日本の文学賞

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空中庭園

婦人公論文芸賞

空中庭園

角田光代

『空中庭園』は、角田光代による作品で、2003年の受賞作として記録されている。受賞作の文脈で、作者の語り口や構成の特徴が前面に出る一作である。

受賞作物語作家性

作品情報

角田光代の『空中庭園』は、受賞作としての輪郭を持つ受賞作。

『空中庭園』は、角田光代の表現が評価された作品である。簡潔な題名の奥に、物語としての手触りと、作家性への関心が重ねられている。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2005-07-08
ページ数
288ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784167672034
ISBN-10
4167672030
価格
704 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

東京郊外のニュータウンで暮らす京橋家のモットーは、「何ごともつつみかくさず」。タブーを作らず、出来るだけすべてのことを分かち合おうとする。でも、タブーのないはずの家族の間で本当はみんなが秘密を持っており、一見すると明るく平凡な家庭は、実際はとうに壊れてしまっている。 もう何年も複数の愛人を持つ夫、女手一つで育ててくれた母親の影響から逃れるために計画的に妊娠・結婚へと持ち込んだ妻……異質でありながらも家族であるしかない、普通の家族に見える一家の光と影の向こうに覗くのは乾いた絶望か。ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景を描いた、連作家族小説。 解説・石田衣良 第3回婦人公論文芸賞受賞

レビュー

  • 平均的日本人

    角田さんの作品の登場人物は、揃って、あまり頭がよろしくない。本作も例にもれず。なんというか、本能に正直に生きている。食欲と性欲。そして、残念ながら品もない。毎回思うのは、実はこのくらいが平均的日本人なのかもしれないということ。そうなのかもしれない。角田作品には、実に、現実味があるのかもしれない。でもこれが平均だとしたら、ちょっと悲しい。

  • 人間の闇の深さが分かる

    懐かしくて購入。多分、時代設定はガラケーの頃の時代。一読の価値はあるかも。

  • それぞれの思い

    家族といえど、知らないこと秘密のことはある。 その小さな秘密が重なり合って、苦しむこともあれば、救われることもある。 そんな家族の在り方を考えさせりるストーリーです。

  • 歪な安定感

    「対岸の彼女」がなかなか面白かったので購入。「対岸の彼女」は女同士の友情をメインに扱ったものでしたが本作は家族がメイン。まるで絵本のようにかわいらしく暖かみがある表紙ですが、中身はもの悲しくも痛々しい、表紙の色調を反転したような内容になっています。 家族の間で秘密はなし。そう決まりごとがある一家族のそれぞれの秘密が短編で明かされる構成です。ズドンと落とされないかわりにはっきりした希望もない。総じてどこか薄暗くもやもやとした終わり方になってます。 一番印象に残ったのはやはりこの決まりごとを作った母親のストーリーでしょうか。私はお母さんとは違う、私は幸せな家族を作れていると何度も何度も呪いのように考える彼女が母親でありながら子供にも見える。こういう母子の関係性、わかる人案外多いんじゃないかなと思います。 とある普通の家庭の薄皮を一枚めくったような短編集。ストーリーに起伏はなくエンタメ性は低いですが、身につまされるというか、嫌な感じに胸に刺さる文章が多かった。 本筋的には悪くないのですが、シーンごとの見せ方がややくどくセリフの砕け方が気になる部分がけっこうあったので☆2.5評価としています。あまり明るい気分にはなれない小説ですが、歪ではあるものの崩壊しない安定さを持った家族の形にいろいろ考えさせられました。

  • 好き嫌いの問題

    作者がサワコの朝にでていたので興味をもって、作者が路線転換のきっかけとなったという作品を読んでみたもの。隠し事がなくオープンという建前の家族だが、実態はそれぞれ・・・という切り口で、着想は面白いし、女性らしくない(私の思い込み?)赤裸々な表現など、斬新で受賞に値する作品であることはうなずける。然し、極めて個人的な嗜好の問題だろうが、こうした作品は好きになれない。50年以上物づくりの現場で過ごし、具体的に「物」を創造する面白さや世の中の役に立てる喜びを知っているから、こうしたジャンルの作品で世の中の裏面や暗い事実を垣間見たところで「どんな意味があるの?」「なんの役に立つの?」と思ってしまうのです。作者は編集者のジイサンから「暗いばかりじゃダメだよ」と何度も言われたそうだが、私には転換後という作品でもまだ「暗い」と感じてしまう。なぜなら、明るい未来への展望が見つけられないままで終わらせているから。

  • 重層的思索篇

    家族という親密な関係に暮らしていても、言えない、見せない、ところがある。家族(に関わる人)それぞれが、それぞれにやむにやまれぬ状況で息を殺すかのように暮らしている。隠してるようで、見透かしているようで、ダマシ合っているようで。それぞれの立場にはそれぞれなりに共感するところもあるのだが。。作品としては、家族の長いステージの中の、ある限られたタイミングのワンシーンを切り開いて見せてくれているが、本当のやむにやまれぬ状況というのは息の詰まるような日々の連続につぐ連続なんだ、という終わりの見えないようなズシーンとした重さは感じられない。

  • 家族が読みたかった本です。

    入院中の家族に頼まれて購入しました。

  • 自明の理を書かれても

    「秘密を持たないようにしよう」という家族が、実は全員秘密を持っていて、それをそれぞれの視点から書いていくという話。 一見、怖そうとかグロテスクとか、感じるかもしれないが、そんなことはない。 家族が家族としての役割を演じ、団欒を演じるということはどんな家族にもあることで、自明の理。 それを書いて何かを「あばいた」ように見せかけては・・、新人賞作品ならまだしも直木賞作家のやることではない。 家族がそれぞれに秘密を抱えている、過去がある、背徳がある、これは現代においてはごく当然の「前提」であり、この作品は長々とその「前提」を書いているにすぎない。社会的動物である人間は誰しも、本心から行動する場合もあれば、そうしたくなくてもそう行動することもある。家族に見せる顔とキャラクター、会社の人に見せる顔とキャラクター、一人になったときの顔とキャラクター、皆それぞれ異なっているのが普通で、それらすべてをひっくるめてその人間である。 (以下ネタばれ含む) 作中に、長男の家庭教師で、父親の愛人である女性(ミーナ)が、当該家族の誕生会に参加して、普段の別の顔を知る父親や息子の振る舞いに違和感を覚える場面があるが、果たしてこんなことを、それもこの章のクライマックスのように書く必要があるだろうか。とりたてて不思議なことか。 不倫している父親が楽しそうに家族サービスしていることは確かに違和感の対象かもしれないが、小説の根幹に来るような事象でもない(もしそれが主要テーマならその小説はかなり陳腐なものじゃないだろうか)。 娘から始まり、第二章の父親の章に入ったところで、小説の先は読めたと思った。最終章は息子の視点だろうと思っていたらやはり息子だった。 6人の視点で書くというのは凝っているようだが、安直にも思える。文体を書き分けられて作者は楽しかったかもしれないが、視点が6つあっても何ら小説のテーマは深まっていかない。「みんなそれぞれ色々あって色々抱えてるんだね」と感じるだけ。いたずらにページ数だけが過ぎる。 第6章でようやく、テーマの深化がわずかにあったようには思うが。 平凡な家庭や日常の風景を、何かつまらないものとか批判する対象のようにとらえる書き方を含めて、好きになれない作品だった。

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