書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 2011-11-11
- ページ数
- 147ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.7 x 1.7 x 19.6 cm
- ISBN-13
- 9784309020761
- ISBN-10
- 4309020763
- 価格
- 1320 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
ある日の授業中、突然<それ>はやって来た。遮断された高校、降り続く灰。彼女は意を決し、自宅へと歩き始めるのだが 変わりゆく世界の中の確かな希望を描く、第48回文藝賞受賞作!
1986年生まれ。秋田県出身。現在、東京大学大学院に在籍。本作で第48回文藝賞を受賞。
レビュー
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これは、良くないでしょう。
作者は、開成から東大医学部に入学した秀才らしいが、何故、医者になることを辞めて、作家になったのか理解に苦しむ。確か、安部公房も東大医学部出身だったと思うが、ちゃんと卒業しているし、また、安部の時代とだいぶ出版状況も変わり、純文学は商業的に成立していない時代に、である。 そう思ってしまうぐらい、内容が酷かった。その酷さは、他の方がレビューに書かれている通りだと思う。
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今読んでおきたい話題作
著者の講演を聞いたあと、ずっと読んでみたかった。 小学生に読ませていいかは迷う内容だったが、人とのつながりを考え直す機会がたくさん散りばめられていたと思う。
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舞城チルドレン? その挑戦は買うけど・・・
あまりに評判が悪いので、逆に興味を持って読んでみたが、個人的にはそんなに悪くなかった。ピカソとかダリとか、一般にはすぐ理解されないだろう作風の画家の、小作品といったイメージ。 まず文体。読点(、)のない、やけに感情的な饒舌文体から舞城王太郎をすぐ連想したが、この人の狙いはちょっと違ったところにあるのかもしれない。むしろ、村上龍や谷崎潤一郎の句読点なし文体だとか。 ただ、擬音語の多用と、幼い感じの語り(高校生だから当然か)とで、アンバランスな印象になっているので、この文体は人によっては読みづらいだけかも。世界の平坦な印象と意識の持続という点で、それなりに効果はあげている。 メタフィクションじみたストーリーからも、舞城氏の影響を感じるし、そのナイーブな感性にもその影を見てしまう。具体的な作品名を挙げると「九十九十九」だが…、まあ、これ一作ではその点については判断保留とする。 「私が現実だと思っていることはただ私にとって現実と思えるだけのことであって現実なんてものはそもそも現実ではなくむしろただのファンタジーで私はそれを都合良く現実だと思い込みながらのうのうと生きていて家族とか恋人とか友達とかそんなものも結局は粉々になったガラスの断片の向こうできらきらと変化するとらえどころのない世界のなかに存在するとらえどころのない人間みたいな存在を通して私が作り上げた錯覚に過ぎない? 」 と世界に猜疑心を抱いた主人公は、最終的には、 「私にはもう何も見えない――それでもこの暗闇の先には私の先を行く誰かがいる――そうであるとすれば私はその誰かを追い続けようと思う――」 と決心する。 その姿に、弱いものながら自分は感動に近いものを感じた。まあ今後に期待です。が、☆4は甘い気がしたので3に修正。人には勧めませんね。
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大人の鑑賞には耐えない
いきなり理由なく学校が異世界に巻き込まれてしまい、主人公の女子高生が怪物と戦いながら脱出の道を探るという作品。確かに最後までテンションの衰えない文体は立派だが、肝心のストーリーが弱い。まず、梅図かずおの「漂流教室」のパロディの域を脱しきれておらず、異世界での戦いが何のメタファーにもなっていない。途中に挟まれる、友達の女子高生とのレズセックスシーンも、とくに官能的でもなく、読者の興味を持続させるために無理やり書かれた印象がある。全てに於いて切実さに欠けるので、とくに心に残らない。
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読みずらい「元・石井大地」の本
2005年に東大医学部現役合格。NHK教育「真剣10代しゃべり場」にレギュラー出演。学生起業し、多数の受験関連本やHow to本を出している「石井大地」。でも東大では医学部→文学部に転向して、「今村友紀」のペンネームになった様子。彼にとっての東大医学部入学は、医師になることと同じ意味ではなかったようです。医学部合格は受験関連本 東大合格・最新メソッド―開成トップ・理3現役生による などを出すためのネタみたいなものだったのでしょうか。 でも文藝 2011年11月号の高橋源一郎との対談では「今までまったく文学に接してきていない」と堂々と素人発言されています。文学に興味ない人がHow toで純文学の新人賞を攻略したらこうなった、という本。興味ある方は「石井大地」の頃からの著書もあわせて読まれるとよろしいのかもしれません。「石井大地」の文章は、まったく文学の香りはしません。2010年に ラクをするほど「成果」は上がる! って本も出していますから、自分自身でその通りに純文学に応用したのでしょう。 東大に引き続き、純文学も見事攻略成功、ってことなんでしょう。
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いくつもの世界が重なってゆき、少しずつ物事がズレてゆく。大惨事がもたらす世界の歪み。なかなか刺激的だった。
ある日突然崩壊する世界。主人公のマユミは女子高で授業を受けている最中にその瞬間に遭遇する。目 が見えなくなるほどの閃光と聞いたことがないくらい大きな轟音。何かが起こったことは間違いないのだ が、いったいそれが何なのかはわからない。パニックに陥る生徒たち。 しかし、本書は大惨事に巻きこまれた人を描くサバイバル小説でもなければ、逃げまどう人々を描くデ ザスター小説でもないのである。上空を飛びかう戦闘機。墜落する機体。散乱する死体。逃げるマユミ。 だが、世界は歪みはじめる。少しずつ位相を変えて。あったはずのものがなくなり、記憶が変わり、パラ レルな世界が存在を主張してくる。それは主人公の混乱をまねくと同時に読者の混乱をも誘発する。 P・K・ディックの悪夢世界をおもわせる迷宮的な非日常の中で、存在と消失をくりかえしながらマユ ミを取りまく世界は静かな崩壊を続けてゆく。 とても刺激的だった。この人の書く文章は舞城王太郎のドライブ感あふれる文体のように途切れること なく続いてゆく。独特の擬音も多く挿入されていてなおさらその感を強めるのだが、これは擬似であって この人自身のもつ癖に由来するものではない。だから、その底辺には常に常識的な配慮が垣間見える。一 見すると、取っつきにくくて読みにくいように感じるが、実はそれは計算によって構築されたものでとて も整然としているのである。そしてその擬似ドライブ文によって読者は主人公と共に数々の変化に戸惑い ながらもどんどんページを繰らされることになる。あっという間の読書だった。 不変が崩壊する音を聞きながら、変転する世界に翻弄され順応してゆくマユミ。彼女はこの物語で死ぬ ことはない。もうすでに死んでいるのかもしれないから。
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読みづらい
帯につられて買ったが、やられた。 表現がだらだらと長く、それが狙いなのだろうが、読みづらいことこのうえない。 読後に残ったのは、やっと終わった、だからなに? 同じような描写が延々繰り返されるだけ。 賞をとっているからといっていい作品とはかぎらないと勉強になった。
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躁=high=灰
今年度の文藝賞受賞作。改行するのももどかしいように冒頭から読点を排したハイテンションな文体で 突如極限状態に晒された女子高生の生死を賭けたサバイバルを描く。 設定や文体などから先行作家(村上龍や舞城王太郎etc.)の名前がちらつくものの、廃虚と化した渋谷の様相は 読み手の脳裏に強く焼きつけられる。反面、チープな怪物の出現や(映画「ミスト」を連想させるような) 哲学に関心を持つヒロインが特殊環境下において他者と異なる価値観をぶつけ合うといった場面が存在しないこと など未消化な点も散見される。 それでも作品終盤の文字通り、絞り出すようにつづられた文章は迫力に充ちていて新人にふさわしいインパクトがある。じっさい読後しばらく経った今も幻の「渋谷」のイメージが頭に残っている。 今も数秒後に起こりうるかもしれない世界を可視化する想像力を秘めた作家に今後も期待。
関連する文学賞
- 文藝賞 第48回(2011年) ・受賞