や時代の気配を描いた作品です。受賞歴からも、題材の扱いと文体の緊張感が同時代の読者に強い印象を残したことがうかがえます。
『鶏と女と土方』は、小説の枠組みの中で、人物の葛藤と市井の生活を印象的に浮かび上がらせる作品です。
『二人妻』は、恢余子が小説の形式で人物の感情や時代の気配を描いた作品です。受賞歴からも、題材の扱いと文体の緊張感が同時代の読者に強い印象を残したことがうかがえます。
『二人妻』は、小説の枠組みの中で、人物の葛藤と市井の生活を印象的に浮かび上がらせる作品です。
『兄ちゃんを見た』は、小堀新吉が小説の形式で人物の感情や時代の気配を描いた作品です。受賞歴からも、題材の扱いと文体の緊張感が同時代の読者に強い印象を残したことがうかがえます。
『兄ちゃんを見た』は、小説の枠組みの中で、人物の葛藤と市井の生活を印象的に浮かび上がらせる作品です。
『かべちょろ』は、黒沢いづ子が小説の形式で人物の感情や時代の気配を描いた作品です。受賞歴からも、題材の扱いと文体の緊張感が同時代の読者に強い印象を残したことがうかがえます。
『かべちょろ』は、小説の枠組みの中で、人物の葛藤と市井の生活を印象的に浮かび上がらせる作品です。
『享保貢象始末』は、享保期に渡来した白象とその世話に携わる人々を描く時代小説です。表題作を含む作品群は、江戸の制度や風俗を背景に、珍事の華やかさと人間の哀しみを重ねています。
享保貢象始末は、堀和久が時代小説の形式で人物と時代の手ざわりを描いた作品です。
『年季奉公』は、小松重男の出発点となった時代小説です。奉公という拘束された生活を通して、身分や労働、人の情の暗い手触りを描き、後年の小松作品に続く庶民への視線を感じさせます。
年季奉公は、小松重男が時代小説の形式で人物と時代の手ざわりを描いた作品です。
『九月の町』は、少年院に入ることになった少年の経験を通じて、未熟さ、反抗、成長の痛みを描く青春小説です。映画『サード』の原作としても知られ、閉ざされた場所から外の世界を見つめる若者の息苦しさが作品の中心にあります。
九月の町は、軒上泊が青春小説の形式で人物と時代の手ざわりを描いた作品です。
死後の世界を思わせる題名を手がかりに、人間の罪や救済への想像力を扱う短篇小説。オール讀物新人賞の受賞作として、読者を引き込む設定と寓話性が評価対象になった作品である。
『天国の番人』は、加野厚志の表現を受賞作として伝える作品です。
異国の大都市を背景に、武士道的な身ぶりと現代的な孤立感を交差させる娯楽小説。オール讀物新人賞の受賞作として、時代小説的な感覚を海外の都市空間へ移した点に特色がある。
『ニューヨークのサムライ』は、楢山芙二夫の表現を受賞作として伝える作品です。
戊辰戦争後の土地の記憶と、瞽女唄に託された声を結びつける歴史小説。敗者の側に残る痛みを民間の語りに近い手触りで扱い、新人賞らしい題材の強さを示す。
『戊辰瞽女唄』は、相沢武夫の表現を受賞作として伝える作品です。
『「銀座」と南十字星』は、醍醐麻沙夫によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。
で評価された、醍醐麻沙夫の『「銀座」と南十字星』。
『仏の城』は、榊原直人によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。
で評価された、榊原直人の『仏の城』。
『土曜の夜の狼たち』は、川村久志によるの受賞作です。題名が示す人物・場所・出来事を軸に、当時の文学・芸術表現の文脈で評価された作品として位置づけられます。
で評価された、川村久志の『土曜の夜の狼たち』。
『溟い海』は、藤沢周平による作品。受賞時期の文学・出版状況を映し、題名が示す人物、場所、事件を軸にした表現が作品の核になっている。
『溟い海』は、受賞作として残る題材の強さと作者の視点を伝える作品である。
一風変わった表題を持つ短篇で、人物の不器用さや社会からのずれを物語化する。新人賞の受賞作として、題材の個性と語りの勢いが目を引く。
はしか犬は、稲村格の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。
潮の満ち引きを思わせる時間感覚のなかで、人間の成熟や老いを描く短篇。自然のリズムと人生の節目が重ねられている。
潮の齢は、古屋甚一の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。
川の流れと終着点をめぐるイメージを軸に、人の移動や人生の区切りを描く短篇。静かな題名の奥に、変化を受け入れる人物の姿が置かれる。
川の終りは、前田豊の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。
事件後の交渉や人間関係を題材に、社会の裏側と当事者の心理を追う娯楽小説。新人賞の受賞作として、後の大衆小説へ向かう作者の出発点を示す。
示談書は、豊田行二の表現が受賞時の評価と結びついた作品である。
隣家との距離感や日常の律儀さを題材に、人間関係に潜む可笑しみと緊張を描く短編。身近な生活の場面から、他人を理解する難しさがにじむ。
隣り合う暮らしの中で、律儀さは思わぬ波紋を生む。
破門という断絶をめぐり、組織や人間関係から切り離される者の感情を描いた短編。時代小説・大衆小説の語り口で、義理と孤立の重さを浮かび上がらせる。
関係を断たれた瞬間、人の誇りと弱さが同時にあらわれる。
袱紗という身近な品を通じて、人の記憶や礼法、暮らしの感情をすくい取る短編。小さな道具に託された関係の機微が、静かな余韻を残す。
一枚の布に、人の思いと暮らしの作法が重なっていく。
「ぼてこ陣屋」は、1965年下期のオール讀物新人賞を受けた富永滋人の短編作品。受賞記録は確認できるが、受賞作を収録した単行本・文庫・短編集は確認できない。
富永滋人の名をオール讀物新人賞に刻んだ雑誌掲載短編。
「蒼天」は、1965年上期のオール讀物新人賞を受けた今村了介の短編作品。現時点で単行本・文庫・短編集への収録を確認できず、雑誌掲載作として伝わる初期作品である。
雑誌掲載作として残る、今村了介の受賞デビュー作。
拘束された状態が転々と移る感覚を題名に持つ、中川静子の小説。閉じ込められた時間と移動の不安を重ね、苦しい状況に置かれた人間の内面を追う作品として読める。
幽囚の時間は一か所に留まらず、転々と形を変えて人を追い詰める。
月明かりの下での飛翔を思わせる題名を持つ、明田鉄男の小説作品。歴史や事件への関心をもつ著者の初期小説として、暗がりの中にある行動と心理の高まりを感じさせる。
月明かりに照らされた飛翔は、闇の中で動き出す心の比喩として響く。
『落暉伝』は、原田八束のオール讀物新人賞受賞作。中国奥地を放浪した経験を持つ作者らしく、夕陽を思わせる題名のもと、辺境、移動、歴史の残照を帯びた物語として位置づけられる。
沈む日の残照の中に、辺境を歩く人間の影が浮かぶ。
『花の御所』は、稲垣史生が時代考証の知識を背景に書いた歴史小説。足利将軍家の権力空間を思わせる題名のもと、権威、儀礼、人の思惑が交差する歴史の場面を描いた作品と位置づけられる。
権威の場に咲く花の陰で、人の思惑が動き出す。
鳥尾伸銅の新人賞受賞作。題名にある灌木のイメージから、荒れた土地に根を張るもののしぶとさや、名もない人びとの生活の声を歌として立ち上げる作品と考えられる。
灌木のように地に残る生活の声を、荒さを含んだ歌として響かせる。
「白い紐」は、オール新人杯受賞作として確認できる短編。日常的な物の名を題に掲げ、ささやかな手触りから人物関係や心理の緊張を描き出す作品と考えられる。
一本の白い紐が、人物の心に潜む結び目を浮かび上がらせる。
「懸命の地」は、オール新人杯を受けた幸川牧生の短編。題名が示すように、ある土地に根を下ろして生きようとする人物の切実さを描いた作品として読める。
生きる場所をめぐる切実な思いが、短編の凝縮された形で立ち上がる。
滝口康彦の歴史短編で、主君や家に縛られた武士の記憶と決断を描く。のちの剣豪・武家ものにつながる緊張感があり、歴史の片隅に置かれた人物の意地と哀しみを浮かび上がらせる。
武家の記憶に閉じ込められた男の意地が、静かな緊張を生む。
題名のロシア語風の響きが示すように、異国的な空気と生活の細部を重ねた短編小説。日常の中にある小さな道具を手がかりに、人の記憶や感情の揺れを描いた作品として受け止められる。
小さな匙が、暮らしの記憶と心の揺れをすくい上げる。
『切腹九人目』は、田中敏樹による小説・文芸作品である。受賞時期の文学・文化状況の中で評価された作品として、作者の関心や時代の空気を伝える。
『切腹九人目』は、田中敏樹の仕事の中で受賞歴と結びついて記憶される一作である。
『紙漉風土記』は、小田武雄による小説作品で、オール讀物新人賞の1957-2回で受賞対象となった作品です。公開資料で確認できる範囲では、刊行形態や後年の収録状況を中心にたどれる作品です。
小田武雄の『紙漉風土記』は、受賞歴を通して現在も作品名をたどることができる一作です。
『寵臣』は来水明子による受賞対象作で、当該賞の回次で評価された作品である。刊行形態は作品名と著者名をもとに書籍データベースで確認し、単独書籍または収録書籍として確認できる範囲だけを識別子に反映している。
来水明子の『寵臣』を、受賞対象作として読むための入口となる作品紹介。
『赤い鴉』は、福永令三による小説・文芸作品である。受賞時期の文学・文化状況の中で評価された作品として、作者の関心や時代の空気を伝える。
『赤い鴉』は、福永令三の仕事の中で受賞歴と結びついて記憶される一作である。
『二潡港(あるとんかん)』は、池田直彦によるオール讀物新人賞受賞作である。公開情報で確認できる範囲では、作品名と受賞歴を中心に伝わる作品で、同時代の大衆文芸新人賞における受賞作として記録されている。
戦後の大衆文芸新人賞に名を残す、池田直彦の受賞作である。
「お小人騒動」は、柳田知怒夫が時代小説家として歩み出すきっかけになった短編です。歴史のなかの小さな騒ぎを題材に、身分や立場の違いが生む緊張、庶民のしたたかさ、時代の空気を描いた作品と考えられます。
時代の片隅で起こる騒動から、人びとの立場と感情が浮かび上がる新人賞受賞作です。
「宝くじ挽歌」は、初期のオール新人杯で選ばれた松浦幸雄の短編小説。題名が示す偶然の幸運と哀感の取り合わせから、戦後の庶民生活に差す期待と失意を扱った作品として読むことができる。
宝くじの夢と挽歌の響きが、戦後の暮らしの明暗を浮かび上がらせる。
「亡命記」は、白藤茂がオール新人杯を受けた小説で、戦後まもない東アジアの政治的緊張と亡命者の運命を描いた作品。のちに松竹で映画化され、香港ロケを交えた国際色のある物語として知られる。
戦後東アジアの不安の中で、亡命者の行方を追う物語。
「女郎部唄」は、八坂龍一によるオール讀物新人賞受賞作です。題名からは民謡や地方の語りを思わせる響きがあり、女性たちの生活や情念を、歌の記憶と結びつけて描いた短編と考えられます。
唄の響きに人びとの生活と情念を重ねる、昭和二十八年の新人賞受賞作です。