日本の文学賞

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展望塔のラプンツェル

山本周五郎賞

展望塔のラプンツェル

宇佐美まこと

展望塔を軸に、家庭や社会の中で追い詰められた人々の声を重ねていくサスペンス色の濃い長編。

家族虐待救済

作品情報

『展望塔のラプンツェル』は、宇佐美まことの受賞作として作品世界の核がよく伝わる一冊です。

展望塔を軸に、家庭や社会の中で追い詰められた人々の声を重ねていくサスペンス色の濃い長編。 書籍として刊行確認できるため、識別子は紙書籍の ISBN を基準に整理しました。

レビュー要約

  • 設定や題材の強さだけでなく、人物の揺れや読後に残る余韻を評価する声が目立つ。一方で、扱う主題の重さや癖のある語り口は読む人を選ぶ面もある。

書籍情報

出版社
光文社
発売日
2019-09-18
ページ数
336ページ
言語
日本語
サイズ
13.7 x 2.1 x 19.5 cm
ISBN-13
9784334913045
ISBN-10
4334913040
価格
1870 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

労働者相手の娯楽の街として栄えた多摩川市は、貧困、暴力、行くつく先は家庭崩壊と、児童相談所は休む暇もない。この荒んだ地域に寄り添って暮らすカイとナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け面倒をみることにする。居場所のない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうかーー。

レビュー

  • 真実の絵が再構築され、立ち上がってくるサプライズの瞬間! それは、実に素敵な驚きでした。

    途中まではえらくしんどい話で、心の中で何度も、「ギャー!」とか「うわあ!」とか声をあげながら頁をめくってたんだけど、最後のほうに来て、素晴らしいサプライズが待っていました。 それまで寝転んで読んでいたところが、ラスト近くになって「えっ!」となった瞬間、パズルのピースがするするっと寄り集まり、ひとつの思いがけない絵が眼前に立ち上がったみたいな‥‥。 全く、実に驚くべき、鮮やかなサプライズでしたね。脳裏に正しい絵柄がすっくと、晴れやかに立ち現れた後、もういっぺん最初の頁に戻って読み返したくなりましたもん。 児童虐待をめぐっての話やら描写やらは、ほんと、読み進めるのがキツかったですけど、途中で投げ出さなくて良かったです。でなければ、ラスト近くの驚きと快感を味わうことは出来なかったわけですから。

  • タイトルのミスマッチ感

    児童虐待 不妊治療など現下の問題を背景にプロットが並列的に進む。 暴力団との対峙、格闘表現は女性の筆致とは思えない。 違法滞在や外国人不法就労など社会の歪みも増えており、生きづらい世の中、弱者に不寛容な風が吹いている気がしてならない。 タイトルは別案があったのかもしれないが、内容とあっていない気がした。

  • 幸せってなあに

    amazon商品の説明内容(「BOOK」データベースより)以下、 多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。 児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。 石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。 この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。 居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか―。 * 2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞、とんで2017年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞、2020年本作で第33回山本周五郎賞候補となった作家さんです。 るんびに、を読んでから興味を持って、本屋さんのおススメ1位という事で読んでみました。 社会の底辺の話。内容が凄まじく酷ですのでお勧めはどうかなあと思いますが、読むなら気合入れて読みましょう。救われてほしいなあと読了まで願いつつ。

  • こんなに面白くすることはないのに

    格差、いじめ、人種問題、家庭内暴力など今日的テーマが盛りだくさんで、上手にまとめれている 重松清風で文章が短く、登場人物の心の繊細な動きを捉える筆の裁きは見事の一言 章ごとのエピソードもうならせる これだけでも一読の価値は十分にあるのに、作者はもう一つの大がかりな仕掛けを用意していた 多分、好き嫌いはあるが、レストランでおいしい食事をして満足したあとに,そのレストランのカーテンを開けたら、絶景がみえたというサプライズ そこまでしないとプロにはなれないのかと読書後、嘆息した

  • 社会派小説かと思わせるような始まり

    タイトルから洗練された物語をなんとなく想像していたのですがまったく違っていました。 それに、つい2,3日前に同作者の「聖者が街にやって来た」を読んでとても気に入り、この小説もそちらと同じく川崎市をモデルにした架空の街、多摩川市が舞台になっていて、その親近感が継続したままに読み始めました。ところが・・・ 親から虐待そして育児放棄されている子供を救おうとする福祉職員たち、兄とその半グレ仲間にレイプされて不妊になってしまった少女、貧しい家庭のフィリピン人とのハーフや在日韓国人の少年、いくら不妊治療をしても子供を授かることができず思い詰める主婦、そんなエピソードが延々と続き息苦しくなってきました。 宇佐美まことさんの作品には、DVを受けている女性や虐待された子供たち、社会の底辺から這い上がろうとしている人たちを描いたものが多いのは確かです。が、今まで読んだものだと全体の雰囲気が最初からミステリかホラー寄りでした。けれどこれはまるで社会派小説に転向したのか?と思うような作風で驚きました。 この作品は2019年作で、私はまだ2020年までのものしか読んでいないので最近の傾向はどうかわからないのですが、そんなエピソードがほとんど最後まで続き、ようやく1番最後でサスペンス的な雰囲気に。そして人間関係やそれぞれの事情がきれいに繋がって腑に落ちるようになっています。 そんなことで読書体験として楽しかったかと言われるとちょっとなあ・・という印象になってしまいました。 前から感じていたのですが、宇佐美さんは四国の松山市で生まれ、教養豊かな家庭で育ち大学を卒業し、作家になる前はずっと専業主婦をされていたという穏やかな経歴なんですが、小説に登場するような底辺の人たちとどこで接点があったのだろう、どうしてこういう方面に興味を持つことになったのかと不思議です。 大好きな作家さんなのでこれからも読んで行きたいです。

  • 久しぶりに一気読み 名作

    その社会的問題提起に、今更ながら自分も何か貢献したいと読後に考えさせられている。ひとつひとつのplotが一気に動き出す後半に圧倒された。脱帽。初めての作家だが、他の作品も読ませて頂こうと思っている。

  • 面白く読んだ

    社会の底辺のお話だから、「面白い」というのは何だが、面白く読んだ しかしながら、読むタイミングが悪いと変にダウンしそう 2代に渡って虐待連鎖になるとこを日々見ている気持ちってどんなんだろう…?と少し背筋が寒くなった…

  • 荒んだ街のなかで。

    貧困、暴力、育児放棄や児童虐待、子宝に恵まれない夫婦。 何もかもに耐え、受け入れ、心を殺して生きていくものたち。 児童相談所の行動を映し出していく。 ”毎日違う夕陽が落ちてくる”と。 アグレッシブに明日に向かって希望を持てと。 ”明るい笑顔と美味しいご飯”を。

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