作品情報
白樫の下で、武家の暮らしと心の揺れをすくい取る。
第18回松本清張賞受賞作。武家社会の息遣いを細やかに描き出した歴史小説で、作者の再起作としても知られる。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2013-12-04
- ページ数
- 269ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.6 x 1.2 x 15.2 cm
- ISBN-13
- 9784167838911
- ISBN-10
- 4167838915
- 価格
- 1610 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
いまならば斬れる! 田沼時代から清廉な定信時代への過渡期。人を斬ったことのない貧乏御家人が刀を抜く時、なにかが起きる。第18回松本清張賞受賞作。
レビュー
-
デビュー作にして、すでに満点
『半席』から入って、最後に残った青山文平作品。それがデビュー作である本作。『跳ぶ男』を読んだ後では、多少青臭いかな、と思っていた自分が恥ずかしい。デビュー作にして、すでに時代小説、ミステリー小説として満点の評価。ここから読んだ読者はきっと最新作を心待ちにしていたに違いない。さて、困った。今度を俺が心待ちにする番だ。もう、現時点では青山文平作品は全て読み尽くしたのだから。
-
初めて呼んだ青山文平作品
恋愛推理時代小説と言った内容の楽しめる作品だった。大衆小説が定番になっている時代小説の中で、純文学感覚の文体も新鮮で味わい深い。新しいスタイルの時代小説として、今後、著者の作品を読んでみたくなった。
-
煮え切らないというか
ぬるい風呂に入ったときのような読後感。なんかすっきりしないんですよねえ。
-
切ない
暖かい気持ちで読んでいたのに、1ページ進んだらいきなり息が止まるような展開に。 先を予想するもすべて裏切られ、まさかの結末でした。 こんな切ない過去を背負って、今後登さんはいい目付けなるんだろうけど。 気の毒すぎて泣けてきます。 青山さんの文章がとても好き。江戸の町が目に浮かぶようです。
-
すっきり
腕は立つけど、少々繊細すぎる心の持ち主。大事な人を辻切りで失う・・・推理物の時代物。テンポ良く引き込まれ、一気に読めました。
-
現代に通じる閉塞感の中で若者はどう折り合いをつけていくのか
書店に行くと、時代小説は特別にコーナーが用意されており、今でも人気があるようだ。しかし、戦国武将、新撰組、など書き尽くされた感は否めず、多少読みやすくはなっても過去の名作を超えるクオリティを望むのは難しい。 江戸時代、泰平の世の無名の武士を主人公に据えたことは時代の必然なのかもしれない。しかしながらだからこそ、司馬遼太郎や海音寺潮五郎では読むことのできない切り口で楽しむことができるともいえる。本書の時代は幕府が開かれてから180年余りたった天明の時代、戦のない世界で3代にわたって失業したままの若き侍の物語だ。生業とした仕事をしながら自分は何者なのか、このままでよいのかと自問しながらも支えを持って辛うじて均衡を取りながら生きていく閉塞感は現代に通じるところが大きい。 そんな中、江戸で起こった辻斬り事件を軸にフーダニットの味付けも加えられて読み物としてまず楽しめる。それに加え、貧困や挫折が人のバランスをどう崩し壊していくか、思ったより簡単に壊れてしまう人の心とどう折り合いをつけていくかということを考えさせられる。現実社会は思い悩んだからといって結論が出ることはまれであり、カタルシスない点では本作品と共通する。現実逃避することはできないが明日への糧にはなるかもしれない。
-
チャンバラとしては物足りないが、、、
時代小説に独自の境地をみせる青山文平の士道話し。天明年間、田沼時代が終わり松平定信の始まりころ話しを設定。竹刀ではなく木刀による形稽古メインとのちがいがかなり具体的に記述され、初めて知る話しもあり新鮮。 剣流は、不釋流。一刀流の流れにあると語るが初めて聞く。 また貧乏御家人の内職に金魚養殖の話しも興味深い。 読了。最後に主人公が、真剣を振るうが、もう少し、藤沢周平くらいに、具体的に殺陣を描いてほしい。イマイチ物足りない。敢えての叙述かもしれないが。
-
財産
楽しめる、大人の作家。 『しもねたは馬鹿な作家の松葉杖』と聞く中で、乙川優三郎などとならんで日本にとって貴重。 青山は感情的、美的知能指数も高い紳士なんだろう。 ご健康と発展を祈ります。
関連する文学賞
- 松本清張賞 第18回(2011年) ・受賞