【2019年・第17回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】怪物の木こり (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
人を食う怪物のような連続事件と、犯人像を巡る心理戦が前面に出るサイコ・スリラー。
作品情報
木こりの怪物は、どこまで人間か。
第17回『このミステリーがすごい!』大賞大賞作。強烈な個性と勢いのあるプロットで、怪物じみた事件の裏にある真相を追う。
書籍情報
- 出版社
- 宝島社
- 発売日
- 2020-02-06
- ページ数
- 320ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.8 x 1.4 x 15.3 cm
- ISBN-13
- 9784299002563
- ISBN-10
- 4299002563
- 価格
- 748 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
第17回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作は、 サイコパス弁護士 vs. 頭を割って脳を盗む「脳泥棒」、最凶の殺し合い! すべては二十六年前、十五人以上もの被害者を出した、児童連続誘拐殺人事件に端を発していて……。 自分は怪物なのか... では人とは何なのか... 善悪がゆらいでいく主人公に「泣ける!」との声もあがったサイコ・スリラー、待望の文庫化!
1984年、神奈川県横浜市戸塚区生まれ。帝京大学文学部心理学科卒業。第17回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2018年に『怪物の木こり』(宝島社)でデビュー。
レビュー
-
非常に興味深い小説だった。
非常に興味深い小説だった。脳チップというものを初めて知った。この物語の中で描かれているように、脳チップが人間の性格を変えることができるようになるか疑問だが、それができたらスゴイことだ。それにしてもサイコパスというのは恐ろしいが、続編が出たら、是非読みたい。
-
日数のずれ
久谷は普通のサイコパスなんだよね。 もうちょっとサイコパスっぽい役割をもってるかと思ったんだけどそうでもなかった。 映画: 人数を減らすために十城と栗田が菜々緒にまとめられてる。 映美のキャラが違う。 剣持役に中村獅童を出すなら他の被害者役もそれなりの人にして欲しかった。。。
-
まあまあでした。
サイコパスVS連続殺人犯の展開を期待してましたが、思った以上に普通で、スリリングな展開はあまり感じませんでした。
-
現代の話かも!
楽しかったです。あっという間に読み終わり、続きが見たいと思った! ただ、今の子供達が将来こう言うサイコパスになる可能性は有ると思うと怖いな!
-
オモロイです
サイコパスでなくなる、主人公の葛藤など新鮮で面白かったです。
-
面白いです。
私は先に怪物の森から読んでしまいましたが、どちらから読んでも面白い作品です。
-
サイコパスとは何か⁉️
脳チップというぶっ飛んだ設定ではあるが、サイコパスが人間の心を取り戻していく様は、これから生きていく上で、何か重要なことを示しているようにも思う。 犯人は誰かというよりも、凶悪で卑劣なサイコパスの感情の変化に読み応えがあった
-
これが、なぜ大賞なのか?疑問に思う駄作
小説には2種類ある。1つは娯楽小説で、その時の流行を反映させて大量生産され、商業性が非常に高い。しかし、大衆の退屈凌ぎにしか過ぎず、時代と共に廃れていく。2つ目は、芸術性の高い小説で、その時代に評価されなくとも、時代を経るごとに評価は高まり、不朽の名作となる。そして、それは人生に苦しみ悩み抜く者への心の糧となる。あるいは、大衆を啓蒙したりする。 後者に関して、昨今の出版界の状況から、日の目を見ることなく世に埋もれていく作品や作家が数多くいることは想像に難くない。この不幸を無くしていくことこそ書評家の役目である。したがって、現代社会において多忙な日常生活を送る大衆にとって、書評家の役割は重要性を増している。 「このミステリーがすごい!」大賞は書評家が選考をするということを宣伝文句にしている。誰よりも多くの本を読み、鋭い批評を行うことを生業とする書評家が選んだ本ということで、期待して本を手に取った。応募総数は400作を超え、どれもが長編小説揃いである。本書はその中で選び抜かれた大賞作品である。しかしながら、その期待は14ページ目から一気に失望へと変わる。なるほど、最初の10ページ程はリーダビリティがあり、読者を引き込ませるものがある。だが、10ページだけなら、小説にはならず、誰でも時間をかければ書ける。 結論を先に言うと本作は全くの駄作である。なぜなら、快楽殺人を繰り返してきた殺人鬼を主人公にして、その視点で物語を進めているからである。殺人という非人間的な行為は、それを描く時にはたとえ表に出さなくとも、厳然とした批判がないといけない。現実世界では、殺人者の手記は昔からよく売れる。大衆の醜い好奇心を刺激するからだ。一方で、被害者の感情はないがしろにされ、この点も昔から批判されてきている。 したがって、主人公に全く共感できず、感情移入ができない。主人公が人間の心を取り戻すというのならば、これまでの戦慄すべき悪行に主人公はまず葛藤すべきである。しかしながら、主人公の良心の葛藤は全く描かれておらず、最後まで主人公は自己中心的なサイコパスのままである。こんな人間のくずに誰が共感を寄せることができるであろうか。したがって、読後感は最悪のままである。 真っ当な書評家ならば、商業主義の観点から殺人を面白おかしく書いていることを賞賛すべきではない。本書は他にも欠点が無数にある。書評家は仕事をおろそかにして書いていないようだから、代わりに私が以下詳細を記す。以下ネタバレがあるので、未読の方は気を付けていただきたい。 ①本書のタイトルにもなった「木こり」の物語があまりにも幼稚過ぎて、この段階で読書熱を一気に失う。グリム童話もかぐや姫も、オズの魔法使いもその背景には奥深さがある。童話のような物語を書くには、深い教養がなければならない。残念ながらそのような奥深さは全くない。 ②主人公の被害者があまりにも簡単に殺され過ぎており、リアリティが欠如している。それに、これだけの監視社会で、人目を避けて単独犯で一年間に(毎年?)12人も殺すことは不可能だ。現代の警察の捜査能力はかなり進歩しており、それらをどうやって逃れてきたのかも全く描けていない。その上、大した偽装やトリックも全く描かれていない。主人公(もしくは杉谷)に殺された被害者遺族やマスコミが全く騒がないのは不思議だ。殺人という行為の重みを全く考慮していない証左であろう。 ③この著者は脳チップの背景にある人間牧場についての知識が全く欠如している。世界的な巨大な陰謀でも描くのかと思って期待して最後まで読むと読者はがっかりするであろう。したがって、脳チップの話が取ってつけたような矛盾含みの話となる。 例えば、主人公が自分に脳チップが埋められていると知ったら、その目的を考え、調べれば、すぐさま大金をかけてでも(弁護士だから金はある)除去手術をするはずなのに、犯人捜しのために後回しにする点、東間翠が自分の子供の素行を良くするために他人の子供を実験台にして殺した点(高学歴な医学者が脳チップによって行動を改善させるというのは安直すぎる思考)、東間の支援者・金木が娘を殺されたサイコパスを憎んでサイコパスでもない子供に実験を行うことを支援した点(この場合、サイコパスの発見や病理現象の解明に金を使うのだ)は大きな欠点である。 これらの点は、校正されても改善されていないということは、大賞を受賞しての大手出版社からの出版は不合格ということである。 ④主人公は児童養護施設で育ったという暗い過去があるにもかかわらず、その陰が全く見られない。その上、その境遇から弁護士になるのは並み大抵ではないにもかかわらず、この経緯が語られていない。したがって、人物の背景が浅く、また感情移入もできず、弁護士の殺人者という設定ありきのプロットであったと批判できよう。 他にも無数の欠点を指摘できるが、巻末の大森望・書評家が「問題点は受賞作出版までに修正されることを信じて」と記しており、出版界の内幕を暴露している(この言葉の意味は分かる人には分かる)。出版の段階で、これだけ多くの問題点がある作品が、なぜ大賞受賞になったのか甚だ疑問に思う。本書は作者よりも、この作品を選んだ書評家が批判される対象となろう。 このミスの特徴の一つに、一次選考合格者の冒頭部分の公表がある。本書を読んだ後、参考までに目を通したが、もっと新味があるか、流行に乗っていなくとも本格派の投稿作品を選出しても良かったのではないかと思える。書評家の方々には、私が最初に述べたように、埋もれた逸材を発掘し、多くの人々の心を潤すという本来の役目に忠実であってほしい。