作品情報
1998年に第35回文藝賞を受賞した鹿島田真希のデビュー作。1999年1月に河出書房新社より単行本として刊行され、2005年12月に河出文庫として文庫化された。幼なじみの落ちこぼれ男子高校生・明と純一の物語を通して、「聖なる愚か者」という主題を前衛的な文体で描く。
レビュー要約
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純文学としてのデビュー作にして文藝賞受賞作。独特の文体と前衛的な語り口で、二人の少年の奇妙な関係性を描く。
書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 1999-01-01
- ページ数
- 144ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784309012605
- ISBN-10
- 4309012604
- 価格
- 2025 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第35回(1998年) 文藝賞受賞
レビュー
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狂犬病?
ワンワンワン、僕は負け犬ジョン、助けてZ999、こちらはZ999、みたいなトークをする高校生というのがイメージがわかない、ウソ臭い。狂犬は保健所へ連れてかれてしまいます。 狂犬になっても大丈夫だとか、首輪をつけて、おまえのことは俺がする、とか、キモイです。 アマゾンには前衛と書いてあります。 たまたま席替えで、席が真ん中になった男子が人気になり、たまたま席が隅っこになった男子がハブにされ、この2人は幼馴染で、 そのスクールカーストの元で、どちらかがどちらかの犬になったりします。 いじめられっこの孤島の女子高生がミュージシャンになり、おっさんVS女子高生とかいって、おじさんミュージシャンにいじられる、健ロックという音楽番組が出てきます。 何のたとえとか、そういうことは特にないのかもしれません。 アニメのファンダムとかでのスラッシュ(やおい、マーケット商品の中の、男性の友情や上下関係を、何でも同性愛にしてしまうパロディ創作)とかの流行の逆輸入なのか。 日本的な湿っぽい何かとの融合なのか。 日本の人々が、たいてい大人になってから突入する、犬臭い人間関係を風刺しているのか。
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最終目標は保健所へしけこみ?
『二匹』です。 分量はそんなに多くないですし、難解な表現が使われているわけではないので、多少の引っかかる部分を除けばすらすら読めます。読めますが、物語の意味は分かりにくいです。 エンターテインメントというよりは前衛的純文学寄りなのでしょう。シュールなギャグもかなり盛り込まれているのですが、文字通りあまり笑えるものではない感じですので、エンターテインメント性が弱く感じるのかもしれません。 孤島が中央に祭り上げられ、かえって悲劇を生む場面とか、記号的に描かれているため「特定されない個人」な主人公の二人、いや二匹が、学校という閉鎖社会の中で、更に二匹だけの世界を作って小さくまとまる(もしかしたら小さくないかもしれないし、まとまってもいないかもしれませんが……)あたりは、色々な意味で痛いです。 結局……よぅ分からなかったです。難しかったです。
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野性的なバランス感覚
野性的な小説だ、と思いました。それも学校という閉鎖的な場所を舞台にしているにも関わらず大きなジャングルを舞台にしているのではないかとふと錯覚してしまうほど、野性的でした。とんがっていて、近づくものを打ち落とすという強い意志も感じます。 三島賞を受賞した鹿島田真希の文藝賞を受賞したデビュー作は、一言前衛という言葉が似合うのではないかと思います。ポップ調の文体に、裏返ったりさかさまになったりと落ち着かない構成。それら含めて、とても楽しく読めたと思います。 ただ、文章にはいちいち引っ掛かりを覚えるところがあったり、物語としての完成度はほとんどなかったりと大きな欠点も多いです。また、物語の意味がイマイチつかめないのは良いとしても、例えば笙野頼子のように作者がわかっているという安心感が、この『二匹』という小説にはないと思います。アンバランスな物語を支えるバランス感覚が欲しいものです。
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- 文藝賞 第35回(1998年) ・受賞