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【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」文庫グランプリ受賞作】甘美なる誘拐 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

『このミステリーがすごい!』大賞

【2021年・第19回「このミステリーがすごい! 大賞」文庫グランプリ受賞作】甘美なる誘拐 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

平居紀一

ヤクザの下っ端、自動車部品店の親子、宗教団体の少女という複数の線が、ひとつの誘拐事件を軸に交差していく。群像劇とコンゲームを組み合わせた誘拐ミステリー。

群像劇誘拐ミステリーコンゲーム家族宗教サスペンス

作品情報

ばらばらの物語が、最後に甘くつながる。

第19回『このミステリーがすごい!』大賞 文庫グランプリ受賞作。複数の視点を往復しながら、事件の輪郭が少しずつ組み上がる構成が見どころ。事件の裏側にある人間関係も丁寧に描く。

レビュー要約

  • 複数のエピソードが収束する構成を評価する声が多く、展開のうまさが好評。いっぽうで、やや説明的に感じる読者もいる。

書籍情報

出版社
宝島社
発売日
2021-04-07
ページ数
416ページ
言語
日本語
サイズ
10.6 x 1.6 x 15.2 cm
ISBN-13
9784299014924
ISBN-10
4299014928
価格
880 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

第19回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作! ヤクザの下っ端二人組、真二と悠人。人使いの荒い上司にこき使われる彼らの冴えない日常は、ある日、他殺体を発見したことで変わり始める。同じ頃、下町で自動車部品店を経営する植草父娘は、地上げ屋による嫌がらせで廃業に追い込まれかけていた。抵抗するため、父娘はある人物を頼るが……。一方、宗教団体・ニルヴァーナでは、教祖の孫娘が誘拐される事件が起きていた。様々な人物や事件が、衝撃のラストに帰結する、誘拐ミステリーの新機軸!

レビュー

  • 堅苦しくないヤクザもの

    まあいつものように最後はうまく行き過ぎのような気はするけど、娯楽小説と思えば楽しく読めました。

  • 楽しい時間でした

    いつ誘拐するのだろう。とか、伏線だなぁと思いながら読み進めますが、中盤からは一気に。とても面白く読ませていただきました。 オススメ!

  • もう一押し欲しかった。

    個人的には「もう一押し欲しかった」です。 キャラ設定が自分の好みに合わなかったのかもしれません。

  • 様々な出来事が最後に線でつながり予想もつかない結末に

    この作品は、2021年第19回『このミステリーがすごい大賞』文庫グランプリ受賞作である。 ヤクザの下っ端の真二と悠人、土地と建物の売却を求められ嫌がらせを受ける自動車部品販売会社を営む植草浩一と娘の菜々美、違法行為で金を稼ぐ謎に包まれた宗教団体ニルヴァーナ、高利貸しの殺害事件、火焔瓶が投げ込まれタールをまき散らかされた組事務所など、前半は誘拐に関することが一切出てこない。『甘美なる誘拐』というタイトルは一体何なのかと疑問にさえ思ってしまう。 タイトルになっている誘拐の話は、半分を読み進めたところでようやく登場する。前半は、様々なエピソードが錯綜するが、後半一気に誘拐劇が進んでいく。 前半で登場した一見全く関係がないように思われる個々の出来事が、最後にはすべてが線でつながり予想もつかない結末をむかえることになる。 主人公の真二と悠人のふたりをはじめ、登場するヤクザたちが犯罪者でありながら、どことなく人間くささがあり憎めないキャラクターに描かれているのが面白い。最後はちょっぴり心温まる終わり方で、読み終えた後に何かしらの安堵感と爽快感を覚える作品になっている。

  • 「『極道小説』+『誘拐ミステリ』」をコンゲームで覆い尽くした新機軸の傑作

    基本的には麦山組の"ヤクザ見習い"の信二と悠人の二人組を主人公とした極道小説なのだが、題名が「甘美なる誘拐」とある通り、「誘拐」"も"扱っているという新機軸の誘拐ミステリ。この他、紅龍組という麦山組の対抗組織をバックに持つ<ニルヴァーナ>という新興宗教団体(経済ヤクザの兄貴分の荒木田に命令されて二人組は教祖の孫娘を誘拐するハメになる)の存在、二人組が現場に出くわした金貸しの稲村の殺害事件(二人組も借金していたため、警察・荒木田双方から疑われる)の犯人探し及び現場から消え去った「甘美なる誘拐(<The sweet kidnapping>)」という洋書を模倣した小説の謎、地上げのために麦山組から追い込みを駆けられる自動車部品販売会社の浩一と奈々美の父娘の登場理由の謎、荒木田に買わされた当選ロト・クジを掠め取ろうとする二人組の画策、荒木田の真の狙い等、ガジェット満載の小説である。また、舞台となる市には麦山組のレジェンドで今では堅気となっていて荒木田も正面切っては頭が上がらない、その名も"ケンさん"という昔気質の蕎麦屋が住んで居るという風に遊び心も満載である。 二人組(性格別けも良く出来ている)の会話を中心として物語がテンポ良くユーモア・タッチで進行する展開は黒川博行氏のコンビ物を思わせる。そして、物語が何処へ向かって行くかを分らせない全体構成が巧み。上述したガジェットは途中まで一見脈絡なく配置されている様に見えるからである。まず、それらのガジェットを最終的に全て回収する作者の手腕に感心した。そして、後半は「誘拐」に焦点を絞った攻防戦が描かれるのだが、特に、「誘拐」という行為に対して新しい意味付けを行なった点が光り印象に残った。 更に何と言っても、特筆すべきは全体をコンゲームで覆っている点で、これにはカタルシスを覚えた。「『極道小説』+『誘拐ミステリ』」をコンゲームで覆い尽くした新機軸の傑作だと思った。

  • 綺麗にまとまってるけど、、

    本屋さんで平置きされていたので読んでみました。 登場人物もキャラが立っていて、内容が色々な要素てんこ盛りの割に結末に向けて綺麗にまとまっていると思います。 しかし、小説中でののちのち重要になってくる部分の説明が丁寧すぎて、読んでいる途中で、あ、これはこうなるなと大体予測できてしまって、帯に書いてあった予想外の結末!見破られないトリック!とは少し違うかな…途中からは答え合わせするために惰性で最後まで読んだ感じでした。 逆に重要じゃないところなんかはサラッと書かれすぎて、登場人物が何してるのか頭に浮かんでこない場面もあったり。 ミステリーというより、誘拐活劇という感じでした。

  • 【ネタバレ無し】2021年 第19回『このミステリーがすごい!』大賞 文庫グランプリ受賞作品

    後半の後半で怒涛のごとく伏線回収と種明かしをするので展開が急過ぎて私にはついていくのが大変でした。 また、伏線をすべて回収しきれていないように思えた部分があることが残念でした。 しかし、読んでいて思わずニヤッとしてしまったほどコミカルな会話やエピソードに惹き付けられて退屈することなく一気に読み進めることができました。所々に挿入されているちょっとしたエピソードが伏線となっています。場面の転換と時系列が大きく前後する構成による混乱が心地よかったです。明かされたトリックは心理的要素も利用されていて痺れるものでした。 私には、ミステリーとして詰めにちょっぴり残念に思う部分もあったけど、総じて大いに楽しめた作品でした。 なお、本作は「このミステリーがすごい!」大賞受賞作そのものではなく新設された「文庫グランプリ」作品です。

  • 大賞に値する

    例年の大賞作とくらべて遜色ないというより、上まわっていると思う。まず誘拐の構造が前代未聞。似ている話が思い出せない。誘拐ものなのだが、誘拐そのものをひとつの道具に使って別の物語を仕立てている。ここが高く評価される。面白い着想だ。 そして小説としてのまとまり、人物の書き分けがうまい。端役も生き生きと描かれている。文章もなめらかで上手い。

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