書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 2020-11-13
- ページ数
- 196ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.7 x 2.1 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784309029306
- ISBN-10
- 4309029302
- 価格
- 1540 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
東京でのドブ浚いの仕事中の事故をきっかけに故郷へと戻ったクザーノは、砂漠のむこうの幻の町へ旅立った――回帰する灼熱の旅が、一族の風景を映し出す。第57回文藝賞受賞の一大叙事詩。
1987年、兵庫県姫路市生まれ。2020年、「水と礫」で第57回文藝賞を受賞しデビュー。 マライヤ・ムー名義の共著『裏切られた盗賊、怪盗魔王になって世界を掌握する』がある。
レビュー
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人は人生という名の荒野を旅している
Amazonで購入させていただきました。 著者の藤原無雨(ふじわら・むう)さんは本書奥付によると、「一九八七年兵庫県姫路市生まれ。埼玉県在住。二○二○年、本作で第五七回文藝賞を受賞。マライヤ・ムー名義の共著『裏切られた盗賊、怪盗魔王になって世界を掌握する』がある」とのことです。 この本の存在を知ったのはSmartNewsの記事ででしたが、芥川賞などを受賞する作品を輩出しているため文藝賞が最近注目されるようになってきたこと、などが書かれていました。 そのなかで本作について「1、2、3のパートからなるこの内容が、1、2、3、1、2、3と内容にズレを生じながら繰り返され」とあり、興味がそそられました。 名文の特徴は短文の連なり、だとも巷間言われたりしますが、本作もまさにそれでとてもリーダブルです。 そして、ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮社、2006)や筒井康隆『ダンシング・ヴァニティ』(新潮社、2008)を思わせる反復。 物語がすこしずつ異同をはらみながら反復しつつ、だんだん下の世代に降りていく、という設定。 タイトルは『水と礫』ですが、「水」というのは「人生を送るなかで自分のなかに澱のようにたまった鬱屈」を、「礫」というのは「苦難の道のり」を表象していると思われます。 人というのはたとえば18歳になると大学進学を機に実家=地元を離れますし、そうでなくても親元を離れて独り立ちをする、というのは大切なことですし、ある意味それが現代における通過儀礼(イニシエーション)だったりすると思います(もちろん、そのようなことが経済的に出来なかったりするのが現代なのですが)。 徳川家康が「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」と言ったように、人生は旅であり、また苦難に満ちた旅です。それでも人は−−あるいはこの物語のように男は−−旅にでたい、でたがるものなのではないでしょうか。 新人作家の作品とは思えない物語と文体の完成度で、思わず驚嘆して読みふけってしまいました。 オススメです。
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ファンタジーノベルか!
①職場の同僚を怪我させてしまい、砂漠の向こうへ旅するクザーノ。 物語はファンタジーのような冒険小説だ。 ②自分のミスで同僚を不具の体にしてしまった罪責感は理解出来るが、砂漠の彼方への旅に出るのはなぜか、今一つ判然としない。相手の方を思いやる気持ちがあるのなら旅に出る場合ではないだろう。それは現実逃避に過ぎないからだ。 要するに個々のストーリー(ファンタジー)が繋がらないのである。 ここに物足りなさを感じる。 ③もう少し旅に出るまでの前史を丁寧に描いてほしかった。残念である。
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すべてが薄っぺらい
東京にて自身のミスで同僚に障害を負わせ職を追われ、 新幹線とバスを乗り継いで帰れる程度の場所にある故郷に帰った主人公クザーノが ラクダを買って北に広がる砂漠へ過酷な旅に出る。 髭が長く伸びる程の月日の果てに辿り着いた街で暮らし始め、結婚し、子を設ける。 結論から言えば読む価値はない。 主人公を含め人々の考えや内面はほぼ語られず上っ面だけが描写される。 日本人が暮らす現代日本と地続きの街の描写と葉巻から取った横文字の名前、 死の境を彷徨う程の過酷な砂漠の旅のリアリティの無い薄い描写が全く親和しておらず、 作品世界の風景がまるで頭に湧いてこない。 若干の差違があるだけでほぼ同一の、あらすじを追うような薄い内容が ノーベル文学賞受賞作の真似事らしい反芻で繰り返し語られる。 描写の積み重ねは物語や風景に深みを与えるものでは決してなく、 ただでさえ薄い内容を更にペラペラに引き延ばしている。 父や祖父や無関係な神父の物語は主人公に何の影響も与えない尺を稼ぐだけの無関係な物語。 客観的には放免された加害者に過ぎない主人公が自身の罪と向き合うことなく ペラペラな『過酷な旅』を経て特別な人間として扱われる境遇をやれやれと受け入れるだけ。 過去の贖罪も幸福も家族との絆も人生の意味も感じられない薄っぺらい作品。 リアリティのある現代物もファンタジーも書けないことを マジックリアリズムであると言い繕い、語られるすべての事象に何の意味も見いだせない。 単にブンガクっぽいことをやりたかっただけの内容のない作品である。 さて、ではなぜ本作が文藝賞を受賞したのか?という話になるのだが、 出版界隈における『小説家になろう』の台頭を象徴したいという点が挙げられるだろう。 誰でもWEBに小説を投稿できるサイト『小説家になろう』において人気を博した作品が 多数の出版社から書籍化、各種メディアミックスされる動きが昨今盛んであり、 数々の受賞、ランキング上位選出、実写展開を果たした 住野よる『君の膵臓をたべたい』をはじめ、 いくばくかの作家の輩出とメディアミックス、 それに派生する一山いくらの駄作の商業展開が日夜行われている。 『小説家になろう』初投稿から丁度半年で書籍化、 その数か月後にまるであつらえたように文藝賞を受賞した本作著者も後者の一人である。 ワードプロセッサの発展により十代でも長編小説を書けるようになったように、 現代日本の時代の変遷により困窮者や高齢者の物語が等身大で書かれるようになったように WEB、SNSを通して読者を得たアマチュア小説が世に出るようになったという事象は 出版史として、(あるいは商業的にも)無視できない事柄であるだろう。 そこにどこの出版社の手垢も付いていないなろう出身作家で、 そこそこフォロワー(固定購買層)がおり、小説らしいことをしている応募作品が たまたまこれで、使えそうな若年作家には保険として優秀賞を与えて囲いつつ これを受賞させたという経緯を想像する所である。 ライトノベルと純文学の融合なんて考えているなら若年受賞作家並みに 「未だにそんなことやってんの?」という感じである。 現代出版界やなろう出身作家を表す墓標としてはある意味丁度いいとも言える。 繰り返すがあえて読む価値はない。怖いもの見たさで読みたいならば 40ページ程立ち読みして無理だと判断したら買わなくていい程度の本である。
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まあ、斬新だと思う。
無限ループとは、どういうものかと気になり購入。まあ、たしかにその通りで、発想は素晴らしいと思う。だが、途中から飽きてきてしまったかな。刺さる人には刺さると思う。
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