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大阪ウェットランド (文芸書・小説)

日本ミステリー文学大賞新人賞

大阪ウェットランド (文芸書・小説)

服部倫

売れないドラマーの椿恭志郎は、喫茶店でチンピラに絡まれていた難聴の中学生・晴斗がSOSサインを出しているのに気づき、助けの手を差し伸べる。しかしその行動がきっかけで、ヤクザ・半グレ・怪しい刑事たちに目をつけられることになる。個性豊かな仲間たちと共に大阪中を駆け回りながら、主人公は大阪府北部に実在する湿地周辺の開発利権をめぐる闇に迫っていく。大阪弁の軽妙な語り口と正統派ハードボイルドの融合が評価された第29回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞のデビュー作。

ハードボイルド大阪聴覚障害湿地開発反社会勢力社会派ミステリー

作品情報

大阪弁による軽妙な語り口だが、本質は極めて正統派のハードボイルド——選考委員・月村了衛

第29回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。著者・服部倫は1969年長崎県生まれ、大阪大学大学院博士後期課程修了、豊中市在住の介護職員。40代から小説執筆を始め本作でデビュー。大阪を舞台に、売れないドラマーが難聴の少年を助けたことで反社会勢力と対峙する羽目になるハードボイルド小説。「個人が社会と対峙する」というテーマと、大阪府の実在する湿地の開発問題を絡め、エンタメ・ミステリーの新風として注目される。

レビュー要約

  • 選考委員から高い評価を受けた。月村了衛は「大阪弁による軽妙な語り口だが本質は正統派ハードボイルド」と評し、中山七里は「こなれた語りはリーダビリティを加速させ完成度が高い」と絶賛。葉真中顕は完成度が「頭ひとつ抜けていた」と評価。湊かなえは文章の上手さと登場人物の魅力を認めつつ修正を前提に受賞に同意した。全体として高い評価傾向。

書籍情報

出版社
光文社
発売日
2026-03-11
ページ数
324ページ
サイズ
18.8 x 12.8 x 1.9 cm
ISBN-13
9784334109264
ISBN-10
4334109268
価格
1870 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

見知らぬ少年のハンドサインは「SOS」 そこから俺は「ガッツ!」を知った 「キャラクターが良い、完成度が高い」と、月村了衛氏、中山七里氏、葉真中顕氏、湊かなえ氏、選考委員感嘆、第29回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作! 大阪在住で売れないドラマーの「俺」は、柄の悪い男たちにからまれていた男子中学生・晴斗を助け、交流が始まる。 しかし建設会社に勤める晴斗の父が謎の大金を残して死亡。そこから何故か、メガソーラー建設工事利権の闇に蠢くヤクザ、半グレ、さらにはいかがわしい刑事からにも目を付けられ始める。 「俺」は個性豊かな仲間たちと共に真相を探ろうとするが……。しかし、いかんせん「俺」は別に喧嘩に強いワケでもない。探偵でもない。 稀少な生物が棲息する大阪府北部の湿地(ウェットランド)周辺の開発を遠景に、魅力的なキャラクターたちが「ガッツ!」で危機に立ち向かう!

服部倫(はっとり・りん) 1969年2月3日、長崎県長崎市出身。大阪大学大学院博士後期課程修了。現在、大阪府豊中市に在住。介護職員。月村了衛氏、中山七里氏、葉真顕氏、湊かなえ氏が選考委員をつとめる第29回日本ミステリー文学大賞新人賞の本作『大阪ウェットランド』でデビュー

レビュー

  • ミステリー?

    ミステリーといえばミステリー とにかく読みやすいし大阪の解像度が高くて 自分たちが普段喋っているような関西弁で親しみが湧いた 聾のハンデにLGBTや反社などいろんな要素が出てくるが、軽快なストーリーでテンポもいい

  • 情報が多いがテンポ感が良くあっという間に読める

    作者と私は同年代のようですが、古い漫画やゲームのネタがふんだんにあって結構笑えましたが、一方で作中でスマホやSNSが駆使されていて、現代のミステリーになっていると思いました。いや、ミステリーより冒険小説の方が近いかも。いろんな知識が盛り込まれているんですが、説明がうまくて、頭がいい人が書いたんやろなと思いました。とても面白かったです。

  • 一気読み

    オビの文句「コワイ奴らにロックオンされた売れないドラマーと少年、大阪を走る逃げる」を見て、『走らなあかん夜明けまで』+『初秋』的な話かと思ったら、全然違って、普通に巻き込まれ型のハードボイルドです。しかし、リーダビリティが半端ない。ストーリー展開が巧みでテンポがいい。さらに出てくるキャラクター全員が魅力的、会話も上手く、ユーモアも抜群。おまけに、知らないうちに生物学の知識が得られる(?)。タイトルとは真逆のウェットではなくカラッとした雰囲気で読ませる受賞作です。

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