作品情報
森嶋マリの『古書の来歴』は、受賞記録に残る作品として作品単位で整理した。
『古書の来歴』について、NDL Search の書籍レコードで ISBN とページ数を確認した。採用した識別子は単行本・文庫など書籍形態のレコードに限定し、雑誌号や記事、音源などの識別子は使用していない。
書籍情報
- 出版社
- 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日
- 2010-01-21
- ページ数
- 508ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784270005620
- ISBN-10
- 4270005629
- 価格
- 77 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
まるで古書版CSI(科学捜査班)。 古書を科学捜査することで一つ一つの物語がたちあがってくる。 古書が記憶する五百年の歴史! ミステリと歴史ロマンが結びついた秀作 ――池上冬樹(文芸評論家) 実在する稀覯本と、 その本を手にした人々の数奇な運命 ピューリッツァー賞作家が描く歴史ミステリ! キャサリン・ゼタ・ジョーンズが映画化権取得! 各紙誌も絶賛! 「忘れられないほど美しく紡がれた物語」――ロサンゼルス・タイムズ紙 「素晴らしくエンターテインメント」――ELLE誌 「インテリジェントで美しく、独創的な物語」――ジョナサン・ヤードリー/ワシントン・ポスト誌 ---------------------------------------------- 100年ものあいだ行方が知れなかった稀覯本「サラエボ・ハガダー」が発見された―― 連絡を受けた古書鑑定家のハンナは、すぐさまサラエボに向かった。 ハガダーは、ユダヤ教の「過越しの祭り」で使われるヘブライ語で祈りや詩篇が書かれた書である。 今回発見されたサラエボ・ハガダーは、実在する最古のハガダーとも言われており、 500年前、中世スペインで作られたと伝えられていた。 また、ハガダーとしてはめずらしく、美しく彩色された細密画が多数描かれていることでも知られていた。 それが1894年に存在を確認されたのを最後に紛争で行方知れずになっていたのだ。 鑑定を行ったハンナは、羊皮紙のあいだに蝶の羽の欠片が挟まっていることに気づく。 それを皮切りに、ハガダーは封印していた歴史をひも解きはじめ・・・・。 異端審問、焚書、迫害、紛争―― 運命に翻弄されながらも激動の歴史を生き抜いた1冊の美しい稀覯本と、 それにまつわる人々を描いた歴史ミステリ。
ジェラルディン・ブルックス オーストラリア生まれ。シドニー大学卒業後、シドニー・モーニング・ヘラルド紙で環境問題などを担当。 奨学金を得て、コロンビア大学に留学、並行してウォールストリート・ジャーナルで ボスニア、ソマリア、中東地域の特派員として活躍する。 2006年に、オルコットの『若草物語』の父親に焦点をあてた小説Marchでピューリッツァー賞を受賞。 著者3作目の小説となった本書では実在するサラエボ・ハガダーを題材にし、各紙誌で絶賛された。 現在は、同じくピューリッツァー賞受賞者であるジャーナリストの夫トニー・ホルヴィッツと、 息子と共にアメリカのマサチューセッツ州マーサズ・ヴィンヤード島に暮らす。
レビュー
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Amazomカスタマー
値段と質のバランスに満足しています。機会があればお店にも行ってみたいです。
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めちゃめちゃ面白い
本好き、歴史好きには、たまらないでしょう。 ミステリー的な面白さ以外も沢山。 楽しかった。
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映画をみるようなストーリ展開が魅力
歴史の転換の年1492年のスペイン、17世紀のイタリア、19世紀 のウィーンそして20世紀のボスニアなどと時代と場所を超えて展開する 祈祷書ハガターにまつわる物語.損傷や改造を受けつつも奇跡的に守られ てきた痕跡をたどって古書鑑定家が科学捜査を進めていく.実在の本や史 実を交えたフィクションであるせいかリアリティがあるストーリ展開を楽 しめる.
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リアリティ
読みながら、まるでその場にいるかのような錯覚に陥りました。 現代と過去が交互に語られ15世紀にまでさかのぼるというのに、時代が古くなればなるほど目の前に鮮やかに情景が浮かんできて、ディテールの細やかさ、歴史的裏付けは圧倒的です。 ローラやイナ、ルティは読後まるで実在の人物のように心に残りました。 宗教や歴史について関連した本を読み、知識を増やして再度読みたいと思います。
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歴史ミステリーの大傑作!久々に満喫しました。
これは、若いオーストラリア人古書鑑定家の話です。ある日、彼女は「サラエボ・ハガター」と呼ばれる古書の鑑定を依頼され、この本が保存されている博物館へ向かいます。鑑定するにしたがってこの古書が辿った世界が、関わった人々の物語が浮かび上がって来ます。それと同時に鑑定家自身の数奇な運命も明らかにされていきます。 実在する本の謎解きに挑んだ意欲的な作品です。今まで読んだ歴史ミステリーの中で異彩を放っています。ワクワク・ドキドキの連続で一気に読んでしまいました。
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おもしろく深い、一冊の古書をめぐる人々の物語
たった一冊の古書が、何人ものユダヤ教徒とその周囲の人々の物語を秘めていた。 いやー、こんなにおもしろく、できのいい小説はひさびさ。 翻訳家の選んだ大賞の候補にあがっていたので、読んでみた。 さすが幅広い読書と翻訳の実績を持つ人が選ぶだけあって、質が高く、しかも、おもしろかった。 緻密に書かれた小説で、しかも読みやすい。候補にあげられたのも納得。 ほんとの主人公は実在するサラエボ・ハガダ―(ハッガ―ダー)。 Sarajevo Haggadah。[...] この古書を修復するためにやってきたオーストラリア人の女性研究者、ハンナが狂言まわし、というべきか。 ハンナの視線で超お宝の古書の修復を通じ、15世紀から現代までのユダヤの歴史が体感できる。 ハガダ―の修復で、彼女の発見した、ごくごく小さな5つの「種」から、ユダヤ教徒のたどってきた歴史が語られる。 気のきいた物語の構造。真相が、別立ての連作短編のようなスタイルで語られる。しかも、読者にだけ打ち明けられる。 内容的には歴史あり、政治史ありで、不器用な書き手だと昼寝の枕になってしまうところだけど、 賢くセンスのいい著者は、やっかいな史実を整然と整理し、わかりやすいお話に展開、とても頭に入りやすい。 そこへ、さらにハンナの人生の秘密や恋愛をからませ、エンターテインメント性を増強。 えっ、どうなるんだろう、という感じでどんどんひっぱられ、ラストまで退屈しなかった。 最後はばたばたっと終わり、あらっと思ったけど、まあ、この小説に関してはどちらでもいいと思える。 物は、人間の何倍も生きる。その物語が単純であるわけがない。 余計なひとこと: 「古書の来歴」、ちょっと無骨な、近年珍しく愛想のないタイトルだけど、いい。 原題はPeople of the Book。 訳しにくかったんだろうなあと思う。 売るためのキャッチ―なタイトルじゃなく、小説の中身を伝えようという思いが伝わってきて、私は好きです。
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本当の話かな?と錯覚する
「・・・理想の街サラエボでは紛争など起きるはずがなかった・・・戦うはずが無いと思っていた。でも、紛争がはじまって最初の数日のぼくたちの行動はちょっと浮ついていた。十代の若者がピクニック気分でプラカードを持って反戦デモを行った。十人くらいの若者が狙撃手に撃たれても、ぼくたちはまだその意味をきちんと理解していなかった。国際社会がとめてくれると思ってたんだ。・・・ほんの何日か我慢していれば片がつくと思ってた。そうだな・・・世界が一致団結して助けてくれるって」 緻密な調査に基づいて書かれているので、↑のような会話からハガターの謎の推理、その他リアルで、これどこからどこまでがフィクションなの?って何度も宗教や土地について調べながら読みました。 (あとがきを読めばこれは解決することでしたが。やはり先に読まないほうがおすすめ) 色々、現在のZの国の侵略と重なる部分もあって相当読み応えありました。 ただ、ゆったりと時代を遡って、どうしてこのハガターが作られたのかという謎に迫っていくのでミステリーなのは確かですが、ダ・ヴィンチ・コードのようなスピード感とスリルあふれるタイプを期待すると物足りないかもしれません。 より現実的な歴史ミステリーは明らかにこちらです(笑)
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稀覯本を通して語られる「ユダヤの民」の歴史
冒頭の献辞は 「すべての学芸員に捧げる」とあり、ページをめくる指に力が入ります。 原題にある「the Book」と言うのは文字通りの「the Book」と解釈すれば「聖書」のこと。作品中で取り上げられているのは「サラエボ・ハガダー」という本で、ユダヤ教徒にとって非常に重要な「過越し祭」の正餐 の際に使う、「出エジプト記」や「式次第」を書いた本らしく広義の「聖書」ということか? 物語は女流古書 鑑定家ハンナが政情不安定なサラエボに降り立ち、世紀の稀覯本サラエボ・ハガダーと出会う場面から始まります。科学的な手法を駆使して鑑定を進める内に判明した様々な 「謎」、その真相を探り、解き明かされた過去の事実からサラエボ・ハガダーを造り護ってきた過去の人々の切実な「物語」が紡ぎ出されていく・・・。7 編の現代におけるハンナの日々、そしてその間に6編の「物語」が挿入されていきます。 サラエボ・ハガダーにまつわる19世紀末以降の記述 は、大まかな点については事実らしいが、それ以前についてはフィクションのようです。エキゾチックとも思える過去の世界の描写と、宗教対立による悲劇の描写が交互に描かれていき、知らず知らずの内にユダヤの民の歴史を学ぶことにもなって興味深く読み進められます。 また、ハ ガダーを巡る人々の欲望や無私の行為、過去から延々と続くユダヤ人の悲劇などかなり硬派な部分と、父親を知らず、仕事一筋の母親を嫌うハンナの私生活や恋の 行方も描かれていき、結末では暖かな「家族」の「発見」や「再生」も描かれて穏やかに終わります。 本にまつわる謎を解くという内容なので「歴史ミステリ」と言うにはちょっと物足りない面もありますが、サラエ ボ・ハガダーを、単なる高価な稀覯本ではなくユダヤ民族の拠り所と思う人々が、虚々実々の駆け引きの末に命懸けで護り通したという過去の「事実」を描いた内容は、単なる「小説」を超えた意義をこの本に与えていると思います。
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